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四百四十四生目 死神

 ちょっと不安だがモグラ人を部屋に置いて外に出る。

 隠し扉がしまって行った。

 この気配の場所は……


("ディテクション"で見られるようにしといたよ!)

(腕が鳴るな!)


 ありがとうアインス!

 もしもの時はお願いドライ!

 脳内マッピングで既に広く作れていたところにアインスが割り出した気配のポイントが表示されている。


 外に出る道近くか……嫌なところだ。

 イタ吉も今のにはイヤでも気づいただろう。

 ……あ。やはり。


『ローズ、今のわかったか!? どこに行けばいい?』

『うん、今向かっている。出入り口付近にいる』

『わかったぜ』


 イタ吉から"率いる者"で私の"以心伝心"が借りられ念話が飛んできた。

 心の声だけれど相当焦っていたな。

 それもそうか。私も冷静とは言えない。


 けして広いとは言えない空間を思い切って駆けていく。

 狭い空間で空気が周囲を荒らさないように行動力を配慮し高速移動。

 この世界の物理法則はある程度ならこうやっておとなしくさせることもできる。


 出入り口から徐々にではなく出入り口から少しいったあたりで急に現れたのはなぜなのか……

 とにかく行ってみるしかないか。

 一陣の風のように駆け抜けた。






 そろそろか。

 イタ吉は奥に行っていたから

まだ来ていない。

 数の優位性を取れないからココからは隠密行動をメインで。


 近くの曲がり角に身体をよりかからせ聞き耳をたてる。

 さらに"鷹目"で視界を向こう側へ飛ばす。

 こういう時かなり使いやすい。


「なあ、なあなあ本当に大丈夫なんだろうな?」

「だーいじょうぶだって。遠くからこっちに来ている反応はちゃんとある。そいつらを殺せば良いんだろう?」


 その姿は1言でいうなら幻獣だった。

 現実離れした淡く緑にきらめきなびく毛皮やたてがみ。

 太く巨大な2本の足とそこから生える長い爪が地面を掴む。


 薄い腹部の毛皮からはニンゲンのように鍛え抜いた割れた腹筋が垣間見えその顔は狼のそれそのもの。

 腕を組み胸に三日月型に小さく光っているのが見える。

 彼は威圧しているというよりももはや『存在が異常』と頭の奥まで理解させられるような気配を保っていた。


 これは"影の瞼"が発動しないから精神攻撃ではないのだろう。

 ビンビン伝わってくる存在の警告。

 ただいるだけの脅威。


 人狼のゴウには悪いがこちらは『ホンモノ』としか言いようがない。

 身長も2mほどあるのかなあれ。


[プライドLv.--]

[プライド 太古より神として存在するうちの1柱。月の静寂を司り同時に狂気のシンボルとされていて現界時は人狼の姿を取る]


 か、み、さ、ま?

 なんでそんなにヤバイのが……

 しかもレベルや生命力それに行動力とかまるで"観察"が通らなかった。


 そういえばもう1つ声が。

 プライドの影に隠れていた男がチラチラ周りを見渡しつつこぢんまりとしながら現れる。

 あれは……集落の長!


[ダブルヒューマンLv.24 比較:そこそこ弱い 状態:悪魔憑き]


 大半の者はレベル10代をうろうろしていてトランスもそこまで重ねない。

 ダブルヒューマンは冒険者のように鍛えて2回ほどトランスしてレベルも20代まで増している。

 そして……隠しているまたは制御しているが悪魔がいる。


 悪魔憑きはダカシも一応そうなるし見た目にあらわれて集落を破壊したりもしていない。

 穏便に済ませられるならこっそりと後で話し合い誤解があってはいけないようにやりとりするつもりだった。

 ただ……もしかしたら先に仕掛けられたかもしれない。


 だって神さまだよ。

 神さまとつるんでいきなりこんなところにいて不穏な会話しているんだよ。

 明らかに話し合う方向じゃないよ。


 それと気になったことが。

 "観察"したさいに集落の長の生命力と行動力ゲージにプラスでもう1本存在した。

 もしや増えている?


 あの神さまの力か……?

 強化だとしたら困るな。


「む……今『観られた』ぞ!」

「え、何を見られ……?」

「おい、早くあのカドだ! 離れると力が来ない! そっちが指示しないとこちらは何も技が使えないんだからよ!」


 うわあまずい!

 今気になった単語があるが急いで離れる!

 私が駆け出して少しすると私がいた場所が吹き飛んだ……!


 あっ危ねえ……!

 "観察"に反応できるタイプだったか!

 イタ吉に知らせないと……


「おい、ローズ! 今の音は!?」

「あ、イタ吉! 早く撤退!」

「えっ?」


 だがたまたま今ココにたどりついたイタ吉が話しかけてきてしまった。

 普通なら気にされることのないイタチ言語。

 だが今はおそらくかなりまずい。


「ハッ!?」


 背後から闘気!

 イタ吉も思わず固まってしまった。

 背後を振り返るとそこには先ほどの神さまプライドが立っていた。


「来たな……どっちも俺のために、死ね」

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