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四百四十五生目 月吠

「待って! いきなりなんで……」


 言葉は紡ぎつつ身体は動かす。

 補助魔法ぶんまわし準備しながらドライに肉体操作権限を渡す。

 イタ吉と共に今いる場所から離れるように跳んだ。


「頼む、やつらを!」


 集落の長が叫ぶと神さまことプライドが下からすくうように爪を振るう。

 そのまま爪撃が地面をえぐり私達のいた場所を通過していった。

 明らかに殺しに来ている!


「それが召喚者の願いだからだ!」


 プライドの言葉に思わず集落の長を睨む。

 目をそらされた。

 なるほど集落の長が召喚者でプライドはその召喚された相手……

 集落の長は召喚師とかいうやつなのか。


「か、カエリラスたちが我々の未来を保証してくれた! この召喚獣神も彼らの贈り物だ! 見知らぬお前たちの、はたまたまともに支援もしてくれない帝国の言いなりになる義理はないんだ!」

「降伏か、死かの手紙……?」

「降伏……? いや私達に届いたのは――」

「バカが! 会話するな! お前の指示がないと俺は動けん! 戦わせろ!」


 よし光魔法"シールド"を私とイタ吉に展開!

 これで多少頑丈になった。

 集落の長はあまり慣れていないらしくあたふたとしている。


 それに今の話もっと聞きたいな……

 そのためにはやはりプライドになんとしてでも神様のいる場所に帰ってもらわねば。


「プライドさん、手を引く気は?」

「ないな。こいつが手を引く気がない限りはな」

「も、もう一度爪で!」


 今度は逆の手から爪の軌跡が(エフェクト)となって飛んできた!

 横なぎはこの狭い場所ではかわしにくい。

 ジャンプ!


「くっ!」


 横から少し痛みの声が聴こえる。

 みるとイタ吉が回避しきれずに身体にかすっていた。

 血を流してはいるがまだ大丈夫そうだ。


「やっぱり、召喚者の指示と行動力消費で動けるのか……」

「ああ。隠すまでもない、有名な話だからな」


 知らなかったとは言えないな……!

 指示をだすたびに少しずつ集落の長の行動力が削れてきている。

 ゲージが2つみえたのは召喚獣のプライドの力が一部付与されていたからかな。


 だけれども召喚獣側は召喚者がちゃんと動かないと何もできない。

 レベル表示が見えなかったのももしや集落の長の力に左右されるからなのか。

 それならばまだ勝機はある。


「おい、だから連続で斬り込まないと勝てるもんも勝てないぞ」

「そうは言ってもだな、当ててくれなければ私が先に尽きる……!」

「だったら負けてくれ!」


 目にも止まらぬ速さでイタ吉が突っ込んだ!

 プライドは目で追っているが集落の長は見失っている。

 よし!


「フン!」

「なっ!? 指示してないのに防いだ!?」


 イタ吉の鋭利な前脚斬りは間に割り込んだプライドが腕と筋力で抑えた。

 プライドの腕が少し傷つき血の代わりに(エフェクト)が漏れ出る。

 そうかあれはワザじゃないから……


「残念ながら……ただの取っ組み合いなら指示は関係ないぜ。召喚者!」

「あ、はい! 掴み投げてトドメを刺せ!」


 プライドの身体に集落の長から行動力が注がれ(エフェクト)が輝く。

 イタ吉の腕を弾き飛ばしそのまま掴んだ。

 流れるように膝蹴りで投げ飛ばす!


「ぐほっ!!」


 強い……!

 命令さえあればイタ吉が歯牙にもかからないのか?

 追加で行動力を貰ったイタ吉に対してトドメを仕掛ける!


「ムーンブレイクシャウトォ!!」


 両腕を開き胸を大きく開いて足を広げ大の字に。

 背中からおちたイタ吉に向かって大口を開いた。

 まずい!


 "止眼"! 何が来るかわからないけれどイタ吉と私両方直線上から離れた方が良いだろう。

 "鷹目"で次の曲がり角を見て……


(魔法の準備は!?)


 大丈夫。イタ吉が捕まり出してから唱えたから間に合う!


(じゃあ"止眼"終わりで飛び込むからイタ吉抱えると同時に飛べ!)


 "止眼"解除!

 引き伸ばされていた時間感覚が元に戻る。

 時間がふたたび動き出す!


 最速でイタ吉に飛び込む。

 もはやタックルをかますがごとくだが仕方ない。

 触れた瞬間に(くう)魔法"ミニワープ"!


 姿が消えイタ吉と共に曲り角の向こう遠くへ転げる。

 オオカミの猛獣としての叫びが聴こえたと思ったら(エフェクト)の乗った風が私達がさっきまでいた場所を打ち砕く。


 地面がえぐれ壁がもげ角の壁そのものにいたっては爆砕。

 こちらにも土煙が飛んできた。


「くっ……」

「あれは、喰らっちゃダメなやつだね」


 土煙の向こう側から足音が聴こえる。

 地面がえぐれたせいで盛り上がった部分に足をかけてこちらを見下ろす影。

 もちろんプライドだった。


「よお、今のを避けるとは驚きだな。何を――」

「ゲホッ、ゲホッ! や、やりすぎだ! 迷宮が崩れたらどうするんだ! 今ので私のエネルギーもかなり減ったぞ!」

「うっせえ黙ってろ!」


 この連携の甘さだけはなんとか突ける穴か……?

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