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三百七十八生目 土竜

 ゴウが掛け声を放つと確かにサメが氷上をスケートのように滑りながら移動していた。

 足は……そうか!

 ユキモグラたちが器用にスケート足のようにしているのか!


 私も(くう)魔法"ストレージ"の亜空間から剣ゼロエネミーを取り出す。

 敵愾心(てきがいしん)を削るオーラを放って牽制。

 イヤな気配を感じたのかのように動きが鈍り私からゴウへターゲットを変えた。


「ハッ! ヤッ! そこっ!」 


 対するゴウは凄まじい早さで弓を連続でつがえて矢を放っている。

 しかも最初に放つ時はそれぞれ1発なのに放たれた後で光の矢が増える。

 2本、3本、5本とユキモザメに襲いかかりその殆どが刺さった!


 刺さったあと光の矢は消えて普通の矢も身体を震わされると抜ける。

 ただそのさいに出血しているからダメージがないわけではない様子。

 問題としてその血でさらに興奮しているみたいなのが困りどころだが。


「刺さりが悪いか……物理的な攻撃は効果が薄いかもしれません!」


 ゴウが目の前まで迫ったサメに対して何か投げ込みながら転がって勢いの余波だけ喰らい吹き飛ぶ。

 受け身をとり流氷から落ちないように滑る先までコントロールしたらしい。

 ゴウはダメージを受ける前提でほとんど受け流したようだからなかなかこなれている。


 だがユキモザメ興奮したまままた旋回してゴウに向かっていた。


「オレに任せろ! ロアーーッ!!」


 ダンが割り込んで大声で叫ぶとダンに対しての敵愾心(てきがいしん)が一気に増したのが肌で感じ取れた。

 ひどく興奮しつつダンへと突っ込んでいく。

 ユキモザメが全身にほとばしる(エフェクト)を纏ってダンに勢い良く突進!


 ダンは迎え打つように大きい手の(エフェクト)を自身の前方に生み出して。

 突進を受け止めた!!

 両者激しい力の競り合いで(エフェクト)同士が弾けあいバチバチと鳴る!


 自身に敵愾心(てきがいしん)を向かわせるスキルと相手を掴まえるスキルか!

 恐ろしいほどに正面で殴り合うためのスキルだな。

 だがそのおかげて今はユキモザメの動きが止まっていた。


 ドゴン!

 鈍い破裂音がユキモザメの中から聴こえて一気に突進の威力が落ちた。

 咳き込んで煙が出ているからさっき爆発物を食べさせたらしい。


「行けますか!?」

「はい!」


 私とゴウがそこに飛び込む。

 少しずつダンが押し返し今なら間に合う。

 ゴウは雷をまとう矢をつがえ跳ぶ。


 私は先ほどから電気魔法"チャージボルト"でためていた電力を"ショック"で放つ!

 2つの雷撃がユキモザメの身体に命中して焼き尽くす!

 いくつか開いていた身体の穴が中まで雷撃の侵入を許した。


 激しい雷撃音とともにユキモザメの身体が激しく反り返る。

 自身の筋肉がめちゃくちゃに収縮させられて自分の力で体内が壊れていく。

 やがて煙が上がってそのままその場に倒れる。


「おっと!? やりすぎましたかね?」

「いや、私が調整したので大丈夫です」 

 "観察"で生命力の残りをみつつ"峰打ち"で放っていた。

 他のふたりの攻撃も加味して余力は残しつつ体力をうまく削げたようだ。

 ピクピクとユキモグラごとひくつきながら目は気絶しているだけで光はともっている。


「あー、腕がしびれた! ああ、電気じゃないぜ! アイツの突進の力が強かったからなあ」

「おつかれさま。治療しますね」






 味方の治療とユキモザメたちの治療をしてついでにどっちも"無敵"を組み合わせて使っておいた。

 ユキモザメたちは正気に戻ったら随分としおらしくそしておとなしくなったので肉の食糧を渡したら話をしてくれた。

 "観察"と"言語学者"の組み合わせで私がユキモザメたちの言葉を覚えたからこそできることでもあるが。


「実は最近、あまり食糧がとれなくて……少しあたたかくなってきていて、調子も良くありません」

「え、これで暖かくなってきているの?」

「ええ、かなり。おかげで流氷たちが割れやすくなっていて……」


 ただ言語が分かるのは私だけなのでユキモザメの言葉をふたりに翻訳する。


「――という話をしています」

「うーん、なんかひっかかるな」

「……他の迷宮と違って、気温が上がっているらしい、という点ですか?」

「おお! たしかにそれだ!」


 言われてみれば今まで黒い獣が突撃した迷宮はひどく凍てつかされていた。

 ここにきて逆に気温が上がっているらしい。

 関係はわからないが、不気味だ。


 ユキモザメに別れを告げて立ち去る。

 仲間になりたがってはいたがアノニマルース内に氷水の用意は出来ない。

 ただ将来はわからないからとりあえず探索だけは頼んでおいた。


 ただまあ期待はできないだろう。

 あまり情報は知らない様子だったから。

 だとしたらとにかくこっちで動かないと。





 そして探索開始してから2週間で大きな動きがあった。

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