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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
死霊術師と穏やかな日々と
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三百五十六生目 日記

 ゴーレムがトランスして喋った!


[ルンガルンガLv.1]

[ルンガルンガ ゴーレムのトランス体。踊るように戦い舞って避けて鉄槌で刺す。武器を扱える知能があり正面きっての戦いは強い]


 全身が赤っぽくなり攻撃的な顔の模様や拳が出来ている。

 拳はちゃんと開いて物をつかめるようだ。

 どこか砕けそうだった関節部も太く補強され生きてはいないがまるで筋骨隆々なようだ。


「おおー! すげー!」

「次はお姉ちゃんもやってみよう!」

「ほいほいー」


 インカがルンガルンガと踊っているなか私は中央の火噴きゴーレムへと近づく。

 先ほどと同じ手順で針を出して切り離して抜いて……と。

 青い球に素材を飲み込ませゴーレムに吸い込まれていく。


 光とともに体が変化しトランスが起こる。

 光が収まるとそこにいたのはヒゲを蓄えた巨人……ではなく巨像だった。

 なんでヒゲ?


[マギリアンLv.1]

[マギリアン ゴーレムのトランス体。ヒゲのように見えるのは磁力に引き寄せられた砂鉄。磁石で鉄を操ったり魔法が得意]


 ああ。砂鉄。なるほど……

 マギリアンはルンガルンガと違って全体的に角が取れてまるくなっている。

 大きいのは相変わらずだが。


「グ……ム……?」


 マギリアンが何か話そうと口を開くがうまく話せないらしい。

 少し悩み口を閉じる。


『……みなさま、聴こえになられますでしょうか』

『おお、念話!』

『その類のもののようです』


 マギリアンが肯定した。

 どうやら新スキルで使えるようになったらしい。


『創造主さまとそのお仲間のみなさま、これから粉骨砕身して頑張らせてもらいます……』

「壊れない程度にねー! 直すの大変だから!」

「うんむ、その心意気やよしじゃん!」


 ハックとウロスさんが笑う。

 つられてマギリアンも笑った。


「グオォ……ガアァ……! ボオォ……!!」


 ……多分笑っている。

 その後も多くのゴーレムたちをトランスしてまわりひと晩がたった。






 魔物は夜行性と昼行性がある。

 なので夜の間作業している時は夜行性の魔物は知っているのだが……


「主!? なんだか知らない間にゴーレムたちが!?」

「んあ……? ああ、だいじょーぶだいじょーぶ、ほうっといてー、私たちがやったんだから」

「は、はあ」


 アヅキがテントに飛び込んで来たが気持ちはわかる。

 朝起きたら大小のゴーレムたちが作業したり戦闘訓練したりしているのだから。

 今までは踊ったりじっとしているだけだったものね。


 そんな私はひと晩の作業で眠い。

 アヅキを納得させて帰らせ私はもうひと眠り……

 ……


「ローズ! なんかゴーレムたちが暴れてないか!?」


 ジャグナー……

 ね、寝かせて……






 つらつらと。

 書き綴るのはひとつの本。

 最近の趣味のひとつ。


 外から気配がしてテントの出入り口へ振り返るとたぬ吉が入ってきた。


「失礼しまーす……おや、なんですかそれは」

「これ? ちょっとね」


 心情的にはパタンと閉じて隠してしまいたいがこのインクと紙でそんなことやってしまったら激しく裏写りしてダメになる。

 ペンを止めて放置。


「それよりも何か用事があるんじゃあ?」

「ええ、本当に銀行業務は疲れました……一番キツイ時をこえて一応引き継ぎも終わらせたので、その周りの報告を」

「わかった」


 たぬ吉の疲労混じりの報告を受ける。

 書類と口頭説明を交えたもので苦労が伺えた。

 とくにすぐに破ったり穴をあけたりグシャグシャにする魔物がよくいるのが困るとか。


 そこらへんは時間をかけて改善するしか無い……

 みな不慣れだからだろう。

 それと何度も計算が合わずに苦労した話も。


 みなまだ高度な計算機があるわけでもなくそもそも計算自体なんとか習得出来た魔物が銀行に配備されたわけだ。

 計算間違いが相次ぎ誰の計算が正しいかで混乱するなどもあったとか。

 やはりそろばんのようなものの導入が急がれるか……


「……とまあ、こんな感じです」

「わかった、ありがとうおつかれさま。今のも書いておこうかな」

「あ、さっきの何か書いていたものですか?」


 こぼれた言葉を拾われ話が再び戻ってしまった。

 まああまり隠すものではないのだけれどなんとなく恥ずかしいと言うか。


「うん、まあなんというか、記録付けみたいなものだよ」

「記録ですか? この書類みたいな?」

「ああ、そんなガッチリしたものじゃなくて! 日々あることを、思いのままに書いている……まあ、日記ってやつだね」


 書きかけの日記に再び向き合う。

 たぬ吉も横から覗いてきた。


「これがニッキというやつですか……どれどれ、『今日は、遠征組の報告を受け取り現地へと飛んで行った。そこは湖の迷宮のはずだった』……」

「ま、まあまあ、読まれちゃうと恥ずかしいから!」


 たぬ吉をなんとか遠ざける。


「ほら、これは良いからいっていって!」

「恥ずかしいものだったんですね、ごめんなさい!」

「なんだか誤解がある!」


 とりあえずたぬ吉の誤解をとくこととなった……

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