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四百四十二生目 接待

 坑道の中でコウモリをみつけ話を聞くことに。


「悪かったな、お前に聞きたいことがあってな。捕まえないと逃げちまうだろ?」

「当たり前だ! で、なにを聞きたいんだ? オイラ知っていることは少ないぜ」

「この坑道の中に関することと、最近変わった事を教えてほしいんだ」


 空魔法"ストレージ"で亜空間から虫肉の一部を取り出してマズルの上に乗せてコウモリに渡す。


「お、良いのかい!」

「タダというのもなんだしね」


 普段からこういうものは結構持ち歩いている。

 魔物たちとの交渉に使うからね。

 コウモリはやはり昆虫食だったらしく美味しそうに食べてから話をしてくれた。


「ええとそうだな……ここの坑道は結構狭くて、おいらたちコウモリは夜になったらたまに外に出るぜ。中ばかりだと息が詰まるからな」

「コウモリからしても狭いんだ」


 狭いし特に魔物よけもされていないから普通に坑道からコウモリが出ちゃうらしい。

 普通の迷宮だと外の世界自体ほとんど知られなかったりするから面白い話だ。


「だからニンゲンがしょっちゅうくるのもおいら知っているよ。まあ互いに気にしてないけれどね。それと……なんか先日イヤーな気配したんだよなぁ」

「ニンゲンたちはなにしに? 嫌な気配って?」


 少しずつ聞いていく。

 コウモリがじっとこちらをみた。

 ……はい。虫肉。


「うし。ニンゲンたちはなにかほって運んでいるだけだな。嫌な気配は……嫌な気配としか言いようがないが、そうだな。恐ろしく強い奴、それが突然現れたような、そんなとこかな」

「うーん、ありがとう」


 何かありそうだなあ。

 用心はしておこう。


「ああそれと、隠された部屋ならみつけたことがあるぜ。おいらたちは音でそういうの分かるからな。教えるなら……」

「はいはい」

「まいどあり!」


 ちゃっかりしているなあと思いながら虫肉をさらに渡した。






「ここがポイントか? 普通に壁のようだが」

「まあ隠されているって言ってたしね」


 一見普通の突き当りに見えるこの場所。

 コウモリが言うにはこの向こうに空間があるらしいが……

 地魔法"ジオラークサーベイ"!


 (エフェクト)が地面に沈む。

 すこしして返ってくると周囲情報が大量雑多に私になだれこんだ。

 お願いアインス!


(ほいほーい。こんかいは楽そう〜。ばしょもわかっているから……コレ!)


 おっ早い!

 ありがとうアインス。

 "ディテクション"による脳内マッピングに情報が追加される。


 たしかにこの壁の向こう空間が広がっている。

 それで開ける仕掛けは……これかな。


「イタ吉、そこから垂れている根っこのうち右から4つめ引っ張って」

「うん、これか?」


 イタ吉に2足で立ち上がってもらい根を強く引っ張ってもらった。

 ただの岩に見えた部分がガラガラと仕掛け音させつつスライドしていく。

 短い空間がありすぐに明らかな押し扉が現れた。


「隠し扉に2重扉……」

「へえ、こうなっていたのか! 行ってみようぜ!」

「誰かいるみたい、気をつけて」


 ごく自然に私の言葉を聞いてイタ吉の気配が消える。

 視認出来ているから問題はないけど。

 私も気配を消して扉をこっそり押し開ける。


 奥にはニンゲンひとりがくつろげる程度にこじんまりとした空間。

 魔力を感じる机と壁……やたら低い机でまるで子ども用。

 そして脇にあるベッドで爆睡している魔物。


[コボヒミLv.14]

[コボヒミ コボルト種の1つで人型のモグラ。視力はほぼないがそれ以外が鋭敏で地下でも地上でも変わらない活動ができる]


 小さい人型のモグラがこれまた小さい石のベッドで横になっている。

 小さいと言っても私と同じくらいだが。

 イタ吉より小さい。


 たぶんそろそろ言語を学べただろう。

 イタ吉には制止指示を出して忍び寄る。


 そうっと近づいて"ヒーリング"と"無敵"を使う。

 ……よし通った。

 それと同時にさすがに起きた。


「ぐがっ……うーん? 何……? え!? この部屋に誰かがいる!?」

「おはよーございます……お邪魔してます……」


 私と相手の鼻向きが合った。

 見えていなくてもやはり正確にわかるのか。


「うわああああ!?」

「落ち着いて! 攻撃する気ないから!」

「お前そんなに強くなさそうだからな」

「もう1匹いたああああ!?」






 しばらくどんちゃん騒ぎがあって。

 なんとか落ち着いてもらいベッドにこしかけてもらう。

 雰囲気はかわいらしい小獣人ながら土を掘るための爪と明暗程度しかわからない退化している小さな目がモグラなのを裏付けている。


「はああ、まさかここの仕掛けが破られるだなんて……」

「まあ私達も見つけたのはほとんど偶然が重なったからだもの。別にキミを狩りに来たわけじゃなくて探索していただけだよ」

「ただ、話を聞きたいこともあったしな。だよなローズ?」


 私はうなずいた。

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