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三百九十四生目 牢獄

 こんにちは。アノニマルースのとある場所にやってきています。

 新築ピカピカながら雰囲気は暗く地下は深く。

 広いエリアをとってさらに堅牢に設置されたここは監獄というもの。


 私と人狼のゴウそれにゴウの仲間のダンと共にここの第一収監者に会いに来ていた。

 とは言っても一般牢ではない。

 最も地下深くにある巨大な特別牢だ。


 そう。ここに収監されているのはダカシだ。

 罪や罰云々も置いといて気を失った巨体を確保しいざという時に出来る限り周りに被害が出ない手元というとここしかないということで運ばれた。

 追尾するための魔法なども見当たらなかったし魔王復活秘密結社のメレンはまだ見当たらないが追跡は撒けたとは思う。


 念のために"ファストトラベル"も重ねたり撹乱操作や隠蔽工作もやっておいた。

 "森の魔女"スキルの効果は伊達ではなく色々とやろうと思えばできるのだ。

 魔法関連はね。

 

 ダカシは3日経ったが未だに目を覚ましていないが……


「……あっ、意識が!」


 今日たまたま様子を見に来たらピクリと動いた後にゆっくりとその目を開いた。

 ど、どうなんだ。どうでるんだ。

 暴走するなよ……すごい大変だったんだから!


「応ッ!! 目が覚めたか!」

「ん……ウ……?」

「ローズさん的に、どう判断しますか?」

「ちょっと待ってください……」


 "見透す眼"を使って透視で心拍の管理や読心で心をそっと上辺を見て様子を伺う。

 それと医術的なアレソレで様子をチェック。

 ……よし。


「前までまともじゃなかったのが嘘みたいに、健康かつ意識もまともみたい。ただいつまた発作が起きるかは……という面は残されたままですが」

「なるほど……とりあえず。こんにちは。私はゴウと言います。話は出来ますでしょうか?」

「ご……バウワ……ボウ? カゴウ!?」


 ああ。これは……

 ダカシは色々と混乱していた。

 自身の姿を見て驚き。全身を覆う特別な拘束に驚いている。

 全身を覆う拘束具は場所や行動を抑制しないが他者しか着せたり脱がしたり出来ないうえ魔法具で力を制限する。


 ニンゲンたちが本来は危険な魔物に対して弱らせてから着せて遠くまで輸送するのに使う。

 貴重品だがゴウが無理を言って貰ってきたようだ。

 そして彼が今最大に驚いているのは……


「声が、出せませんか」

「声自体は出てても、人の言葉が喋れねえみたいだな」

「声帯が違うから、そうかなあとは思ってました」


 鉄柵の向こう側にいる私に向かって何らかの言葉を話そうとするゴウだが"言語学者"と"観察"があって学習出来る私でも何言っているかさっぱり。

 ピアノで人の言葉をそのまま話そうとしている。

 そんな無理な感覚がある。


 こういう時は科学の力。

 鉄柵ごしに混乱するダカシに腕輪を渡そう。

 九尾博士自慢の受信機だ。


 翻訳機能があるからなんとかなるはず……

 ゴウが腕を伸ばして鉄柵の向こう側へ腕輪を渡そうとする。


「これをつけてみてください。すぐには無理かもしれませんがなんとかなるかと」 


 ドン、ドン、ドン……!

 ダカシが歩くだけで低音が響く。

 目の前までこられるとやはりデカイ!


 ダカシは混乱していたからか藁にもすがる思いなのか腕輪を素直に受け取った。

 というかダカシのサイズからすると指輪のようだが。

 でも自動サイズ調整機能で勝手に拡がり左腕にはめれた。


「とりあえず、それが言葉を伝えられるようになるように、そちらも出来る範囲の相槌をうちながらこちらの話を聞いてください」

「こっちの言葉はわかるみたいだな? まあお前さんがどっから覚えているかわからないが、とりあえずこっちから見た成り行きってやつを教えてやるさ!」

「……グォン」


 返事かな今のは。

 それからは私達がわかっている範囲で今回の事件の顛末を伝えた。

 少し落ち着いてきて私の事を何か言いたげに睨んでいたがまだ話せないといった様子。


 各地の迷宮氷漬けはなんやかんやと私の部下たちを派遣して事を終わらせた。

 親睦も深めているらしくアノニマルースにも吉報が訪れるかもしれない。

 やはりダカシ(悪魔)が各地に巨大な氷のエレメンタルな魔物を配置して制圧していたようで倒すことでなんとかなった。


 流氷の迷宮での大暴れまでを聞かされている時はダカシは申し訳なさそうにしていた。

 徐々に肉体の扱いにも慣れたらしく意味が伝わる相槌を見せたり置いてあった皿から水を飲んだりしていた。

 そして悪魔と魔王復活秘密結社の関わりまで話して……


「――とまあ、なんとか身柄を確保してここに収容しました。ごく一部の者に手伝ってもらって、医学的にも治療を施しはしましたが、どこか問題は?」

「……ダイ、ジョウブ」

「翻訳が!」


 なんともカタコトだが翻訳が効き出した。

 おそらくはダカシがこの身体での喋り方を模索している最中だからというのもあるだろう。

 少なくとも単純な意思のやりとりは可能なようだ。

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