三百八十九生目 浄化
前線に復帰する。
放ったと思った時にはもう喰らっている強力な悪魔光線。
また隠れている悪魔の目が剥き出しになった時に放たれるのはわかったもののそれに攻撃しなければならないのだからなんとも困る。
悪魔光線をかいくぐり触手と魔法の追撃を防いで悪魔の目が隠れる前にこの爪で裂く。
無理難題!
剣ゼロエネミーにうまく頼って……
そう考えている間にも触手の刃が飛んできて考えが中断させられる。
"近接攻撃"の防御で防ぎつつトゲで触手を刺していくが少しすると無理矢理引きちぎったあとに再生してしまう。
再生前提の戦い良いなあ! もう!
「悪魔、か……」
悪魔……何か手があった気がする。
風と氷の魔法でぶっ飛ばされたり凍てつかされたり思考が途切れ途切れになりながらスキマを縫って考える。
アインスやドライにも手伝ってもらいスキルと魔法の見直しをして……
止まらぬ勢いで触手たちが牙や爪を叩きつけてくるのを必死に防ぎ風を剣ゼロエネミーの大盾モードで防ぐ。
氷の魔法が凍てつかせようと襲ってきたら対抗して火魔法"メルト"で常温にもどす力をぶつけた。
背後から前から横から上から常に攻撃の嵐でドライとアインスと協力してこの情報量を必死にさばいている。
(うおおおお!! 本当に強いなこいつ!)
(おぼえてるもんがおおいのも、モンダイよね)
また悪魔の目が開いた!
私の方を見ている。
ゼロエネミー大盾モード!
「あっダメッギャアア!!」
大盾が持ったのはわずかな時だけ。
ゼロエネミーのエネルギー部分が壊され私に届くのがほんのわずか遅れただけでまた吹き飛ばされた。
大盾が削った勢いの分氷の壁を大きくへこませる程度の吹っ飛びでは済んだけれど痛いものは痛い。
治せるから良いと大口叩きたいところだが魂は私じゃ治せない。
本当に食らうのはマズイんだって。
しかも魂だなんて明確に図る値も私は少なくともないし削れるほど身体に明確に不調が出る。
"魂の守り"と"戦場の獣"がなければ今頃もぬけの殻になっていてもおかしくない。
追撃が甘いからなんとかなっているだけで仕留めきれないと判断したら……
そんなこと思っている間に氷の魔法やら触手やら飛んできた!
"メルト"! "近接攻撃"防御!
光のシールドを引き裂くような不快な音をたてながら私をじわじわと削っていく。
心まで折れるわけにはいかない。
何度だって立ち上がってやる。
こんなところで終わるわけにはいかないしね。
ただあの攻撃を喰らっていれば立ち上がる事はできなくなる。
バラバラになっていた剣ゼロエネミーに"フィクゼイション"で念力のように持って魔力を再び流す。
節目同士からエネルギーがほとばしり再び1つとなって繋がった。
風魔法を回避しつつそれっぽいものが聖魔法で見つかったので試してみる。
邪気を浄化する魔法"レストンス"!
光のエネルギーが放たれ肉塊に隠れている悪魔の目に向かう。
どうだ!?
キラキラサラァ……と消えていった。
ダメだ肉塊に阻まれていたら効かない!
肉塊どいてくれ! "ホーリースラッシュ"!
光の刃がいくつも飛んでゆく。
触手を斬り払い肉塊にぶつかる!
ああだめだ!
斬り裂いたその瞬間には傷が治っているからやはり意味がない!
肉柱だけじゃなくてあっちも超再生か。
攻撃など別事をしている間は"近接攻撃"の防御で光による攻撃を防ぐことは出来ない。
私のウルトラアーマーが頼りだがウルトラアーマーごしに叩かれる痛みはあるわけで。
補助魔法を切れないようにかけているが回復も間に合うようには唱えなきゃだし中々攻撃魔法までは……
触手たちは絶え間なく全方位放っているとは言え刺して地面に縫い付ければその分ほんのわずかだけ止まる。
なので群がる相手に"針操作"で全身から針を一気に刺し飛ばして壁や地面に縫い付ける。
今のうちに悪魔の目への対策を――
あ! 再び悪魔の目がひん剥かれた。
"魔感"で幸い攻撃の寸前だけはわかる。
かなり効率よく素早くためるが高まりの一瞬はあるようなのが2回喰らってわかった。
今だ!
剣ゼロエネミーを大盾にして防ぎ私は直ぐに跳ぶ!
ほんの僅かな一瞬で大盾は破壊されるがそのスキマ時間で私の身体は既に範囲外。
ようやく光線というのをしっかり空中から見れた。
なるほど確かにほんの一瞬だけ悪魔の目から黒い光が放たれている。
私が受け止めなかったせいで光線は氷の床と壁を大きく貫通した。
「ここで!」
接近しているがまだ遠い空中。
"レストンス"をその悪魔の目へぶち込む!
浄化の光が悪魔の目を包み……
ギュオオングオオン!!
突然肉塊たちが悪魔の目含め全身震えだした!
その音が不気味なくぐもった怪物の悲鳴にも聴こえる。
さらに悪魔の目の周りに雷撃のような光のヒビが多数入っていた。
悪魔の目が瞼の肉塊を閉じようとしてうまくいっていないのはけいれんの動きでわかった。
つまり麻痺のような事が起きているのか!
今がチャンス!