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三十九生目 巨大

1/15投稿分1/2目

「今度私の分も作って! 物は払うので!」

「私は……銃だから無理だね!」


 あれあれ。

 意外な展開になってしまったぞ?

 どういう事だろう。


 『ああ、これまで働いてくれた褒美に大剣を作っておこう』

「やった! ありがとうね!」


 土の加護、もしや恐ろしい子……?

 まだ良質な鉄が出来ない時代なのかな? と思わせるほどだ。

 こうして私は武器の製造に追われる事となった。

 ついでに踏まれた看板は壊れてはなかったからキレイにしてもう一度たててある。




視点変更


 レッサーエルフのエリは思う。

 やはりあの時見たホエハリの仔だったんだと。

 森で地図をなくして探していた時よりさらに成長している。

 ただ、それが魔獣使いの使い魔なら理解できる。

 彼らは手なづけ育成させるプロだ。

 このぐらいなら出来るのだろうと納得した。


 それにしても周りは新たに武器を貰えてずるいとも思っていた。

 パーティ戦力が増すのは歓迎だが、自分のも欲しいと考える。

 しかし銃は武装の中で特別だ。

 弾丸と銃の種類は一致しなくては使えないし銃そのものは制作工房による秘密部分が多く大手しか作れないと言う。

 強力だが、かなり扱いづらい。

 それがエリが使い込んだ感想だった。


 自分も何か新たな武具が欲しい。

 銃は無理でも何か防具でも、と。




視点変更 主人公ローズオーラ


 睡眠というのは非常に重要な要素である。

 特にホエハリって一日20時間くらいは寝られるんじゃないかな。

 2時間ごとに起きるけれど、そのぐらいで身体の調子が良いとも言える。

 ああ……安全とプライバシーが確立された部屋で暖房器具つけてゴロゴロゲームしていたい。

 怠惰生活はそれまで支払われた対価の積み重ねにより得られたものなんだなと私は今強く思う。

 怠惰生活は最高の贅沢だぁ。

 なんも気にせずにゆっくり出来る生活したいいぃ。

 私は今明らかにオーバーワークである。


 そうは言っても鍛錬は怠っていない。

 なんとついに私は3種の魔力混合に成功した!

 冒険者たちを見ていたら感覚的なコツを掴めた。

 理論的に何度かやっているうちにだんだんわかっていたんだけれどね。

 理解るのと出来るのは違うのだ。

 発射はできそうだが目的は進化。

 纏わせる事はもう少し足りない。


 さらに寝不足気味とはいえやることはやる。

 今日は3兄弟プラスハートペアでお出かけ中だ。

 今回は狩りではなく探索と鍛錬。


「もうそろそろ来るはずだよ」


 少しの時間同じポイントで私たちは隠れていた。

 ハート兄によるとここに通る凄まじい力を持った存在が通るらしい。

 一目見たらわかるそうだ。

 待つこと数分、ディテクションに反応。

 そしてすぐに私の耳にはっきりと足音が響いてきた。

 な、なんだ?

 とんでもなく重いものが歩いているような……


「来たね、絶対に見るだけだよ!」

「なんか大きいのが……」

「うわぁ……!?」


 ハート姉が言うとおりそれは姿を表す。

 インカとハックが口々に驚くように私もめちゃくちゃビビった。

 それは森の木々すら凌駕するほどの大きさ。

 緑の保護色のせいか、ゆったりとした歩みのせいか近づかなければ存在感は薄い。

 それは森の中で木が歩いていても遠目では紛れてしまうようなもの。

 全身に葉のようにコケをむした、昆虫。

 そう表現するしかない物が器用に木を避けながら歩いていた。

 周りには緑の光が散っていて幻想的でもある。

 全身に積もった雪が、動く自然そのものといった雰囲気をかもしだしていた。


「この森の主とも呼べる存在で、攻撃しなければとても大人しいよ。

 まあ、あれほど大きいと僕たちの攻撃は、攻撃とすら見なされないと思うけれどね」


 ハート兄がそう解説してくれた。

[ドラゴバグLv65]

[ドラゴバグ 悠久の時を生き続ける超巨大昆虫。森を繁栄させ続ける力がある。植物の加護がある]

 植物の加護は土の加護の植物バージョンだった。


 普通ここまでのサイズ差や力量差があると恐怖を感じる。

 けれどこの動く自然はむしろ安堵感すら覚えた。

 優しく包み込んで守ってくれるような安心感。

 これもあの昆虫の力なんだろうか。

 ただただその雄大さは圧巻で確かに一見の価値ありだ。


 呆気に取られている間にどこかへと歩いていってしまった。

 全員詰まっていた息をはく。


「今の凄かったね〜!」

「俺もアレくらい大きくなりたいなー」

「大きすぎるよ!?」


 ハックは感動している間にインカが何か別方向に走りそうだったのでツッコんでおく。

 とんでもない存在を見て改めてファンタジーを感じたよ。

 これで今日の授業は終わりだ。

 イタチとタヌキが物陰で腰を抜かしているが帰ろう。


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