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四百五十九生目 持家

『――という様子だった。そっちでもなにかわかったことが教えて』

『アーピエン、ですか。怪しい物を見かけたら知らせますね』


 ドラーグに追加の念話を送ってその日はしめくくられた。

 内部から崩す手といえばカエリラスの得意分野だが……もしかしてね。






 ここ最近のそれらの念話やり取りを頭の片隅で整理しつつ1つの本を読み終えた。

 これは玉岩竜様と呼ばれ祀られていた昔には存在したらしい竜に関する伝承を含めたデータの綴られた本だ。


 いわくそれは大食らいだとか。

 どれほどかというと主食の地面は水が出るまで食い漁り。

 おやつと称して森を潰し。


 畏れたニンゲンの捧げ者は『なんでも』嫌がらず食べたとか。

 魔物退治しにきたニンゲンたちが魔法を放ったらその魔法を食べられたなんて話も。


 あの玉岩竜を祀った大岩がどれほど関係あるのかわからないが少なくとも私の魔法を受けてもビクともしなかったあの黒結界を完全に壊した。

 しかも吸い取ったね。

 玉岩竜の力を模しているのだとしたらじっくりと私もあの魔法記述を調べたいが……残念ながら今はウォンレイ王の名の元で完全に管理されている。


 彼らが何かを解き明かすのを待つしか無い。

 ただ……黒結界の方。

 実はこちらの方は衛兵のひとりがもうひとつ持っていたのでいただいた。


 いわゆる巻物(スクロール)で魔法記述が書かれている代物。

 発動する時は行動力をこめながら投げれば良いらしい。

 長々と書かれているものの覚えやすいものだったから記憶はできた。


 ただ理解するにはまだ時間がかかる。

 理解しなければ転写しても効果はない。

 どこから始まりどうつながりどこで魔力をどう込めさせられれば成立するかくらいはわからないと……


 少なくとも多くのダメージやスキルを内外どちらからも防ぎ相手を捕らえることを主軸とした結界なのはわかった。

 戦場で敵を分断するのにかなり便利そう。

 実際にやられて理解させられた。







 さあノビノビしよう!

 今日はやることがないをやれる!

 散歩しよっかなー。


 ひとまず私の家を出る。

 今アノニマルースは絶賛建築モード。

 あちこちで骸骨たちが忙しそうに走り回っている。


 アンデッドのなかでも単純かつ疲れしらずなスケルトンたち。

 そのかわりユウレンなんかがかなりの割合で直接面倒を見る必要があった。

 ただウロスさんがやってきたことで少し状況が変わった。


 スケルトンたちよりも上位の種類を生み出せるようになったのだ。

 それがボロボロの翼を持つスケルトンで労働力が大きく増す他に思考力がそこそこあり複雑な指示もこなせる。

 そして1番の特徴は……


「こんにちはー」

「今日ハ実ニ良イ天候デゴザイマスネ」


 カラカラと音をたてつつ返事をして来てくれた。

 そう翼スケルトンは会話が可能だ。

 そのままスケルトンたちに指示を飛ばすことも可能。


 本日の工程表さえちゃんともらえればたくさんのスケルトンたちに翼スケルトンが指示を飛ばすことが可能。

 中間管理職とか現場監督と言った言葉がよく似合う。

 その代わりスケルトンたちよりはたくさん作れないらしい。


 これにより職人たちの作業能率が断然アップ。

 元々かなりの勢いで新しく入居者が増えていて順番が回って来ず私の家兼会議室はテントのままだった。

 しかし! このたび新居完成!


 ピカピカの新しい家が立派に建った。

 土レンガや荒野の迷宮岩を使いつつ耐震性能も良いしうまく木材も組み込んである……らしい。

 結構おまかせにしていたから。


 会議などにも使われる大広間と私のプライベートルームその他もろもろで構成されている。

 別に大きすぎるわけでも2階建てでも豪華絢爛でもないが職人たちがその分こだわり抜いた……らしい。

 それと実験的に最新技術を取り入れている。


 たとえば行動力をこめれば水が出る蛇口。

 さらにその水が流れて排水されるルート。

 現在作成しつつある下水道に最終的につながるようになっていて試験運用中。


 火の魔力装置に行動力こめてから水の魔力装置を動かして少しすればお湯が生成されるものも。

 シャワー装置だ!

 九尾博士あたりとも相談しつつここはこだわって作った。


 使い心地は……調整中。

 熱かったり冷たかったり落ち着かない。

 それと水量が弱いあたりかなぁ。


 それと下水システムはまだ未完成だから仕方ないけれどゴミ受け皿あってもまだ詰まりやすい。

 どうすれば流れやすいかは前世の記憶を頼りに模索中だ。


 それと魔法灯がくくりつけられている。

 これもニンゲン界にもあり夜も明るい。

 当然魔力を消費するということはどこからか供給する必要があるわけで……


 その場所は水車ならぬ龍脈車。

 散歩しにやってきたが相変わらずサイクロプスたちは暇があれば鉄を打ち仕事があれば鋼を打っている。

 鍛冶をやって疲れたら息抜きに鍛冶しているぐらいの種族。


 だが今回は彼らに用はない。

 龍脈車を動力にしているその様子を見に来ただけだ。

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