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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
そして迎えるは春か破滅か
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四百二十一生目 青煌

「おらぁ! 爆裂パーンチ!!」


 マストの途中まで登ったダンが無理矢理身体をひねり赤熱した拳を何度も叩き込んでいる。

 拳が入り込むたびに蒸発するようにスライムが砕けてマストを掴む力が弱まる。

 殴打だとスライム相手にはどうするんだと考えていたがなるほどやり方はあるわけか。


 スライムは物理的なものには比較的強く特に殴打はプルプルボディに飲み込まれてしまう。

 小型ならそのまま押し切って内臓を破壊する手もあるがこの巨大さだと無理。

 ただたいていは魔法耐性はそうでもない。

 属性……つまり燃やしたり感電させたり凍らせることは比較的通る。


 ゴウもガタガタになった船上を走り回りつつ迫りくる触腕を凍てつく力を込めた矢を放ってガチガチにかためようと何度も放っている。

 動きがかたまって来たところに爆裂矢を放つと爽快なほどに爆発し砕けた。


「うわっ!?」


 オウカの叫びが聴こえたので見たら触腕に身体が飲まれかけていた。

 押しつぶすのが困難と判断してやり方を変えてきたのだろう。

 だがオウカの手元には光の剣。


 周囲に光が一回転走ると触腕がキレイに切り落とされる。

 そこからオウカが飛び降りた。


「……げへっ、はぁー、私を舐めるなって! あー、スライムが鎧に入ってヌメヌメ……」


 大丈夫そうではある。

 私は準備完了したのでホリハリーに"進化"!

 2足歩行で魔法特化だ。


 そのまま駆けてスライムから見て物陰に滑り込む。

 この姿は普段より運動能力が低い。

 その代わり精霊2つに指示して魔法を量産だ。


 さあ補助祭りの始まりだ。

 まずは悪魔の目に届かせるための火力を!

 火魔法"フレイムエンチャント"で武器に炎を灯らせる!


「うおっ!? 拳が燃えだした!? ってこれは味方の魔法か!」

「私の光の剣は燃えてくれないのかい!?」

「ごめんそういう火のつけようのない武器は無理!」


 互いに叫びが雨風と触腕の轟音にかき消されつつもなんとかうまく行っている。 

 この調子で!






 一通り補助魔法を高速で味方全体にかけつつ何度も隠れ場所を変えて唱え続ける。

 剣ゼロエネミーはいい感じに働いてくれていくつか触腕を破壊している。

 治るけれどね。


 敵愾心(てきがいしん)を削るオーラもどこまで効果があるかわからないが放っている。

 ただ時折スライムにある悪魔の目がイヤそうにまたたきひるんだりするから全く効いてないわけではなさそう。


 よし2つの魔法を組み合わせ対悪魔魔法発動!

 聖魔法"レストンス""セパレーション"混合!

 みんなの身体に聖魔力がまとう。


「よしきた!」

「これ以上は私達以上に船が持たない! 決めるよ!」

「道開けます!」


 船はマストに痛々しくえぐれている。

 船上の床は板がガタガタで穴も空いている。

 手すりはいくつか海に落ちた。


 これから何があるかわからない場所に乗り込むのにこれ以上ガタを来させるのは明らかにまずかった。

 と言うかマスト折れたら航行不可だから!

 だからマストの触腕だけなんとか剥がしたあと全員で本体に向かう。


 なお私は剣ゼロエネミーのみである。

 本体は隠れて次の魔法準備。

 攻撃魔法だ。


 2本の触腕とオウカとダンが接触!

 斬って殴ってその分触手の勢いを正面から受けることになりおそらく全身ひどくしびれる衝撃はあるはず。


「「やああぁ!!」」


 それでも押し切る!

 補助で加速させられた力とシールド含めた防御力で耐えて返し抜く。

 触手を拳と光の剣が貫いた!


 さらに2本触腕が差し迫る!

 剣ゼロエネミー行って!

 更にゴウが弓を引き絞り続け走りながら行動力を高めていく。


「シッ」

「それっ」


 弓から矢が放たれ渦巻くエネルギーを纏いながら燃える矢が3つに分裂する。

 触腕2つと激しく衝突し2本穿(うが)った方は押し勝ちそう。

 もう片側に向けて剣ゼロエネミーは飛んでいく。


 ドライによる操作で念力のように魔法で動かし変形させていく。

 穿ち穴を掘るための形状。

 ドリル型だ。


 さらに土魔力を解放し接触!

 激しく回転し土魔力が多数爆ぜて火花が散る。

 そのままスライム体を難なく刺し抜いてもうひとつの触腕ごと穴を開け土魔力があたりにきらめく。


 強く爆発し触腕を破壊した!

 煙っているがそこに私が突っ込んで抜ける。

 ついに本体のおでましだ。


「コレで!」


 火魔法"ヒュージ・フレイム"!

 水場だから環境的にはあまり優れていないが土や地魔法よりも使いやすいこれで。

 私の真上にニンゲン1人簡単に入るくらい大きな火炎玉が現れると魔力が燃える音と共に色ときらめきが変化していく。


 青く艶めかしいほどにキレイな輝きは高密度な魔力炎の証。

 気分的に腕を振ってぶん投げるように。

 それと同時に炎塊を投げつける!


 反撃で水の魔法が放たれる。

 水が圧縮されたらしい水弾が複数放たれ火球と衝突する!

 水弾が破裂するたびに炎が弱まり勢いが緩むが私が背後から力を送り押し切る!


「やあっ!!」


 最後の水弾が飲まれ悪魔の目がある本体に衝突!

 炎が空へとのぼった!

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