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三百三十一生目 斥候

「さあさ、暗い話はここまで! パーッと明るく報酬の話だ!」

「待ってました!」


 ないよりあるほうが良いもののひとつお金。

 ふたりが机上に上げたのは今回紙きれが3つだった。

 こ、この小さい紙ってもしや!


「これが今回の冒険者ギルドからの支払額です。お受け取りください」

「小切手! すごい初めて見ました!」

「……ありがたく受け取ります」

「ありがとうございます」


 気のせいかカムラさんがニコニコしている。

 私に支払われた額は60000シェル。

 およそ600万円!


 命をかけて得たお金大事にしよう。

 魔王復活秘密結社が関わっていた分の増額が大きいんだろうなぁ。

 今後も命をかけた釣りと解決を求められるわけか。


 それで大方の話は終わりということで挨拶をし外へ。

 いやあ我ながら単純だけれど。

 お金がきっちり手に入るっていいね!


 夜風が気持ちいい。

 今夜はぐっすりと眠ろう。

 ……うん? 命をかけて600万?

 深く考えないようにしよう。






 おはよーございます。

 昼です。

 いやまあとっくに起きてはいたんだけれどね。


 現在私は熊のジャグナーと共にアノニマルースの外側にいた。

 もっとも神獣ポロニアが攻めて来る可能性が高い方向だ。

 神獣ポロニア……私達へ曖昧な警告をして敵意を示したまま現れない巨大な相手。


 しかし動きはあった。


「神獣ポロニアの分かれ身……」

「ああ、神獣ポロニアに比べればサイズは仔犬ほどなんだけどな」


 戦闘があったという場所。

 正確には罠にはめて落とし穴が発動し串刺し罠にはまっていたところ。

 一部破損程度ながらいまだ健在だし……遺体もなし。


 ちなみに普通の道にこのような罠はないしそもそも普段は落ちないように仕組んである。

 ジャグナーたちが誘導して落っことしたのだ。


「向こうの攻撃意思は?」

「対話する気もなく吠えながら魔法をガンガン放っていたから殺意丸出しってやつだな」

「それでココに落ちて……」

(たお)れたら光になって消えた。そのかわり毛があったからそういう能力(スキル)だろうな」


 ジャグナーの解説で理解する。

 それなら罠に引っ掛けた理由も罠に相手がいない理由もわかる。

 それにしてもついに明確な攻撃意志を見せてきたか。


 神獣ポロニアの一面は少し考察出来ている。

 だから直接対話さえいつかできればあるいは……と思うのだが。

 むしろ捨て身斥候を送られる始末。


 そろそろ本格的に防衛を固めねばならない。

 とはいえこの罠のような類や防衛用拠点それに外壁も出来てきている。

 過剰だと思えるほどにやっても時間稼ぎにしか利用できない可能性も高いからね。


 というわけで建築中外壁付近へ移動。

 ここでは職人や土木工事の魔物たちそれにドラーグなんかも種族をこえて一体となり工事を進めていた。


「そうそこ! おろしてー、おろして、はいオーケー!」

「やってるねードラーグ」

「あ、ローズ様」


 影竜のドラーグは飛行型魔物に指示を出して外壁の上に正確に配置指示をしていた。

 高いものを作るときはやはり飛行出来るって強い。


「既に結構高く出来ているねー」

「まだ10mくらいなので、もっと高くするつもりです。このぐらいだと跳んで入られそうで」

「それはわかるな……」


 ドラーグと私で苦笑い。

 城壁は職人たちの加工や魔術的なほどこしそれにもろもろ技術投入と素材利用で硬くしあがっている。

 元々頑丈なこの荒野の迷宮の土を跳ね上げて硬く仕上げてある。


 オーダーとして少なくとも私が壊せない程度の堅牢さは必要とした。

 もちろん壊せないだけでなく侵入されにくかったり普段から不便になりすぎなかったりと必要な事は多いのだが。

 ただこもることしか出来ないのも困るからね。


「ここが攻められたさいの要になるし、監視網も楽になるからきっちりよろしく!」

「ええ、まかせてください!」






 ドラーグやジャグナーに群れ(アノニマルース)のことを任せておいて。

 私はカムラさんと共にニンゲンの街へやってきていた。

 買い出しである。


「頼まれていた物はこのくらいで……後は食糧やお茶の葉ですね」

「わかりましたー」


 私は群れに必要と買った物をどんどん(くう)魔法"ストレージ"にしまいこむ。

 最近亜空間への詰め込み方のコツがわかってきた。

 生きるためには欠かせない娯楽品なんかも買ったり詰めたりする余裕がうまれたのは良いことだ。


「おや……? カムラさん、あの人ごみってなんでしょ」


 1つの大きめの建物に人々が吸い寄せられるように入っていく。

 何か催しかな?


「少しみち草しますか」

「はい!」


 カムラさんが提案してくれたのでそれに乗る。

 私たちは人ごみの中へ吸い込まれるように移動し建物内へと入り込んだ。

 ニンゲンの多さが鼻につくが……我慢できないわけではない。


 今更だけど入るだけならただのところだよね?

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