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三百五十七生目 手紙

 なんとかたぬ吉の誤解を解いてからわかれて再び日記に向き合う。

 そうあれは私の部下である遠征組からの連絡。

 湖の迷宮についた彼らからのものだった。


 時を遡り呼ばれてついたその時に戻る。

 湖の迷宮とは本来は広い水面が段に分かれていくつもある場所。

 それらが複雑な水路で繋がる美しくも水中に棲まない生物にとってはまともな侵入が困難な場所。

 当然侵入時は魔法と道具が必要。


 そのため呼び出しがあったのはその工面のためかと思ったのだが……


『大変です、湖の迷宮が……!』

『え!?』


 慌てて(くう)魔法"ファストトラベル"で飛んた先の空気は。

 あまりにも冷たかった。

 湖の迷宮は話によると年中温暖な気候のはずだ。


 それがあまりに寒く吹雪いて光景が白で染まっていた。

 異常事態なのがすぐに理解。

 近くに5匹の私の直属部下たちがいるのがなんとか見える。


「おうい! 来たけれど、これって!?」

「わかりません! こういう気候になるという情報はなかったもので……」

「それだけじゃあないんですよ! こっちに来てください!」


 言われるがまま吹雪の中を歩く。

 足元の水を多く含むだろう地面が凍っていて危ないし冷たい。

 私は肉球直接だからさすがにね。





 少し歩いた先でその異常な景色が見えてきた。

 今までもおかしかったがこれは……


「これが、見せたかったものです」

「湖が……凍りついている……!?」


 白い景色の中にあったのは湖がガチガチに凍りついているものだった。

 覗き込んで息を呑む。

 中の水がまるごと凍りついているのがわかったからだ。


 透き通り中の魔物たちが何かから逃げようとしたさなか凍てつくされたのがよく見える。

 まるで一種のアートのようでありながら現実。

 明らかに地表から気温でどうこうのレベルを大きく越えていた。


「これは……明らかに異常事態だ」

「この後我々はどうしましょう?」

「今は耐寒装備もないし……一旦戻って態勢を立て直そう。それから再探索。私は少し行くところ行ってみる」

「「了解!」」


 部下らを"ファストトラベル"で帰して私は別の場所へと急いだ。






[やはりキミもそこに気づいたか。こっちも先ほどからその話題で沸騰中だ]


 そういう文面から始まる手紙を受け取ったのはそれから数刻後。

 私は既にギルドランクがある程度高いということでさらに高いランクを持つゴウとオウカふたりに直接連絡がつくようになっていた。

 まあ手紙のやりとりだが忙しい彼らに最優先で届くのは良い。


 ちなみに冒険者ギルドに登録された魔力紋を使って手紙にそれと同じ相手を探させて届ける魔法を郵便ギルドが行うサービスだ。

 とても高くて確実性がないしその魔力紋という個人情報は一定の地位がないと許可が貰えない。

 ランクLまで上がってて良かった。


 ギルドの方でも今日の予定がある程度分かっていたから精度を高めて送れた。

 緊急連絡として届いたそれをみたオウカは冒険者ギルドへ私宛の手紙を渡した。

 それを先ほど私が受け取ったわけだ。


[おかげであちこち走り回って説明せざるをえなくなっている。たまたま出る寸前に手紙が届いて良かった。

 私は私のやることをやるからキミにもキミの仕事をやってもらおう。そのための情報として、山頂の迷宮とも呼ばれる場所について情報を渡しておこう。

 誠実にね]


 たしか本で読んだ限りはひたすらに雲より高い山の上が続き崖は険しく転げ落ちれば戻ってこられないと言われているところだ。

 空気も薄く常に寒く冬は積もるため特別な許可がないと入ることも制限されるとか。

 書いてある基本情報はほとんどそれと同じだった。


[……とまあ、ここまでが基本の情報。ここからが現状なんだが、季節外れの大雪。それはまだ良い。だがそこ棲む魔物たちまで凍てついているのは異常だ。

 さらに凍っただろう推定時期に行った冒険者もいくらか帰ってきていない。

 だから関係者たちは事実確認に大忙しってわけさ。

 そっちでも一度見ていてもらいたい。事態の収束に向けた手がかりも見つけてもらいたい。

 これは正式なギルドとしての依頼だから、あちこち調べてね。頼んだよ!]


 げえっ!

 雑に丸投げされた!

 これは……見ておかないという選択肢はないか。


 だが山頂の迷宮へはまだ誰もたどり着いていない。

 もう1隊の部下たちに"以心伝心"の念話で連絡をとり早速向かわせた。

 到着次第私も"ファストトラベル"で向かう。






 そんなこんなバタバタとして……

 防寒用意して再び部下たちを迷宮に向かわせ……

 そして先ほどたぬ吉がたずねてきて銀行業務がひと段落したのを聞いた。


 うんうん。

 こんなところだろう。

 あとはそこそこ形にして……と……


 よし。今日は日記ここまで。

 おやすみなさい……

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