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四百三十九生目 警戒

「あ、あそこが聞いたところかな」


 今日はイタ吉とジャグナー含んで歩いていたら噂の集落を見つけた。

 まだ『嫌な気配』はしないがパンダから聞いていた地理と一致しているから間違いはないだろう。

 ここまでくるのにダカシは訓練と魔物たちとの戦いでかなり鍛えたがまだまだそのレベルに見合うだけの能力は発揮できない。


 疲労と引き換えに行える肉体変化して腕を生やし剣を振るうものはあまり連続で使えない。

 あくまで奥の手だ。

 使えばダカシが剣士として振る舞えるからかなりこの巨体を活かせるんだけどね。


「お、集落の方なんだかさわがしくないか?」

「そりゃあそうだろうな! 何せこれだけ大きければ向こうからも見えるだろう!」

「魔物が襲いに来たと思われてなきゃ良いけれど……」

「十中八九思われているよ」


 イタ吉が指摘した通り集落の方で兵士たちが大慌てで走っている。

 集落の一般人はパニックだしダカシの心配どおりのことになっている。

 このままだと問答無用で矢を放たれるだろう。


「どうする? さすがに攻撃されるのはマズイんじゃないか?」

「こっちに攻撃意思がないのを示せば良い。できるか?」

「や、やってみよう」


 イタ吉とジャグナーに振られてダカシが覚悟を決める。

 まあ間違いなく的にされるのはダカシだから失敗すれば痛い目見るのは自分だものね……


「ええと……俺たちは! 通りがかりの者だ! 危害は加えない!」

「な! 喋った!?」

「喋る知性があるのか!?」


 すぐに矢を射られることはなくなった。

 そのかわりまだ全力で引き絞られている。

 息を呑む音が誰彼と聴こえた。


「俺は……そう! 人間だ! 元々人間なんだ! 信じて欲しい! 危害は加えない!」

「何をバカな……」


 銃身がダカシを狙い続ける。

 そうだな……あとはどうしようか。


「うう……何をすれば信じてもらえる!?」

「良いだろう!」


 建物の中から誰か出てきて全体に声をかける。

 みなの注目がそのおじさんに集まった。


「長、危ないからお戻りください!」

「なあに、言葉が通じている時点で人並の知力はあるということだろう? おい、名前は?」

「だ、ダカシという」


 なるほど集落のトップか。

 みなダカシと長を交互に見守る。


「ほう! ダカシ、何か身元を証明出来るものはないか?」

「身元か……俺のはなあ……」


 ダカシの冒険者証明書は現在再発行手続き中だ。

 荷物を一通り失っているから大変だよねえ……

 ああ身分証明と言えば。 


 ダカシの影でこっそり魔法。

 空魔法"ストレージ"で亜空間から王の紋章が刻まれた指輪を取り出す。


「これなんてどうですか?」

「他の魔物も喋れるのか!?」

「あー、いろいろ言いたいが……とりあえず距離があってよくわからないな」


 だろうねえ。

 ここはアレだな。

 あえて目の前で"進化"しよう。


「私は、少し事情が違うんです。少し待っていてくださいね……」


 4つの魔力を合わせ……"進化"!

 2足歩行のロゼハリー!

 自動的に服が現れて私を覆う。


 普段は毛皮の一部になりロゼハリーの時だけ現れる私用に仕立てられた服。

 最初はこんな機能なかったのにどんどんと『馴染む』のだから面白い。


「な!? 人型に!?」

「私は彼の事情が特殊なので共に旅をしている者です。そちらに指輪を見せにいっても?」

「おお、もはやなんでもありだな……兵士さんたちよ、近づいても撃たないでやってくれよ」






 その後正式な王の紋章を見た衛兵たちは大慌て。

 集落の長も納得してくれて中へと通してくれた。

 魔物避けの丸薬もちゃんとみんなに飲ませる。


 改めてこの集落に近づくと……本当に田舎だ。

 壁がないだけではなくそもそも大半の畑以外は家が7個しかない。

 内宿屋兼酒場が1になんでも取り扱う店が1つ。

 家としても兼ねているそうだけどね。


「あんたたちに攻撃しなくてよかったよ。まさか王の使者様もいたとはね」

「ありがとうございます、信じてくださって」

「結局、最初からそれ見せてやれば良かったんじゃあ……」


 ダカシがぐちる。

 まあそうともいうが……


「いや、なかなかないとは思うが、王の紋章であっても盗品でないとは限らないだろう? 本当に敵意がなさそうでなければいれないさ。それに王とは言っても地方王、しかも銅系色はあまり高い権力ではないからな」

「そうなのか?」

「あまり詳しくなさそうだな、どれ、向こうで腰を落ち着かせて話すとしよう」


 衛兵たちも今だ警戒はしつつ囲み歩いていく。

 イタ吉やジャグナーはほとんど関わっていないので気楽そうにしていた。

 私はまた元のケンハリマに戻るとめちゃくちゃ驚かれてリアクションが新鮮。


 畑を越え家々に差し掛かる瞬間に結界を通り抜けた独特の感覚。

 何か見えないピンとはった薄いものが全身を貫いて抜けていったようなものだ。

 って! 魔物よけの結界狭っ!

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