四百六十一生目 召喚
なんやかんやと散歩を終えて。
ふたたび我が家に戻って本を一冊。
これは例の召喚に関する記述がある本だ。
どれどれ。
……よしざっくりと記憶の中におさめて……
こんなものか。
私は今やかなり本を読むのは速い。
100ページ満たない程度ならばこの程度で記憶におさめられる。
ただ処理にはもう少し時間がかかる。
理解していこう。
召喚は皇国ではあまりないが帝国の方では比較的強く開発されている魔法。
現在も発展中でいくつかの国が手を出している分野だ。
その内容は異界に住まう存在を喚び出すというもの。
基本は幻のような獣を喚び出して戦わせる。
なお本体そのものではなく分身体に近いらしい。
別のどこかに存在する精霊のような存在が具現化し共に戦ってくれる。
そのさいは宝玉と召喚師の腕前で精霊の枠が決まり枠いっばいまでの強さでしか喚び出せない。
普通の強さではその普通を越える強さの精霊体は喚び出せないわけだ。
さらにどれだけ強くても宝玉がショボければ意味がない。
宝玉にリンクしている相手。分身体ということは本体がいてその強さを越える者は喚び出せない。
宝玉と本人の強さが揃って初めて力が引き出せる。
ただ……ここに記されている情報によると裏技じみたことも可能らしい。
宝玉は使うさいに行動力を魔力としてこめる必要があるがこの手はずを強い別のニンゲンが行う。
こうして弱いニンゲンでも強力な媒体を持って比較的強い召喚獣を喚び出せるわけだ。
ただやはり制御の問題で限度はあるらしい。
あくまでブーストをかけられる程度の意味合いだ。
そして宝玉は召喚獣が倒されると魔力が空になってしまう。
召喚獣は精霊が具現化したような体なので普通の干渉による敗退はない。
召喚師が帰還を命じれば宝玉内の魔力を少しずつ摩耗する程度で済む。
ただし新しい矛に対して常に対策を練られるのは世の常。
対召喚獣用の強制帰還魔法というものがあるらしい。
ただこの本には詳しく書いていなかった。
術者の強制帰還魔法が打ち勝てば召喚獣を帰したうえに宝玉の蓄積魔力を消せる。
それと召喚士が行動力が切れるまで喚び出していて行動力切れで帰ってしまった場合も全消耗する。
長く喚び出せばそれだけ宝玉魔力を使うが召喚士の行動力がなくなれば関係なくすべて使い果たしてしまうようだ。
宝玉に込める行動力はかなり必要で時間もかかる。
パッと復活させられないので全消耗は推薦されていないようす。
たまたまだが集落の長を眠らせたのは正解だったか。
そして場合により所持者を定めるロックをかけられるそうだ。
他人に奪われて使われないようにだね。
あれら回収した宝玉も多分ダメかな……
わくわくする内容が多いもののデメリットも多いらしい。
まず開発途上の魔法技術なため不安定性が大きく何が起こるかわからない部分が大きい。
命令しなければ行動力を伴った攻撃ができないため手の内をさらけ出しやすい点などだ。
当然宝玉自体が希少だということもある。
とりあえずこんなものかな。
休みはまだある。次の本を読もう。
おはよーございます。
休みはまだまだあると思っていたらあっという間に仕事だ。
今日はニンゲンたちの町へホリハリーの姿で偽装しつつやってきている。
2足歩行の姿だ。
町とは言え市よりは小さく簡易な壁のみ。
だからと言って集落みたいに閑散としているわけでもない人口。
ダカシたちとやってきて驚かれ私が出て王の使者だと明かして……とやって。
今ひととおり終えて町の外で事務手続きが終わるのを待っている。
私だけが代表として中に入れそうかな。
今の内に私のデータを再確認しておこう。
[ホリハリーLv..45→46
"無敵7→8" "近接攻撃10→11" "光神術4" "観察8" "峰打ち11" "魔感8→9" "鷹目6→7"止眼4→5"
"頑張る5→6" "変装7" "ズタ裂き4" "回避運動10" "三魔8" "無尽蔵の活力9" "空蝉の術6" "四耐性6"
"以心伝心8→9" "怨魂喰い5" "言語学者9" "率いる者8" "見透す眼6" "地魔法2→3"" 魂の守り4" "救急魔術師8" "指導者7"
"戦士の心4→5" "影の瞼4→5" "森の魔女5" "猛毒の花3"
"空の曲芸者3" "電気魔法1→2"
"戦場の獣1→3"]
レベルが1つアップ! 死にかけただけあるね。
強化されたスキルは全体的により強くなっているが"無敵"は少し異質。
それは『相手が精神感応系異常にかかっていた場合に干渉できる』というもの。
字面から想像するに例えば混乱になって無差別に攻撃する味方に対して押し勝てば解除できるのだろうか。
精神の状態異常は聖魔法があっても脅威に間違いはないからうれしい。
……またハズレな感じじゃなきゃ良いけれど。