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四百四十八生目 殴合

 イタ吉が召喚者の集落の長をさらって向こうの通路へ。

 あちらでイタ吉の音速のような切り刻みに対処できずに傷ついているはず。

 私は召喚獣である人狼神プライドを押し倒していた。


「今だ!! 俺を()ぶんだ!!」

「えっ?」


 押し倒され完全に身動きが取れないはずのプライド。

 だが隣に聴こえるようにそう叫んだ。

 もしやまだ何か手が。


 そう思っていたら不意に手応えが消えた。

 プライドの全身が(エフェクト)に包まれて消え去ってしまった。

 いっ一体どこにいった!?


「ぐあっ!?」


 隣から悲鳴!

 しかもイタ吉の方!?

 まさか! そっちにワープすることも出来たのか!


 急いで破れた壁の向こう側へかけつける。

 イタ吉が私の方へと吹き飛ばされてきた。

 受け身を取り4足でなんとか耐えていた。


「くそっ! いきなりワープしてきたぞ!」

「あ、危なかった……」


 イタ吉が腕についた爪の傷による血を拭いすてる。

 一方つけた側であるプライドは凛としてその場に腕を組んで立っていた。


「俺には勝てないぜ。たとえ縛りが多くてもな。魔法も俺の圏内なら使えないのは変わらん」


 集落の長は傷はないが泥だらけ。

 "観察"してみると生命力ゲージが1本目を7割削られ行動力ゲージが2本目を使いだして3割程度消費している。

 魔法封印と叫びによる破壊が行動力を大きく消費するがそれ以外は肉体行動でかなり行動力ゲージの消費が少ないか。


 おそらくだが"魔感"での感覚的にプライドをこの場に現界させるだけでも僅かに行動力を食っている。

 ただこちらも補助魔法が切れるとジリ貧。

 どのタイミングで有利に転じるか読みにくい。


「さ、再度召喚……その手がありましたか……!」

「今度からは落ち着いてやれ。召喚済みの場合は今みたいに瞬時に駆けつけられる」


 もう一度この場に召喚しなおしたというわけか。

 もう分断作戦は通用しない。

 だがこちらも気概十分。


 飛び込み「爪だ」という奥から響く声を聞きながらプライドに私も爪を振るう。

 プライドの爪が輝き私とかち合い互いの力が爆ぜて弾かれる。

 うー。しびれる!


 そのまま足や頭のツノ状鎧部分で"すくい上げ"で相手の攻撃を抑え込む。

 だがプライドも的確に格闘で返していく。

 実質腕だけなのに早い!


「オラオラ! 姿がかわってもその程度じゃあ俺には届かんぞ!」

「行け! 格闘戦だ! 何とかくいとめろ!」


 集落の長が声を裏返しながら叫ぶ影にイタ吉が跳ぶ。

 そう私だけ相手していれば良いわけじゃない!


「わかってるっての!」

「うおお!?」


 素早い蹴り上げが(エフェクト)まといなかまらイタ吉を襲う!

 私と殴り合っていたのに高速で移動しながら蹴りを!?

 武技のひとつか!


 集落の長がプライドとイタ吉と技が激しくぶつかりあった後に驚き声を上げ逃げ惑っている。

 (エフェクト)がぶつかりあい爆ぜて押し戻すとその勢いを保ったまま私の方へ飛んで来た!


「ちっくしょう、早え!」

「まだだ! 召喚者、お前は壁際にいろ!」

「まだまだ!」


 イタ吉が地面に落ち私は再びプライドと激しく殴り合うことに。

 くう。まるでスキがない。

 行動力も思ったより減らない。


 集落の長は悲鳴を上げながら頭をかばいつつ必死に壁際に移動している。

 ただ指示を必死に出すようになってきたせいでプライドの攻撃が止まらなくなってきた。


「ひいぃ! 殴れ! 蹴れ! 何とか(たお)せぇ!!」

「力がみなぎってくるぜぇ!!」


 互いに足を止めない。

 駆けてスキを伺うがこちら2匹を相手にしていてもまるで崩れない。

 戦い慣れしている!


 右前足で振るい爪で斬り裂くとそれをあえて左腕で受けてから右の爪を振り抜き鎧を裂こうとしてくる。

 相手は腕から光が溢れ私の鎧からは嫌な金属音。

 ひるむことなく横に走るがプライドもついてくる。


 私に追いつけないほどの3連蹴り!

 武技らしく強烈で2発はまともに鎧越しに響く。

 最後は必死に喰らいついて頭の受け槍部分に当てて弾いた。


 だが反動でズザァと少し押し飛ばされてしまった。

 その間に隣にいたイタ吉がプライドとの高速戦闘に連れ込まれている。

 目で追えるが早い中で少しずつイタ吉が喰らっている。


 力も速さもプライドのほうが召喚されているという制限のためか負けている。

 だが武技でその力量差を一瞬ひっくり返して2匹同時に攻撃を加えてきていた。

 こちらは回復できないのにプライド自体は生命力がないから厳しいな……


 ただ攻撃すれば光が漏れているし傷も残るから痛みや疲れはあるのだろう。

 それを凌駕するのが戦い慣れか。

 細やかな技量差でとにかく負けている。


 前方に詰め集落の長の元に向かえばこちらを殺気が見る。

 行動力を摩耗しつづける音速の戦闘で空中にいた一瞬からイタ吉を掴み私の方へ投げてきた!


「「わぁ!?」」


 あわてて受け止めるように一緒に転がる。

 あと少しの距離が遠い!

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