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三百二十七生目 敵無

 裏に通されて早々待ちきれないと言った様子の鑑定士に大当たりと言われた。

 この剣が大当たり?


「ということは、まさか……」

「ええ、私だけでは決められませんが……ユニーク級ですね」

「「ユニーク級!?」」


 私とバローくんの声がかぶった。

 つまりあれだ。

 伝説の武器に並ぶ性能というわけか!


「使い手を選ぶとはいえ、これほどの1品! 技術と魔法を越えた能力! おお、これは、これは……! あ、詳しく説明しますね」


 鑑定士ひとりだけわかって盛り上がっていたところを全員の視線を受けて改めて座り直す。

 見やすいように大きめの紙に項目にわけて鑑定士は次々と書き込みつつ話した。


「まずアタック……総合攻撃性能はかなりのものです。変形機構含めて攻める能力は申し分無いでしょう」

「切れ味なども良いのですか?」

「ええ。使う人が使えば何だって切り裂けるかと。切れ味すらも使い手の力に呼応し増幅するようです」


 カムラさんの質問に笑顔で答える鑑定士。

 ということはだ。


「私が強くなればなるほどこの剣も……?」

「ええ、力に呼応しこたえてくれるはずです」


 剣をまじと見る。

 こいつそんなに凄いのか……


「統合ディフェンス能力も異常に高いですね。普段はコンパクトなのに大盾にもなるのは強力ですよ」

「大盾と剣を持ったほうが良い、というわけでもないんですか?」

「もちろんそれで問題なく動ける筋力を持つ方は……まあそれでもやはり、持ち運ぶだけで疲労しやすいですからね。色々とやりやすいものがコンパクトなのは、常に有利ですよ」


 バローくんの質問にもそう答えた。

 そうかいきなり出せるというのは戦いにおいてアドバンテージになるのか。


「ここからが重要なのですが、特殊性です。この剣は見るだけでも敵愾心(てきがいしん)が落ちて攻撃のたびに敵愾心を落とし続けます。

 つまり攻撃を受けるだけで相手は戦闘意欲を無くしてしまうのです」

「もしかしてガードをしても……?」

「ええ、おそらくは」


 私の質問に肯定された。

 さらに話は続く。


「どのような相手でも攻防する気を削がれたら戦闘続行が不可能になります。さらにどうやら敵愾心(てきがいしん)を下げる(たぐい)のスキルをまとわせ強化出来るようです! どのような相手でも戦う意志すら持てなくなれば戦闘にすらならず勝利が出来ますからね」

「なるほど」


 これ私が"無敵"に期待した部分をになってくれているんじゃあ。

 鑑定士が興奮して話すのもなんとなくわかる。

 おそらく"無敵"を使うとさらに効果が増すのだろう。


「それとまだありまして」

「まだあるんですか!」

「水棲生物と飛行生物に対して強くなっています。なんでこのふたつなのかは、よくはわからないのですが実に良いものだと思われます」


 剣! あれか、私の想いを汲んだのか!

 味方には……仲良くしてあげてね。


「それと土や雷を吸い取ってしまい所持者の力に変えてしまうようです。かなり重要で戦いの時に、土や雷の魔法が当てられても無効化出来る恐ろしい能力ですね」

「なんだか凄いな……俺の打ったものだけど。敵愾心(てきがいしん)を下げる、か……もしかしたら魔物と仲良くなれるためのものの糸口かもなあ……」


 カンタがなにやらつぶやいているがそれはともかくだ。

 凄いのはよくわかったのだが名前だ名前。

 名前はどうなったのだ。


「名前の方は……」

「ええ、名前もつけさせてもらいますよ。今裏でやらせていますが……」

「名前の方出来ました!」


 勢い良く複数人が部屋へ入ってきた。

 みな鑑定士よりも若い。

 いわゆるお弟子さんだろうか。


「どれどれ……ふむ、確かに今回は有効魔力文字に重きを置いたほうが良い……どうでしょう、今回の刻ませてもらう名前を現代訳したものです」


 そう言って紙に書かれた文字を見せてもらった。

 そこには[ゼロエネミー]と書かれていた。

 なるほどね。


「良いと思います」

「ええ、それでは早速刻ませてもらいます。それとなんですが……」


 なんだろう。

 まだ何かあったっけな。


「私ひとりではユニーク級認定出来ないのは事実……ただ、今回のように持ち手を選ぶ、または元々持ち手がいる武器はユニーク級認定はしないほうが良いのです」

「というと?」

「まずユニーク級はその時点で国宝品として所持者は国に移行します」


 あぁ〜とカンタやバローくんが感嘆詞をもらす。

 覚えがあるようだ。


「なるほどなぁ、確かにデカイ力をもつと認定されてしまえば個人で管理させるわけにはいかなくなる、か」

「ええ。さらにそれの力を広く喧伝されて戦争抑止力に用いられます。持ち手が決まっている場合はその本人すらも国から実質強制的に……」

「ウッ、戦争の兵器されるのはなぁ」


 とても困る。

 こっちが抑止力として使いたいのに。


「華々しく英傑とされて英傑譚が語られても、それは結局個人の激しい制限という、裏を見せないためのものです」

「うう、夢も何もない……」

「まあ世の常ですね」


 バローくんがあらゆる英傑譚を思い出しカムラさんは諦観。

 なるほど確かにユニーク級と認められるのは困るなぁ。

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