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四百六十三生目 識別

 なんやかんやとやっと来た役所員から許可証をもらい私だけでも町の中に入れた。

 ただ……


「もう連絡はダンダラさんがやっておいてくれてたかあ」

「言っただろう? お仕事はきっちりこなすからなこう見えて」


 なぜかついてきたダンダラと共に町中を歩む。

 ここに届いた書面は降伏勧告で威圧的なものだったらしい。

 ウォンレイ王に送るための書面はすでにダンダラが郵送屋に渡している。


 つまり私がすることはほぼない。

 ちょうど無駄足だったらしい。

 私達やダンダラは自由に動いているからなかば仕方ない。


 ここでの買い出しや現地文化の調査もしたいが1番大事なのは識別をもらうことだ。

 この魔物は野生ではないということを表すために国からもらえるらしい。

 ダンダラがなぜかついてきて雑談しながら役所へ。


 そして役所で発行場所を教えてもらって向かった。

 その建物はひとめ見て異質だった。

 大きく開かれた門が建物の入り口ですべてが頑強そうな石でできている。

 

 中には何匹もの小型からニンゲンより小さい程度の町中に入れる魔物が何匹もニンゲンとペアでいた。

 なるほど確かに魔物ギルドって感じだ。

 ……あと正直かなりまざった獣のにおいがくさい。きつい。


「ううむ、人の臭いもそう好きじゃあないが、こっちはこっちでなかなか慣れないもんがあるな……」

「わかる……」


 それと『敬語は良い』と言われたからふつうに話している。

 実力は認めてくれるらしい。

 今度は負ける気はないそうだが。


 しばらく奥へ行けば受付がありそこで案内される。

 識別が欲しい魔物は外と伝え……


「それでしたら、係のものを同行させますね。ウノ! よろしく!」


 ウノと呼ばれた係員らしき男が裏手から出てきた。

 半目でなんとなく眠そうだ。


「うん? あいよ〜」

「なんだいまったく! 少しはやる気見せなさいな!」

「わーってるよかーちゃ……ギルド長」


 なるほど。親子なのか。

 まあそれはともかく。


「とゆーわけで、測定等をやらせてもらいますが、相手はどこに?」

「よろしく」「よろしくぅ」


 口調は根本的には緩いまんまだが雰囲気だけでも仕事中っぽくなった。

 彼を連れてギルドの外へ。

 そのまま町の外へと向かい……






「この3匹なんですが」

「な……あ……で……デカイ!! それにこの気配……! なんて力だ……!!」

「うん?」「また新しいニンゲンが」「ビビリすぎだ!」

「しゃべったあぁ!?」


 まあみんなそこから始まるよね……

 適当にまた理由をつけつつ説得し落ち着いてもらうまでしばらくかかった。

 あの半目でやる気がなさそうな雰囲気が一変して目を大きく見開いて興奮している様子で何より。


「こ、こんなやべーやつらがこの町にやってくるだなんて……! しかも見たとこ結界避けを持ってねぇみたいだが、どうやってここまで来たんだ!?」

「あー、いやまああれくらいなら自力で突破できるからなあ」

「パねぇ!」


 イタ吉がまんざらでもなさそうに褒め称えられている。

 ニンゲンに褒められるイタ吉って構図はかなり珍しいな……

 やはり根は魔物好きなのかな。


「んじゃあ早速採寸を……といきてぇんだけれど、このサイズはさすがに予備がないな……脚で代用するにしてもやっぱりここまでは考えてねえ」

「ありゃ、その場合どうすれば?」

「うーん、よくはわからないが言語が理解出来るなら話し合ってなんとか……ともいかないか。不意打ち狙いで狙撃するさいに見逃しかねんからな。魔物使い(オレら)的にも長年の悩みの種だ」


 「ちょいと失礼」と言いつつダカシの足回りをひょいひょいと身軽に動いて測定し記録している。

 やる気なさげに見えて手馴れているなあ。

 ただ無いものはないらしいのが困ったものだが。


「狙撃とかやっぱり多いんですか?」

「ああ。人が襲われている! ってとっさに撃たれたとかで魔物使いギルドに揉め事持ち込むのは昔なら日に1度は絶対ある。

 こちらとしても無駄な流血沙汰は避けたいから、少しずつ識別(マーカー)を流行らせているんだが……まだ認知度は低いな」


 正直私やジャグナーは遠くからの探知に負けない自信はあるもののそもそも狙撃されたくない。

 認知度向上はぜひがんばってもらうとして……


「それで、どうですかね……何か解決方法はありそうですか? ダカシの……その子に認識つけるのは」

「そうだなぁ……やっぱり無理だ。このサイズはない」

「なんだ? 俺だけ狙撃されるリスクあるままか?」

「いや、だが今すぐにでなければおそらく何とか出来る」


 ダカシも先ほどの不意打ちや狙撃の話で面倒だったりイヤな気持ちが出てきたらしい。

 それはイタ吉やジャグナーも同じらしく先ほどまでとは違って文句は出ない。

 正直私も欲しい。そうしたら誰が魔物使いなんだってなってしまうが。


 そして1つだけと指を立ててウノが考えつつ話す。


「あんまりオススメはできないが……隣町に行って職人にオーダーメイドしてもらうことだなぁ」

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