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三百五十八生目 冷凍

 こんにちは。私はまた寒い所にきています。

 部下たちが山頂の迷宮にたどり着いたということでやってきたのです。

 というわけで。


「あ〜、寒い!」

「寒いですねぇ」


 火魔法"ヒートストロング"を唱えて私含めて6匹にかける。

 途端に熱が体の内から上がってきてホッとして声が緩む。


「「はぁ〜……」」


 みんなゆるゆると声を出し暖まったのを自然にわかった。

 ここはもう見渡す限りの雪山!

 そもそも雲の上ではあるがその上にもまだ雲は存在する。


 つまり吹雪いている。

 その中で防寒具で体を固めた私含めて6匹が歩いていた。

 雪が積もっているのは見た目以上に危険だ。


 もちろん寒いのはある。

 森の迷宮の冬と比べてもやたら冷えている。

 雪をかきわけながら進むのは慣れているが。


「あ、あそこ谷だね」

「ああ、本当ですね」


 光魔法"ディテクション"で細かく調べながら歩いているし視覚以外の情報でなんとなくわかる。

 雪があっても地面はなく谷な場所が有ると。

 さらにちょっと道をそれたら雪があっても崖が待っていると。


 谷を避けたり跳んだりして先に進む。

 私達の動きと声以外何者の音も響かない。

 その代わり風が音を鳴らしては流す。


「みんな、大丈夫?」

「平気です、誰にも襲われないから……」


 その静けさの理由は確かにあった。

 あちこちに刺さったりくっついているのは魔物たちだ。

 肉体が周囲の空気ごと凍てつかされ眠りについている。


 おや……この状態ならもしかすればまだ助かるかも。

 よいしょっと。

 ジャンプした先にそこそこ大きなドラゴンを見つけた。


 はっきりと何かに向かって口を大きく開き牙を剥いている瞬間に氷漬けに成っている。

 これで無事ならば話が聞けそうだ。

 "観察"!


[スイフォードLv.21 状態:冷凍]

[スイフォード ドラゴン種のトランス体の中で空にいることに特化した種族。その羽毛と鱗は高い場所の低気温をものともせず、また落ちることなくまるでそこに地面があって歩くように飛ぶ]


 ふわふわの青白い羽毛に覆われた翼を羽ばたかせているから飛行中を狙われたのだろう。

 "観察"での結果まだ生命力がある。

 冷凍状態だが解凍できるかな。


 それにしても私たちを背に乗せて飛べる程度には大きいな。


「大きいドラゴンがこんな風にやられてしまうなんて……」

「よし、解凍しよう!」

「恐ろしいからこのドラゴンはこのままで……ってええっ!?」

「場合によっては無茶ですよローズさん!」


 突っ込まれたがこのままじゃあ何もわからないしなあ。

 ここで火魔法。


[メルト 対象が低温だったさいに温めて常温に戻す] 


 ようはレンジでチンである。

 唱えると細い光が1本空中にうまれる。

 発動すれば対象であるドラゴン(スイフォード)に向かって飛ぶ。


 スイフォードを氷ごと貫通して光が伸び両端が飛び出ると淡い暖色が広がっていく。

 それがスイフォードを包み込み氷と馴染んで。

 亀裂が走りそして割れた! 


「あーあ」

「ローズさんが大丈夫って言うなら、まあ……」


 部下たちのグチは聞き流す。

 湯気が立ち込める中でスイフォードの固まりもほぐれ意識が戻ったらしくそのまま倒れ込む。


「グッ……フー、フー、フー……」


 荒く鼻で息をして目をギョロギョロとこちらを見てくるが敵対意思はあまりない。

 というより解凍されたばかりで錯乱しているし肉体もうまく動かないのかも。

 言葉がわかるまで時間もあるがドラゴンは大抵が凶暴だって聞くからな……


「くっ、ローズさんが溶かしてしまったものは仕方ない。戦闘準備を!」

「コイツ今にも攻撃してきそう……!」

「いや、大丈夫。敵愾心(てきがいしん)削ぐから」

「……ええっ?」


 (くう)魔法"ストレージ"で亜空間から私の剣ゼロエネミーを引き出す。

 抜刀はせずに鞘のままオーラを開放させてさらに"無敵"を加える。

 (くう)魔法"フィクゼイション"で剣を空間で掴み念力のように操ってスイフォードの腕翼先に当てた。


 ギロリと剣を睨むがすぐに半眼になる。

 表情からは察しにくいが効いているらしい。


「うん、大丈夫みたいだね」

「うおお、これが噂の棒……!」

「戦場で活躍したと聞いた棒……!」

「剣ね、剣」


 間違っちゃあいないけれど棒と言われると釈然としない!

 鞘に入っていたら余計に棒だけど!





 そこからしばらく時間がたち。

 スイフォードの敵愾心(てきがいしん)がなくなったのをきちんと見てから"ヒーリング"も重ね。

 "言語学者"の効果で言語も理解出来るようになったところで話をすることになった。


「助かった、が、一体お前たちは何が目的なのだ」

「まあ、警戒するのもわかるけれど、少なくとも敵ではないよ」


 スイフォードは羽ばたいて浮くと『空に着地』して翼を閉じた。

 なるほど説明文どおりだ。

 そして高みから助けてもらったわりに威圧的に話していた。


「それは俺が決める」

「そう。とりあえず目的に関しては、この光景と、キミたちが氷漬けにされた理由の調査だよ」

「……ちっ」


 思い出したくない事を聞かれたといった様子。

 部下たちがわずかに身構えるがおさえさせる。

 スイフォードはあくまで上から目線な態度は崩さなかった。

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