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二百八十六生目 到着

 びゅんと一瞬でワープしてやってきましたニンゲンの街道!

 近くに水場があるので特徴的で覚えていた場所だ。

 ここをしばらく進むと街が見える。


 時間は夜中で好き好んでいるのは魔物くらいだが……


「待ってたよー!」

「おまたせ!」


 そこにいたのは冒険者5人組。

 事前に護衛を頼んでおいた。

 実際に戦ってもらうことはないが彼らはひとつの担保でもある。


 あくまでニンゲンたちと友好的に。

 そんなアピールでもあるし向こうもニンゲン相手に下手な攻撃はしないだろうという踏み方だ。


 ここから護衛たちも外に出て一緒に歩く。

 私は歩いても問題ないのだけれど体裁上車の中に引っ込んでなければいけない。

 あらゆる気配を弱く抑えて動き出すのを待つ。


「よーし、動くぞー!」

「ゆっくり歩けよ!」

「追える速度でね!」


 やがてガラガラと車輪が音をたて動き出す。

 ここまで多数の頭数を見せているから野良の魔物も襲ってこないか襲ってきても即撃退できるだろう。

 さすがにヒマなので窓から外を眺めつつ声も拾う。


「いやー、とんでもなく豪華な作りだよねこれら!」

「ローズさんたち、既にちょっとした街より明らかに上だよね……?」

「「頼もしい」」

「その武装良いですね。ローズさんたちが?」

「うん! 良いよね、まるで自分の爪みたいに使えるんだよ! 防具も重くないし!」

「魔物が武具を身につけるだけでも、ニンゲンからすれば脅威なのに、ここまで立派にされるとね」


 外からニンゲンたちと魔物たちのだべりが聴こえる。

 護衛も牽引ももちろん受信機持ちだから会話が通じる。

 ゆるやかにダベりに興じているのは数の安心だけではない。


 正直彼らが敵意に気づく範囲ならば私が先に気づくからだ。

 実際動き出して少ししてからこちらを見て監視するように動く気配がある。

 まあ何もする気がないなら放置しておこう。


 奇異な集団をたまたま見かけてびっくりしているだけだろう。

 明日の朝には夜中の夢と思うだけだ。

 しばらくしたら心地よい振動に私は眠りに落ちていた。





 おはようございます。

 真夜中です。

 結局敵意を向けられる事はなく街近くまで来れたらしい。


 何らかの害意を向けられたさいに身体が起きる(すべ)は身に染みている。

 寝ている程度でわからないことはないからむしろ気楽なものである。

 ここまできたらおどおどとしていられない。


 さらに街付近なのに結界が無かった。

 正確には街道にだけわざわざ大穴があいていた。

 せっかく用意した結界抜けの丸薬は無駄になったがまあ向こうが招いているんだから開けとくよねそりゃ。


 さて私が今起きたのは理由がある。

 街の方から害意ではなく驚愕やら怯えやら奮起を向けられた事に気付いたからだ。

 これはまあ間違いなく衛兵たちだろう。


 そして来ることは彼らにも知られているはず。

 でなければ通れないし。

 このまま中で成り行きを見守っていよう。


 "鷹目"アンド"見透す眼"の透視!

 馬車の中から見ると夜なのに異常な衛兵たちの数。

 バタバタと裏で走り回り前では光を放つ魔法道具が多量に使われている。


「そこの者たち! 例の件の者たちで相違ないか!」

「ああ! 車はどこにつけばいい?」


 正面に立つ衛兵が声を張り上げる。

 張り上げる必要はないがよく見ると汗がダラダラ。

 緊張しているのだろう。


 そこに先頭の車を引いている魔物から声が上がったからどよめきが広がる。

 彼らは魔物の群れのことは聞いていても詳しいことは知らなかったのかもしれない。

 なにせ非公式だから衛兵たちにさえ色々とオープンされていない情報があっても不思議ではない。


「こ、こっちへ来い!!」


 普段は温和で緩やかな対応をとる衛兵たちも魔物相手だと犯罪者を相手取るような声色である。

 まあ主な部分はビビリが締めておるのだが。

 そうして衛兵たちに案内されるがまま正面門を避けて横道へ。


 外壁にニンゲンひとり通れる程度の扉があるところで車が止まった。

 どうやら車はここでお別れらしい。

 さあてみんなの様子はっと。


 "以心伝心"と違って受信機によるチャット機能はとても気軽に誰でも話せるという点がみんなにウケた。

 真面目に業務をしているのは確かなのだが実はここのメンバーはほとんどチャット仲間として組んである。

 決められた複数人とのチャット方法は説明書に書いてあった。


[ワクワク]

[なんだ、やらなくていいのか? ここで終わりか?]

[ニンゲンたちの反応見た?]

[1発目かましたのが効いてたね!]

[万が一の時の策、みんなで十個くらい用意してたのにね]

[うひょー今更緊張]


 裏でとっても自由にやっていた。

 ログが流れる流れる。

 だがそろそろログを見ているだけにはいかないようだ。


「アノニマルース代表の方はここで降りてください」

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