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四百七十一章目 動鎧

 本来なら聖魔法"ピースマインド"で治さなくてはならないがあの力はかなり根が深そうで治療にはかなり時間も手間もかかる見込み。

 ならばとりあえずココはぶん殴っておいて召喚獣を倒してから様子をみようと思う。

 リビングアーマーは重厚な大剣を軽々しく構え強くこちらに踏み込んできた。

 来る!


 剣モードのゼロエネミーを魔法で念力のように掴んで動かし素早く振るう。

 相手の大剣も横薙ぎでニンゲンならば目にも止まらぬ早さで振り抜いた!

 重く濃厚な1撃なのにその大きさと振るい手の研ぎ澄まされた技が加速をかける!


 だからこそ。

 激しい金属音が鳴り響いてゼロエネミーが受け切るとは思わなかったのだろう。

 あまりにサイズ差がある2つなのにゼロエネミーは悠然と受け止めていた。


 (エフェクト)を纏う剣がバチバチと火花走らせつばぜり合い。

 驚いたらしい一瞬のスキを私は見逃さなかった。

 すぐに剣を回してつばぜり合いを抜け斬りかかる!


 だがリビングアーマーも負けてはいなかった。

 一瞬硬直はしたものの私の動かしに喰らいついてきた。

 こちらの横薙ぎに斬り上げをぶつけ衝突!


 そのまま互いに流れるように何度も斬り結ぶ。

 相手は上から下へ次は突き払い2度横に細かく払って大上段。

 速いし私の本質は剣士じゃないから念力で操っていようがどう動くかイマイチ読めていない。


 そこをドライが早読みし"止眼"で次何が来るか細かく止めて読み込んでスレスレで反応しているので危ないなんてものじゃない。

 魔法詠唱に集中出来ない。


「……ククク、強いな」


 って! 鎧がしゃべった!

 いや生きている鎧という時点で色々常識外れだからそこは今更なのか。

 さらにアグレッシブにさらに武技まで織り込んで私が剣持っていたら何度も引き裂かれていそうなほどに斬り込んでくる。

 常に下がりながら必死に対応。


「大陸を渡ってもさ迷い歩き、強き剣とその持ち主を探していたが……良い。実に最高だ」


 当たり前だが魔法で操っているからと言って腕を組んで突っ立っているわけではない。

 より正確なイメージを描きよく観察するにはやはり身体は常に動く。

 特にこういう強者に対しては!


「先ほどの地震のようなもの、アレでは我には届かぬぞ……?」

「はあぁっ!」


 土魔法"ソールハンマー"!

 土魔力が硬質な土の巨大ハンマーを作り空から振り下ろす!


「フン!」


 リビングアーマーが大剣を天にかがけるように十字に切ると黒い(エフェクト)が軌跡どおりに発生し飛翔。

 そのまま"ソールハンマー"が斬り裂かれてしまった。

 うっそぅ。


「愉快、愉快だ! ハハハ!!」


 こちらとしてはまるで不愉快でしかない。

 何せ今のは物質ごと魔力を断ち切っていたのを"魔感"で理解出来た。

 私の部下にもいるが敵に回られると厄介この上ない。


 それに最初の1振りで無骨な大剣を斬り裂く予定だったのにそれが出来ない原因もそこらへんだろう。

 (エフェクト)をまとわせ彼の力で斬らせないというのもあるし頑丈な大剣だというのもある。

 しかしそれ以上に魔力を奪われ斬られるのは私の戦法ではほぼ天敵だ!


「もっと工夫してみよ。踏み込んでみよ!」

「くっ!」


 何とか剣を掴んでいる魔法だけは斬らせないように立ち回れているもののらちがあかない。

 中身が無い相手なので当たり前だけれどスタミナ切れがないからむしろヒートアップしてガンガン技の鋭さが増している。

 こっちも持っていないから手がしびれたり振り疲れないだけで常人がここまで打ち込まれたら生命力もスタミナもごっそり持っていかれてしまう。


「やあっ!!」


 青白い火魔法"フレイムボール"を3つ並べて疑似ランダム軌道で飛ばす!

 カクカクとあちこちに飛び回りつつ相手に吸い込まれるように飛び――


「ほう! 厄介だ!」


 リビングアーマーはひと目見てその危険さを見抜き滑るように下がり斬る。

 やっとこっちが踏み込めたがぬるりとした足運びであっという間に"フレイムボール"たちの魔力を断ち切ってしまった。

 魔法が崩れ爆発を起こす!


「今のは高等な"炎魔法"か? 素晴らしき魔法剣士の腕よ!」


 火魔法なんだけれど黙っておくことにした。

 というよりスキを見て踏み込みゼロエネミーで斬り込んだのに返す刀でスレスレ防がれそれどころではない。

 剣の上からのガードなのでこちらが斬り踏めれば多少はダメージはあるだろうけれど微々たるもの。


 それにしてもなんで今の"フレイムボール"の軌道で斬れたかな!?

 軌道が絶対読まれないように工夫したのに!

 初見で破らないでもらいたい!


 そしてそのまま大剣を地面に突き刺した。

 魔力が破壊される音と共に。

 次策の土魔法を"Eスピア"が潜んでいたのをこうもあっさり見破られるとは……


「ふむ? 貴殿ならここに仕込んでおくと思ったが、当たったようで何よりだ」

「イヤミか!」

「いいや、称賛だ。我の想像に及ぶ程に貴殿は強い! そして剣を交わせ理解出来た事に偽りがなく、実に何よりだ!」


 勝算は……まだある!

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