三百四十八生目 回避
[ポロニアLv.60 異常化攻撃:恐怖 比較:とてもとても強い]
[ポロニア 長い毛は別れると分身を作れる。また巨体ながら自身を霊体化させることで攻撃を喰らうことがない。圧倒的な力と特徴的な能力で神や神の遣いと言われる]
とてもとても強いか……
やはり正面切ってどうにかできる相手ではないな。
あまりに力量差がありすぎる。
とそこに2体の大型分身体が飛び込んできた。
アインスのコントロールで潰されないように回避する。
相手を増やす余裕はないのに……!
「……そいつらと、戦ってもらおう」
「あっ!?」
そう言うと蜃気楼のようにポロニアの姿が薄くなっていく。
霊体化というやつか!
代わりに大型分身2体が吠えながら飛びついてくるので回避。
仕方ない。
まずは 空魔法"ストレージ"で亜空間から私の剣ゼロエネミーを取り出す。
同じく空魔法"フィクゼイション"で剣を空間ごと固定化して念力のように使い鞘から引き抜いた。
鞘は亜空間に戻す。
最初から全力でいかねば。
ただそのためには補助魔法を扱い完全な状態にする必要がある。
同時に詠唱するわけでは無ければエアハリーでも2重に魔法を使うくらいわけない。
ゼロエネミー最初から能力を開放!
剣からおぞましいオーラが放たれ周囲にエネルギーが放たれていく。
敵愾心を削る力だ。
[ポロニア(強分身)Lv.10 状態:やる気ダウン 比較:少し強い]
大きい分身たちが嫌がった顔をしているから"観察"したら効果はあるらしい。
ただこれだけでは攻撃を止める気はないらしい。
彼らは結局使い捨てのポロニアの分かれ身でしかないから仕方ないか。
ただ背後や周囲でアノニマルースを攻めようとしていた小型分身たちは動きが止まった。
正確には1歩ずつ進もうとしているが震えながら必死な様子。
分身体としての任務を全うしようとしているが敵愾心が削がれてしまった結果混乱しかけているようだ。
あれではまともな戦闘はムリだろう。
小型たちの乱入はなさそうだから大型分身にのみ集中しよう。
アインス飛んで! 剣を使うよ!
(りょーかい! ゼンリョクでいくよ!)
今回は"峰打ち"はなしだ。
"無敵""連重撃"を加えておく。
アインス操作により身体が空へと浮かんだ。
魔法は私がコントロールすることになる。
とにかくアインスには回避と直接攻撃に専念してもらおう。
剣を鞭モードへ変化させる。
「こっちだよっ!」
「バウッ!!」
2体の間をすり抜けて飛ぶ。
爪が光りを纏って斬撃が来る中飛ぶから恐ろしい。
そのまま追われつつ上昇。
大型分身たちはどうするのかと思いきや青白い光を全身から直線上に放ってきた!
あれは危険な気配!
「ひゃー!」
対空技のような攻撃は表面の形が変化して牙を剥いた獣のようになる。
アインスは身をひねってなんとか回避した。
補助魔法詠唱して……とりあえずひとつ!
「ああ! まだ来る!」
アインスの言葉にハッとして"鷹目"で背後を見ると折り返して迫ってきていた。
アインスは振り切るために速度を上げながら小回りしている。
攻撃を放ってきた2体は少しひるみ息を荒くしていた。
大技だったか。
まだ攻撃はついてきているがこのチャンスを逃すわけにはいかない。
剣を念力のように魔法で操って相手の元へ向かわせた。
「しつこいっ!」
背後にいる追尾弾をアインスが棘を飛ばして迎撃する!
しかし棘は飲み込まれてしまって効かなかった。
「ああっ! もう!」
再び加速して小回りして振り切ろうとするが一進一退のみで油断すればすぐ詰められる。
ゼロエネミーを蛇腹剣にして鞭状にしてそのまま大型分身体に振るう!
剣が勝手に補正してくれるから楽。
疲れていた大型分身2体はそのせいで反応が遅れて逃げ切る前に身体に打ち込まれた!
2重のダメージにわずかに吹き飛ぶがすぐに体勢を整える。
こちらも手を休めず次々振るう。
同時に補助魔法も唱えて……と。
自身と剣に強化!
アインスはとうとう空中サーカスの限界で追尾弾が追いつきそうになっている。
アインスこのままだと!
「うむむ、こうなったら……」
アインスがつぶやいて少し曲がった瞬間に速度を急激に落とした。
ちょっとそんなことしたら当たる……!
と思ったらわずかな時間触れたものの追尾弾が自身を追い抜いて行った。
「"すり抜け回避"! うまくいったね!」
今のがそうなのか!
わずかな時間だけ攻撃を喰らわないスキル……
最高に速度を上げていたから急ブレーキに追尾弾の減速が間に合わず自分の身体を一瞬で通過したらしい。
だが追尾弾そのものはまた折り返してきている。
一方地上では私が操る蛇腹剣が爪と牙をかいくぐって攻め込んでいた。