三百十五生目 ばくはつ
こんなでっかい水ビームはさわっただけでふきとんじゃうよ!
大きくいどう!
(気をつけて! 魔法だから簡単に向きを変えてくる! イオシたち自体に反動はない!
それに結界の方に避けたら壊される!)
わかってる〜!
ヨコにぐい〜っとよけると水ビームもついてきた。
カベがガリガリけずれる〜!
すこしずつ近づいて!
ドンドングルグルイオシのまわりをまわって!
速さ勝負だー!!
(ああ! だんだん小回りになればなるほど巨大魚状態のイオシたちでは小回りが効かずに追いついていない!
それにアインスの水中飛行がめちゃくちゃ速いから巨大ビームのさなか接近出来ている!
ただ見ている側からすると自殺志願にしかみえない怖い!)
でもあたってない! つまり問題なし!
そしてめっちゃ近くまできたよ!
からの! ゼンシン針スピン!
(極大水ビームを放っているさいにエネルギーを集めようと強く身を寄せ合っていた影響で分離が間に合っていない!
回転するたびに針が刺さって斬ってウロコのようにイオシが剥がされていく。
逃げようとするイオシが別のイオシとぶつかりあっていて逃げ場がないらしい。
今までキレイに動けていたがあまりに相手がイレギュラーすぎてついていけないようだ)
そのまま奥へとホリススムのだ!
イオシたちはほんとうに多いからね。
そろそろみ〜んなたおそう!
(いったい、何を……)
グルグル回って目がまわるまで回ってうん! いままんなかくらいかな!
ここで"率いる者"でスキルを借りるよ〜。
"水蒸気爆発"ってやつ!
(そ、それは黒蜘蛛の!
というかそんなのこの水中で発動したらただじゃ済まないよ!?
アインス危ないからやめるんだ!)
ナニ言ってるのツバイ。
相手はすご〜くつよいんだよ?
そんなあいてに……あぶなくない勝ち方なんてないよ!
(いや、もっともらしく言っているけれどそれとこれとは……)
せーの。
すいじょーきばくはつ! はつどう!!
(うわ目の前の水が一気に沸騰し……
ぎゃああああああ!!
おぞましい勢いで爆発があああ!!
辺り一面泡と水の爆発力で吹き飛んで……あれ?
自分は平気?)
ぬふふ。
こういうときのまほー。
こういうときのとうめいかなのだよツバイくん。
(なんなのその言い回しは。
そうか空魔法"ステルス"は異次元にこの身を置くから攻撃が通らないのか。
息やら攻撃やらが出来なかったりそんなに1度の効果時間がなかったりするが確かにこういう時は便利だ。
そうだ、結界は!?)
ダイジョーブ! そこまではショウゲキが行ってないよ!
だって……ほら。
(うわお。魚たちその全てが爆発をモロに喰らったせいで盾になった状態か。あちこちで気絶して浮かんでいるや。
あれほどの大多数だからさすがにその景色は異常なほど。
水中でのダイナマイト漁はやめようねと言われる理由がわかる)
おわったーおわった!
コータイ!
おっとっと。
アインスから身体の主導権を投げられた。
(それにしても……ヘンだよね。だれもはなさないなんて)
ん……?
そういえばとっくにイオシたちの言葉は理解しているがあれだけいるのに声が聞こえてこなかった?
間違いなく騒音レベルで彼らの声が理解できるはずなのに。
やっと少し落ち着いて――
場違いなほどに軽快で間の抜けた音が響く。
パーン、パーン、パーン……
水の中なのにそして広い場所なのにやたらとその拍手の音は響いた。
だからそれが拍手の音で数メートル離れたところにいつの間にか現れた誰かが鳴らしていると気づくのがだいぶ遅れた。
「なっ……! いつの間に!」
あくまで笑顔で称えるかのように鳴らされるゆったりとした拍手がひどく嘲笑われているように思える。
というより実際そうなのだろう。
水の中なのにこんな音を出せる時点で相手もかなり水対策の魔法をしていると見て間違いないか。
だが何よりも私の心と目が惹かれたのは顔だった。
イケメンだからとか変な種族だからとかではない。
その顔はあまりにも……見知っている。
「カムラさん……?」
だが顔だけしか合っていない。
感じる雰囲気に魔力の質それに服装。
あの全身を隠すようなコートは魔王復活秘密結社の……
「カムラ? 誰かはしらんが……まあいい。人違いだ、とでも言っておこう」
そして当人も否定した。
カムラさんとは似ても似つかない1言1言に相手を下に見るような威圧感を感じる声色。
"観察"は一応してみたがやはり服のせいか防がれた。
(アイツやべーな、絶対に強い)
ドライが言う通り漂わせている気配がもはやさっきの魚群と比べ物にならないほど上に強い。
ここからの連戦は……
「そう身構えるな。褒めるためにわざわざ出てきたのだからな」
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ロゼハリーのイラストをいただきました!