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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
そして迎えるは春か破滅か
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四百二十七生目 観塔

 小難しい話は一旦終わって。

 港町から離れて郊外。

 農場はちょくちょくあるがきれいな野原が広がっている。


 冬だしさすがに植物たちは元気いっぱいとはいかないが存外たくましい。

 さて……


「ここらへんから目撃区域、その奥が実際に被害があった場所、今の位置からいうとさらに奥の山がドラゴンの去っていった方向か……」

「人里に手を出す竜はそこまで強くはないと思うけれど……」

「ここらへんから強化魔法かけつつ警戒していきましょうか」


 てくてくと歩き先へ。

 グレンくんを除くメンバーに効果時間を重視して伸ばした強化魔法をかけつつ被害現場に移動した。

 そこは観測塔と呼ばれる簡易な石造りの塔。


 普段は竜から天気それに魔物たちの動向やニンゲンの動乱を見て情報を送る場所で各地にたくさんあるらしい。

 そして見事に観測塔は竜を見つけたのだが……


「うわ、手ひどくやられているね」

「ドラゴンはなんでこんなことを……」

「さあな、ドラゴンは比較的凶暴なやつらも多いから、興味本位に潰したかもしれん!」


 オウカが警戒で声を落としグレンの疑問にダンが答える。

 答えと言うより推測か。

 塔の周囲は焼け野原になっていた。


 何かが吐いた炎が大地を焼き払い塔は焼け焦げて打撃も受けたのか一部壊れている。

 多くの人が出入りしていた。


 現場の修復を行っているらしく大きな混乱もない。

 ある意味いつものことなのだろう。


「邪魔しても悪いし、行こうか」

「……ん?」


 耳が何かが鳴くような声を捉えた。

 光魔法"ディテクション"のマップによると……む。

 ドラゴンが去ったという方向から高速でなにかきている。


「どうかした?」

「戦闘準備を、何か来ています」

「ほう、ドラゴンか!?」


 グレンくん以外が武器を取り出し空を眺める。

 グレンくんは念の為に下がらせた。

 塔の方がざわつきだし次第にゴウたちも顔つきが変わる。


 空を裂いて飛ぶ音が響き渡り轟音と共に舞い降りる。

 腕がコウモリのように翼膜があり空を飛空出来るように変質している。

 私達の方を見て身体が押されるほどの咆哮を放った!


「グガアアアアアアアアッ!!」


 思わず耳を抑える。

 とりあえずかんさつ――


「うる、さいわぁー!!」


 いつの間にか巨大化して多くの光の奔流が束ねられたような光の剣。

 エネルギーのこもった1撃は反動と重量が見た目以上にあるだろうがそれを掲げたあとに両手で力いっぱい振り下ろす。

 重々しい振りは空気を焼き払いながら切り裂き見上げたドラゴンの頭をたたっ斬る。


 あの……相手大きいとは言え100m以上は離れているんですが。

 たぶんもっと遠い。

 1歩踏み込むだけで地面ごと光のラインがドラゴンの身体に刻み込まれるとは。


 そしてきざまれた光のラインが強く輝く。

 激しい爆発が一直線に!

 当然ドラゴンも巻き込まれ悲鳴じみた吠え声が響く。


 煙の中に飲まれた巨体が煙を突き破り後をひきながら空を飛ぶ。

 たまらず飛び上がったらしい。

 だがゴウはすでに弓を空に向けて矢をつがえていた。


「この弓は、飛ぶものには容赦しないですよ!」


 (エフェクト)が塊のように集う矢が放たれる直前に大弓が輝く。

 曲がりくねってあちこちに無駄な枝のように見えた部分が変化してゆき(エフェクト)の翼が伸びる。

 ニンゲンではなく機械が引くような大きさの弓へ化けてからその弦は離された。


 狙う場所はドラゴンより遥か上空。

 一瞬ミスかと思ったが違う。

 ドラゴンが飛んで移動しようとしたそのさらに上空が光り輝く。


 轟音と共に空から青い光が降り注ぐ。 まるで空の一部を落としてしまったかのように澄み渡る青が太い光線がドラゴンの頭や翼そして身体を飲み込む。

 強烈な瞬きと共にドラゴンの身体はいつの間にやら地に落とされていた。


 そして頭に刺さっている1本の矢。

 ……"観察"。

 死んではいないな。死んでは。


「なあんだ、俺の出番すらねーじゃーねーか」

「ふう、まあ弱い種だったようですし、飛んでいる相手なら敵じゃないですからね」

「ここならぶっぱなしても地面に穴があく程度だからね。やっと思いっきり戦えたよ」


 いやさすがにそこまで弱くないし少なくともこの観測塔の人たちは好き放題焼かれたんだけどなぁ……

 まあとりあえず。

 私は剣を取り出し敵愾心(てきがいしん)を削るオーラを放ちながらドラゴンに近づく。


 瀕死なドラゴンに近寄り"無敵""ヒーリング"を重ねがけ。

 このまま落ち着いたら説得して帰ってもらおう。

 さてと……


「あっ!? 危ない!」


 グレンくんの声を背後に最後まで戦う意思表示か大口を開いて私に噛み付こうとする。

 牙がきらめき唾液が飛び散る。

 もう竜臭いの困る。


「ほい」

「ガアッ!?」

「おとなしくしててね」


 まあさすがに瀕死時の相手ならば楽に(くう)魔法"フィクゼイション"で空間ごと顎を固定できる。

 噛み付く瞬間ならともかく動かせないと分かりドラゴンが焦ると滑稽にも見えてしまう。

 結局その顎のまま治療し続けることとなった。


「み、みんな無茶苦茶だ……」


 グレンくんの言う通り光の剣やら空落としビームとかめちゃくちゃだよなあ。

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