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二百九十二生目 鍛錬

 向かったところは鍛錬場。

 とは言っても整地されて日よけのために屋根がつくられている程度だが。

 ただ小石ひとつもなるべく取り除かれているから鍛錬には向いている。


 ここをメインに利用するのは私だろう。

 そう自負する程度にここには毎日通っていた。

 さてまずは準備体操から……


 鍛錬場を主に利用するのは私の他には軍部や警備部だ。

 他の魔物より自然に強さを求められるために根本的な強さを求められる。

 レベルや種族差以上に普段から基礎鍛錬をするのだ。


 私が準備体操を終えるころにはちらほら他の魔物たちも集まってきた。

 それぞれが適当に組んで準備運動をしている。

 おや、あの熊は……


「おう、今日もやってるなローズ」

「おはようジャグナー」


 十分身体が温まってきた。

 ジャグナーの準備運動にもつきあう。

 そして準備運動を終えれば……


「よし、鍛えるか!」

「うん」


 まずは柔軟。

 互いの身体をよーく伸ばしてダメージが無いようにする。

 骨や筋肉が柔軟になるだけで傷がつく確率がぐっと減るし自在に肉体を操って攻守しやすい。


 次は私が前足で踏ん張って逆立ちになる。

 後ろ足にジャグナーが大きな平皿を乗せてジャグナーが飛び乗る。


「よっこいせ!」

「落ちないでねー」


 見た目は大道芸っぽいが私の今の力ならばこのぐらいは出来る。

 ここから土魔法を唱える。

 "ヘヴィズン"!


「おっとと、身体が重くなったか」

「バランスうまくとってねー、動くよ!」


 ジャグナーを重くして腕立て伏せ。

 測ったことはないけれど今何キロあるんだろう?

 これをやると地面側が沈むから歩きつつ腕立て伏せ。


「いーち、にーい、さーん……」

「よっと、ほっと、おっと」


 上のジャグナーもバランスを取りつつ重くなった自重に耐えながらスクワット。

 見た目はだいぶアレだが基礎訓練としては良い効果がでていると思う。

 少ししたら交代し自分に"ヘヴィ"。


 その後は互いに計測しつつ魔法で身体を重くしながら横幅跳び。

 そして基礎筋肉鍛錬。

 最初のころこれらの効果はジャグナーたちもよく分かっていなかったが繰り返す事で肉体の変化に各々気付いたらしい。

 今ではここにくる皆自主的にやっていた。


 重心制御とか変則体勢での運動訓練を行う魔物たちをニンゲンたちが見たらシュールさにちょっと笑ってしまうかもしれない。

 自己鍛錬する熊だなんて普通のニンゲンからしたら恐怖以外の何者でもないだろうが。


「そういえば、うちの奴らがまたトランスしたんだ。やっぱローズの能力(スキル)が大きいらしい。かなり大幅な戦力増強になってるぜ」

「それは良かった。けれどこっちだけじゃあ強くならないから、間違いなく彼らの鍛錬も身を結んでいるよ」

「まあ、そこはともかく、武具をまた新しく作り直すことになるだろうな」

「あー、そりゃそうか、ちょっともったいないなあ」


 互いに組み合って肉体を酷使しつつ話す。

 熱が上がって口から逃しつつひたすら基礎鍛錬。

 軍や警備をするものたちには優先的に私がちまちまと作った武具を与えているがこうやってダメになることがある。


 私の時間も限られているし武具作りの設計図含めて作れる魔物たちの増加もしていかなきゃな……


 そうこう考えている間にジャグナーとの受け身組手に移ることに。

 わざと攻撃を受けて受け身を取りダメージを最小化する訓練だ。


「攻撃、顎、腹、頭」

「よしこい!」


 練習なので攻撃場所を宣言してから殴りにかかる。

 ジャグナーの足元に踏み込み跳び上がったあとに腹を相手側にし縦になる。

 そして顎に向かって後ろ足で蹴り上げる!


 そのまま円をえがく軌道で着地。

 いわゆるサマーソルトキックだ。

 受けたジャグナーはあえて自ら跳びつつ首をそらし転がって勢い消しと距離取りを行った。


 すぐに立ち上がろうとしたところに直線的なタックル!

 うめき声と共に後ろへ吹き飛びそのまま背中で必死の受け身。

 私はそのまま高く跳んで回転しつつ倒れたジャグナーに尾を叩きつけた!


「か、カウンター、シールド!」


 ジャグナーが額を叩きつけながらそこに赤いエネルギー膜がはられていた。

 これは普通の"防御"とは違う?

 その途端に叩きつけた威力が私に向かって跳ね返ってきた!


「うわっと!」


 衝撃で先ほどとは逆回転しくるくると回りつつなんとか着地。

 反撃用の武技なのかな。

 便利そうだ。


「まったく、相変わらず1歩間違えれば痛いじゃ済まないっての」

「まあジャグナーなら大丈夫だって」

「まあな。次は俺が、肩、腹、頭だ」

「あいよー」


 ジャグナーによる側面から薙ぐように振られた腕による爪撃。

 受けて1回転して着地したら腹下から蹴り上げられたので力を込めて受け空中に打ち上げられる。

 そこにジャグナーが前足を組んで頭上から叩きつけた!


 後頭部を避けつつ"防御"でエネルギー膜で衝撃を和らげ地面へ落ちる間際に身をひねって身体で地面に当たりそのまま跳ねて空中で体勢を直しそのまま着地。

 これが受け身訓練だから良いけれど本番でもうまく出来るようにしないとなあ。

 その後もジャグナーと訓練を続けた。

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