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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
そして迎えるは春か破滅か
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四百十一生目 陥落

 5大竜はこの私たちアノニマルースがいる迷宮にも外界の島国にもいないが隣接はしている。

 ふらっと蒼竜の気分次第で滅ぼされるかもしれないのはかなり困るな……

 かなり誇張してある伝説も多いだろうがどれひとつとってしてみても私たちが頑張ってどうにかなる相手ではない。


 そしてここにも魔王の記述が見られた。

 魔王は実力でその5大竜をねじ伏せただの従わなかった先代銀竜を殺しただの書かれていた。

 危なすぎる存在でしょそれは。


 もちろんどこまで本当かはわからないらしいが……

 間違って復活したらひどいことにはなりそうだ。

 少なくとも金竜の尾を素材とした勇者の剣は現存してまた世界が狂う時まで封印されているのだとか。


 5大竜は5大竜とニンゲンが呼んでいるだけで横のつながりはないらしくまたそれぞれが誰にも従わない存在。

 魔王に屈せられたのは特例中の特例だとか。

 そして読む間に(フォウス)教のやりたいこともなんとなくわかった。


 この本に(フォウス)教については書かれていなかったが伝説と神話により祀られる竜はあくまで魔物だ。

 対して(フォウス)教はニンゲンの神とされている。

 実在するかどうかはともかく(フォウス)教はニンゲンのためのニンゲンによる信仰なのだ。


 けして魔物に膝つく存在ではないというための信仰。

 ニンゲンの神がニンゲンを守護するという関係。

 ニンゲンの手に力を取り戻すという関係だ。


 ざっくり調べたところ確か(フォウス)教にまつわる伝説では竜殺しの話が多い。

 もちろん竜殺し自体ニンゲンからは多く称賛されやすいからあまり気にしていなかったが……

 神の名のもとに邪悪な竜を殺して(フォウス)教の加護の元におき信仰させるという旨の話がかなりある。


 これアレだよ。

 竜という異端神じゃなくて(フォウス)教を信仰しようぜ! ってノリのやつだよ。

 こっちの世界では竜が実在するからすっかり気づくのが遅れた。


 まあ……私にはあまり関係ないかもしれないが頑張っているんだなあとは。

 さてこの本は読んだしそろそろ寝て……


「緊急の手紙です!」

「……え!?」


 私の小屋外から聴こえる声に胸がざわつく。

 なんかものすごいイヤな予感がする……






 嫌な予感当たりました。

 こんばんはニンゲンの街。

 ここのとある厳重な警護の先で緊急的な会談です。


 場所は私も案内されるがまま奥へと通されたからよくわからない。

 かなり地下深くにある隠れた場所のようだ。

 私は発言権はないが参加しなくてはいけないということでこさせられた。


 場にいたのは私を含め10人程度。

 ゴウやダンもいる。

 少し目線を送ればゴウは会釈をダンは軽く手を上げて挨拶してくれた。

 私も返しておく。


 豪華な作りのイスに"進化"した状態のホリハリーで座る。

 私の事全員知っているかはわからないしね。

 冒険者ではないだろうなという雰囲気の者も多い。


 そしてそれらみなが一様に暗い空気の中で沈黙している。

 手紙の内容は直ぐに来るようにとだけの内容だった。

 普通なら話す前に情報を渡しておいてくれるはずだが……それほど重要ということか。


 実際この部屋には何重もの結界がはられている。

 単純な守りから防音そして多くのスキル断絶。

 "鷹目"でも"見透す眼"でもこの中は見えない。


 そんな場所に扉を開けてひとり入ってくる。

 奥の壇に登り全員を見渡した。


「さすがに緊急で来られる数には限りがある、か」

「とりあえず、この人数だけでも素早くやっておこうぜ」


 ダンの言葉に壇上にいるニンゲンの女性……オウカは頷く。

 手にはいくつもの資料を持っていた。 輝く全身鎧も今では地下室の弱い光にあてられて不気味にすら見える。


「今日集まってもらったのは話し合いをするためではなく、国家的緊急事態を伝令するためだ」

「するってえと、戦争が近いか? 商人ギルドにそのような話は入ってきていないが……」


 かなりの高齢ながら肥えた身体を持つ男が顎を触る。

 商人……なるほど言われてみれば。


「まあ、近いものではあるね。じきにあらゆるところに情報は飛び交うだろうし、商人ギルドならば帰った頃には少しは話がでているかもね」


 みな頭にははてなが浮かんでいる様子。

 私もオウカがならば何を伝えに来たのかと勘ぐる。

 それを押してでもわずかでも早く伝えなくちゃいけないことって……?


「それじゃあ早速内容を。さきほどユラナミア帝国が陥落したという情報が入った。信用度は確定的」

「「!?」」


 みなが感嘆符を口々に飛ばす。

 かくいう私も思わず言葉が漏れた。

 つい最近勉強したばかりだが隣国の帝国は非常に強大なはずだ。


 軍事の力で周辺諸国を大きく飲み込み世界で1番大きな大陸の下側半分はほぼ国土。

 人口も調査しきれないが膨大で土地も恵まれ(そう)竜信仰の厚い今1番勢いのある国とも耳にしたことがある。


「相手は!? 内紛か!?」


 誰かが叫ぶ。

 帝国は強い。だからこそ真っ先に疑われたのが自国内での変化。


「いいや。勝利宣言を行ったのは内紛でも国でもない。1つの組織だ。彼らは自分たちを『カエリラス』と名乗った。そしてさらに自ら明かしたまたの名を……」


 カエリラス。

 それが帝国を落とした組織らしい。

 だがオウカが開いた紙に描かれた顔にみなが息を飲む。


「魔王復活秘密結社だ」

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