三百四十生目 銀行
こんにちは。テントの中で改めてステータスチェックをしています。
とは言ってもレベルはあまり増えていない。
1万のイオシを倒しても動かないのは苦労するな……
ケンハリマ ローズLv.42→43 ポイント3
"無敵6→7" "近接攻撃9→10" "光神術4" "観察7" "峰打ち10→11" "魔感7→8" "鷹目5→6""止眼4"
"頑張る5" "変装7""ズタ裂き3→4""回避運動9→10""三魔8""無尽蔵の活力8→9""空蝉の術6""四耐性5→6"
"以心伝心7→8"怨魂喰い5""言語学者8→9""率いる者7→8""見透す眼5→6""地魔法2""魂の守り3→4""救急魔術師8""指導者6→7"
"戦士の心3→4""影の瞼3→4""森の魔女4→5""猛毒の花1→3""空の曲芸者1→3"
その代わり1つレベルが上がった時に強い実感が伴う。
スキルポイントの取得が緩やかになってしまっているが基礎能力が大幅に増えるなら良し悪し。
それとスキルレベルそのものは増えてきている。
"近接攻撃"と"回避運動"がスキルレベル10となった。
前に引き続き10となることでスキルが派生する。
"近接攻撃"からは"連重撃"が派生した。
なんとあらゆる近接攻撃に同時にもう一撃分を加えるスキル。
もちろん行動力は食うが"無尽蔵の活力"がある私ならばあまり差はない。
攻撃能力が倍になるかのようなスキルだ。
"回避運動"は"すり抜け回避"というスキルだ。
これは僅かな時……おそらく0.5秒ほどの一切合切の危険が肉体や精神それに魂にも当たらないというとんでもないスキル。
1回使うと次までの時間は少しいるし行動力は成否関わらず消費されるからそこをどう見るかだ。
"峰打ち"がレベルが上がり"正気落とし"の性能が増した。
今ならあのダカシのような気絶耐性を少し持つものでも落とせそうだ。
他ももろもろ増している。
スキルを貸して訓練に使っているのも効果が出ていそうだ。
スキルポイント消費しての新規習得はなし。
こんなところかな。
今日はこの後に説明会を開くことになっている。
私の手元にあるのは……大量のお金だ。
「はい! 今日はお集まりいただきありがとうございます!!」
集落に計画的に作っている空白の広場。
そこに群れの中で細かく別れているグループのリーダーの人たちに来てもらった。
理由はもちろんあまりにたくさん来てもらうと広場からあふれるせい。
赤蛇と黒蜘蛛にきてもらうとそれだけで広場が狭くなるから代わりを出してもらっている。
本来は知能差があまりに激しい面々だが九尾の受信機によって少しずつ補助が入っているから今から話すことは理解できるはずだ。
仮設の高台に立ち光神術"サウンドウェーブ"で声を響かせる。
「今日みなさんに話したいことは、お金に関することです!」
「お金?」
「確か今はポイントの……」
ざわつきが起こるがすぐに理解できたのかそこまで長くならずにおさまってゆく。
どうやら問題はなさそうだから進める。
「はい。今はポイントとして、働いたら貰えて食事の時に代わりに使っています! これを現在ニンゲンの国でも使っているお金に変えます。こちらです!」
私は空魔法"ストレージ"を使い亜空間からお金を取り出していく。
小銭いくつかとお札いくつか。
みんな種類が違う。
「変えるのは良いけれど、それは?」
正面にいた魔物のひとりが質問する。
まあそりゃそうだろう。
彼らにとっちゃこれが何でいくらなのか数字を見ようと読めない魔物が大半だからそうなる。
だから順を追って説明する。
「まず現物の場合は口頭や帳簿上でやりとりするのとは違って、細かい数字や大きい数字をやり取りしやすいように種類があります。だいたい硬貨が小さくて紙幣が大きいです」
「なんでそれじゃあ現物を使うのですか?」
「もちろん身内ならそのまま数字でやり取りしても良いのですが、外の世界のものたちとやり取りするには共通の価値がいります。それがお金です。あとでここに来ている職人さんたちにも聞いてみると良いでしょう」
私の説明を聞いてみんなそれぞれ咀嚼している。
職人たちはニンゲンだ。
詳しいだろう。
「……かくかくしかじか、と別れているので、使い分けてください」
「質問! 普段からたくさん持ち歩くの大変になるんじゃあ? 置いておくのも大変!」
「代わりに保護してくれる銀行という施設を作ります」
お金の貸し借りなんかもするが……それは今説明しなくていいだろう。
ややこしいし危険を伴うからね。
「今お金貰えんですか!」
「お金は現在のポイントを置き換えたものを銀行に一旦渡します。それぞれのお金は銀行で管理されていますから、各々必要なぶんを取り出して使ってくださいね」
現在銀行受付ではたぬ吉と何匹かの器用でかしこい魔物たちが待機中だ。
しばらく目が回るほど忙しいだろうなぁ……
その日は彼らの質問に答えつつお金のことをなんとか周知させて解散した。
はてさてどう商売が動くかな?