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三百二十生目 友達

『機能終了。お疲れ様でした』

「ふうぅ……お付き合いいただきありがとうございました」

「立派に王の勤めをはたしたところを、確かに見届けさせてもらいました」

「良くはわからなかったが頑張っているのは伝わったさ」

「迷宮、早く直ると良いですね」


 管理部屋でやれることはやった。

 あとは自然が少しずつ直るのを待つだけだ。

 ただまあ破壊された瓦礫の片付けや再建築は必要だが……


「ああそうそう、改めて言いますが、ここのことは他言無用で」

「ええ」


 管理部屋と城から出ると大きく傷跡はまだ残っているもののえぐられたり破壊された岩場や地面は迷宮修復の力で直っていた。

 瓦礫はみんなで片付けている最中だ。


「それでは私はみんなの手伝いをしますので、みなさんは……」

「もちろん手伝うぜ!」

「ええ、ここまでやったんですし」

「微力ながらお手伝いします」


 そうして瓦礫撤去作業が行われた。

 私が圧縮してまとめたりイタ吉が半壊しているところを丁寧に斬り裂いたり。

 バローくんがツタで何人分もの働きをしてくれたりと忙しく過ごした。


 ……おや。

 だれか忘れているような。






「ひどいよよよよ!!」

「いつまでも迎えにこないんだから!」

「意外に水草もイケるね」


 すっかり走る烏骨鶏(カルクック)たちのことを忘れていた。

 別れたあと逃げられたのは良かったがまったく合流してこなかったのでやきもきしていたらしい。

 お腹がすいて水草をモシャモシャ食べていたところを無事保護した。


 半日程度作業して食事に誘われたら大量の植物系料理を出されて驚いた。

 特に普段はあまり出さないというピンポン玉のような植物たち。

 食感の面白さと広がる濃厚な味わいは珍味。


「コレイケますね!」

「肉がないのにうまいな! アレもコレも!」

「ううむ、水の中の料理、味わうほど興味深い……」

「よかった、今は材料はありあわせしかなくて……気に入ってもらえてシェフも喜ぶと思います」

「シェフのウデってやつか! すげー!」





 あとは自分たちだけでどうにかできるという範囲まで片付けを行いついに別れの時。

 まあ私は同盟検討のためにしばらくは行ったりきたりを繰り返すことになるが。

 カルクックたちにまたがりクラウンディたちに見送られる。


「それではまた後日、出来る限り良い報告を持ち帰ります」

「ええ、楽しみにまっています!」

「じゃーなー! メシがうまかったぞ!」

「シェフに伝えておきますね!」

「今日のこと、一生忘れません!」

「ぜひ、良い思い出として残るように祈っています」


 私が(くう)魔法"ファストトラベル"を唱えだす。

 クラウンディが何か言いたげに胸の前で手を組んでいた。

 少しためらってそれから意を決して1言。


「あの! ぶしつけで差し出がましい個人的なお願いなのですが!」

「はい?」

「私と、その、友だちになってくれませんか?」


 ちょっと不意をつかれ驚いた。

 そうか。やはりクラウンディは何よりもひとりの魔物なんだな。

 "無敵"と"ヒーリング"の力なしで誰とでも仲良くやろうと出来るのはクラウンディ自身の力でもあるのだろう。


 クラウンディが私たちに目線を投げかけ訴えかけてきた言葉に返す言葉は……


「ああ!」

「もちろんです!」

「「「よくわからないけどトモダチたくさんが良い!」」」

「私たちは、もう友だちですよ!」

「わぁ……! はい!」


 ちょっとキザったらしかったかな?

 それでもクラウンディが泣きそうな顔で笑ってくれているのなだから良しとしよう。

 魔法発動。ワープ!




 この時の私たちはまだ知らなかった。

 数ヶ月後大国である隣国が落とされそれと同時に指名手配書にあの顔が回ってくることになるとは。








 おはよーございます。

 迷宮から帰ってきて数日はバタバタしていた。

 水洞の迷宮から帰ったあと同盟の話をみんなと細かく決めてクラウンディたちと協議して……

 迷宮探索の結果を細かく書いて提出用にまとめ上げ……

 そして私は久々にあの迷宮前に立っていた。


「地球の迷宮……久々だな」


 ここに再び足を踏み入れることになるとは……

 巨大キノコ前にある幾重にも隠蔽されたものを引き剥がし入り口がキノコと一体化しているのを慎重に斬り払う。

 封印結界は私ならば問題なく通れるから……っと。


 キノコで出来た階段を降りていく。

 途中から硬質に変わりそのまま金属へと変質する。

 靴ならばさぞカツンと音が響いだろう。

 肉球だからしないけれど。


 中に入ると……景色は一変していた。

 前は無機質な金属やら人工物やらで白く覆われた1本の廊下だったのが。

 なんということでしょう。


 廊下が拡張されあちこちに広がっていて多くの部屋につながっている。

 さらにおとなしいが謎の機械魔物たちが廊下を削ったり砕いたり新しく舗装したりしている。

 ……ええと?


 やばい、なんでこうなっているか自分が何したかもうあまり覚えていない。

 ええとまずは管理部屋へ。

 行き方がわからないから"ファストトラベル"!


 ワープして着地。

 良かったこの部屋は前のままだ。

 コンソールにアクセスして……と。


[ローズオーラ 様 おかえりなさいませ]


 表示される項目を次々と見て送ってそのたびに私のみけんにシワがよってくる。

 ううわぁお。

 今の迷宮の状態はまさに……


「なんじゃこりゃーッ!」

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