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三百八十生目 吹雪

「加勢します!」

「やるぜ!!」

「気をつけてください。こいつただデカイだけではなくて、恐ろしく強いです!」


 ビリビリと感じる威圧感。

 それだけではなく実際にゴウの撃ち込んだ部位を見ても悟った。

 前脚になんども放っているはずだが毛皮にまともに傷を負わせることは出来ていない。


 相手にしているのは右前脚のみ。

 それだけなのに勝てる見込みが薄い。

 まずは基礎的な能力は補助魔法をかけて能力底上げせねば。


「補助魔法回します!」

「ならまず防御系回してくれ! オレが受ける!」


 言われた通りまず土魔法"スタッドボーン"を変化させて全体化させたものを唱える。

 土の守りで身体の中と外をガチガチに硬くしてくれる。

 その間にも前脚は振り下ろされるため3者ともなんとか跳んで避けて距離を取る。


 分かれて跳んだから距離が離れたがその分巻き込まれる確率は減った。

 ゴウがさらに走って回り込んでいる。

 あまりゴウに気を持っていかれないようにしなくては。


「さあ来い!! オレが相手だ!! ロアーー!!」


 ダンが吠えたら黒い獣の目線がいきなりダンに定まった!?

 あのロアーってスキルよく使っているが使われた側はどれだけ気を引かれるのだ。

 あそこまで毎度劇的だと気になる。


 爪先で鋭利に狙う一閃!

 ダンは自身に強固そうな(エフェ)で出来たシールドは自身をぐるりと囲むように球状に展開させる。

 轟音を立てて衝突!


 バンッ! 弾けるような音とともに前脚が弾かれた!

 それと同時にシールドも砕けた!

 すごい! 防いだ!


「むっ、1撃でダンのシールドが!」

「ぐあっ、いってえ!!」


 ただゴウが渋い顔をしてダンが大きくのけぞり痛がっているからあまりよろしくないらしい。

 よし、"スタッドボーン"!


「防御底上げしました!」

「きたきた! オレはまだ耐えられるぜ!」

「頼みましたよ!」


 前脚で何度も踏みつけ叩きつけられるのを横目に見つつ補助と回復を織り交ぜて唱えていく。

 ゴウは弓を引き絞り行動力を大きくこめていた。


「ぬおおおっ!! いたた、だが随分と楽になったぞ!!」

「それはよかった! 回復です!」

「あと少し……」


 さらに強化魔法を唱える。

 よし! 火魔法"ヒートストロング"!

 思いっきり強化!


「筋力強化、対寒さやりました!」

「応ッ!!」

「今だっ」


 ダンが身体に赤い(エフェクト)のシールドを纏いながら拳を振るい相手の前脚と殴り合う!

 さらにゴウが走っていた足を止めてエネルギーに満ちた矢を前脚の肘より上側を狙って放った!

 エネルギーが翼を広げた鳥のように変化し空気を裂く音が鳴き声のようにつんざく。


 ダンが引きつけていたからか今まで無傷で油断したからかまともに肘裏の上である上腕部に当たった!

 鮮血が舞い刃のように大きく切り開く。

 ぱっくり割れて骨にまで達していそうだ。


「さすが!」

「でもこれで、おそらく本気できますよ」


 痛みに震える右前脚。

 改めてよく見てみると違和感がある。

 肉球がないしだからと言って手のひらの毛皮が薄い。


 これでは怪我してしまう……まあこの大きさだと皮膚サイズと弾力で象みたいになんとかなるかもしれないが。

 それに前脚全体の骨がなんというか……いびつだ。

 まるでこれは何か別の骨を無理矢理この形にしているような……


「あー、いってて……ムッ!?」

「爆発的に気配が!」


 ダンやゴウが叫ぶのと同時に私も思考を中断された。

 唸りだした黒い獣が爆発的に力の気配を上げている。

 強力な1撃が来る!


「オレの後ろに!」

「わかった!」

「こわいこわいッ!」


 圧倒的な力が具現化しつつある。

 あれは怖い。

 傷から吹き出ていた血がそのままバキバキと凍てついて芸術的ですらある。


「来るぞっ!」

「間に合っ――」


 合流がなんとか間に合ってダンの背後に回り込んだ瞬間につんざくような痛みが走る。

 これは魔法の冷気か!

 毛皮や魔法薬そして"ヒートストロング"であったまる効果すらつらぬく寒さ!


 ダンな黄色い膜のような(エフェクト)で周囲を囲んでいるが激しくぶつかりあい輝く。

 魔法で作られた吹雪が黒い獣を包み風と冷気で叩き吹き飛ばされそうだ。


「うっ……ぐぐ、ま、まずい!」

「シールドを通してもこの痛いほどの力……一旦離れましょう!」

「いっせーの……」


 身体が凍てついて動くにも軋んでくる。

 もし周りの守りがなくなったらどうなるか言わなくてもわかった。

 だから息を合わせて……


「せ!」

「とべえぇぇぇぇ!!」

「うおわぁ!!」


 背後の方へ跳んだがシールドが壊れもはや吹き飛んでいるのと変わらない!

 上下左右めちゃくちゃになりながら吹き飛ぶ。

 た、"鷹目"! 私達の身体が回転しながら吹き飛んでいるのを上から見る。

 あ! このままだと氷の山に衝突する!

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