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二百九十六生目 青炎

「これから問題を出したいと思います!」


 周囲に先程まで訓練していた魔物たちに集まってもらった。

 傷を治療したり休む時間兼学習の時間だ。


「私が炎を出します。どのくらいの危険度かを考え、危険性は何かを当てて見てください!」

「「はい!」」


 私は少し高い位置で取り囲む魔物たちを見下ろす。

 よしやるか。


[ヒュージ・フレイム 大きな火球を作り出して投げつける]


 私の真上にドンドンと大きくなる火球が生まれる。

 大きさが安定する頃には半径1mを超えていた。

 メラメラと燃え盛る真っ赤な玉は今にも辺りを焼き尽くそうとしている。


「これはどうでしょうか?」

「ひやあ、避けられない!」

「普段の何倍も危ない!」

「一瞬で火だるまに!」

「んん……?」


 お? 誰か気づいたかな?

 魔法をキャンセルして次は火魔法"フレイムボール"を唱える。

 初期の火魔法ながら集中して……と。


 輝く青い炎が小さくまとまった。

 なかなか良い出来だと思う。

 落ち着いていればちゃんと出来るんだけどねぇ。


「これは?」

「きれいー」

「普段の訓練のとあまり変わらない?」

「その程度ならなんとか……」

「いやみんなちょっと待って!」


 ひとりの魔物が声を張り上げた。

 いいぞいいぞ。


「さっきのよりもこっちのほうが危ない!」

「え、どうして?」

「よく見て! あの炎、とんでもない魔力と温度だよ!」

「そ、そう?」


 場がざわつき出す。

 そろそろ答え合わせをしよう。

 青い炎の玉は魔法を中断して消す。


「今回はあそこに壊していい的を用意しました」


 私達から離れたところに木の棒を十字にくくりつけた簡易な的を離れた位置に2つ。

 まずは"ヒュージ・フレイム"!


「見ててねー」

「はーい!」


 半径1m以上の大火球を空に作ったあとに右前足を持ち上げ振り下ろす。

 その途端に的へ向かって大火球は落ち辺りが爆発の光に包まれる。


「うわあ!?」

「あ、あれ? これは……」

「そんなに熱くない!」


 少し熱くはある。

 ただし見た目から想像するような派手な炎上はなかった。

 的は焦げ周囲の地面はくすぶったが地獄絵図にはなっていないし比較的無事だ。


「それじゃあ今度は……」


 そう言って私は先程の"フレイムボール"青火版を作り出した。

 見た目はキラキラと(エフェクト)もまとっていて綺麗だ。

 ……それが魔力の輝きと知らなければ。


 軽く放つと真っ直ぐに的へ向かう。

 そして接触した瞬間に。

 魔物たちの想像を絶する音が鳴り響いた。


 ボウとかバーンとかのわかりやすさはなくギュッと何かが縮むような音がして青い光が美しく的の周りに広がる。

 そして何かに飲み込まれるように急速に中央に向けて収束そして無くなった。


「ええぇ……」

「なにあれ……」

「こわい……」


 彼らがドン引いた視線の先には何もなかった。

 そこには的があり的の刺さった地面と申し訳程度の草があったが今は何もない。

 抉れた地面だけがそこで何か破壊されたコトを物語っている。


「同じように……」


 今度は土魔法で壁を作る。

 実に立派で分厚く3mほどもある高さと2m以上の立派な防壁だ。

 厚さが単純に削りきる困難さに直結するだろう。


[ストーンウォール 石の壁を作り出す] 


「別の魔法でも初級だったりしても相性や能力差で危険度はグッとかわります」 

 土魔法最初の魔法である"Eスピア"を丁寧に唱える。

 地面から輝きを纏って土の槍が生えて先程作った防壁にやすやすと刺さりそのまま貫く!

 もし裏に誰かいたら……大変なことになっていただろう。

 


「このように見極めは大事です。たくさんの知識を得てただしく動けるようにしてくださいね!」

「「はーい!!」」


 その後私も混ざってひたすら訓練。

 こういう所で魔法もスキルもちゃんと鍛えないと割りと使いづらいものが多いからね。





 日が暮れまたログを通してのメッセージが一斉に放たれる。

 また急いで食事を取りに行き渋滞に巻き込まれる前に回収。

 ここも取扱口を増やさなきゃな。


 夜の散歩をしていたらドラーグとハックとサイクロプスたちに出会った。

 サイクロプスリーダーも起きている。

 何やら揉めているらしい。


「えー、でも僕たちは今まではこうやって……」

「だがさすがにこの火の入れ方じゃあナ、火力が全く足りン!」

「まあまあ……」

「どうしたの?」


 私が近づいて話を聞いてみることにした。

 サイクロプスリーダーは私をひと目見て一瞬嫌な顔をしたがすぐに顔を戻す


「鍛冶施設があるって聞いていたがヨ、見ていたら施設がまるで貧弱だし、かなり荒削りダ。鉄すら打てない環境は問題ダロ」

「ああ……やっぱりですか? どうにかしたいなって思うんだけど、なかなか私達では本格的な鍛冶施設に手を出しにくくて……手伝ってくれたらうれしいんですけれど」


 そう私が言うとサイクロプスリーダーは鼻を鳴らして顔をそむけた。


「はン! ……やってやるよ」


 やってくれるんかい。

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