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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
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二百七十三生目 名前

 おはよーございます。

 気付いたら自分のテントで寝ていた。

 昨日の夜の事はあまり覚えていないがハックが楽しそうだったのは覚えている。


 朝の朝食や会話で『昨日は大変だった』だの『やはり普段は酔う果物禁止』だの言われた。

 うーむ何かあった気はする。

 酔いすぎないようには思うのだがまだ調整が下手だ。


 そしてハックにも会えた。


「おはよう! 昨日は何かあったかな、ごめんね」

「う、ううん! 別に良いよ、大丈夫だから! ……あの像じゃあまだお姉ちゃんを表現しきれていないなあ……」

「うん? 最後今何か言った?」

「ううん! なんでもないよ!」


 大丈夫なら良いのだが。

 その後も被害(?)にあったらしい魔物たちに謝ったりどうこうしている間にニンゲンたちと改めて話し合いを行うことにした。

 私のテントに集合し椅子と机をそれっぽく配置。


 ニンゲンたち……つまり冒険者5人組とバローくん。

 それに私やドラーグにユウレンも揃っている。


「始まる前に少し良いですか?」

「良く良く思い出せば、そこの方はどこかで見たような……」


 双子のキョーサイ、ワチューがユウレンへ手を向けた。

 他のニンゲンはあまりピンと来ていないらしい。


「ああ……私、指名手配されているのよ。決闘をしたのに決闘ではなく暗殺したといちゃもんつけられてね。名前はユウレンよ」

「「ああ! 思い出しました!」」

「ふーむ、良ければ詳しく話を聞いても?」


 そこからユウレンが過去に宗教対立からの決闘を交わし相手を(たお)したがハメられ殺人者に仕立て上げられて逃げた話をした。

 ニンゲンたちはみな難しい話に顔を渋らせている。


「うーん、話が本当ならむしろ相手が重罪ですが、僕らでは判断しようがない……」

「裁判とかは行ったんですか?」

「もちろん動こうとしたけれど、それより早く拘束しようと動いてきて何もさせてくれなかったわね。逃げながらやれる手は打ったけれど、無理だったわね」


 ユウレンがため息をついた。

 片方の主張だけでは判断できないと言ったのがその場の判断といったところだった。


「まあ、私の話は良いのよ」

「みなさまおまたせしました。お茶とお菓子です」


 ちょうどカムラさんがテントに全員分のお茶と軽食を運んできた。

 双子はカムラさんをみてもユウレンと違って指名手配の記憶にはないらしい。

 やはりあの少年ダカシが勘違いしているのか……はたまた彼だけが顔を知っているのか。


 さっき食べたばっかりだがカムラさんのお茶は絶品だ。

 さらにお菓子はニンゲンたちに特に好評。

 場の空気がなごやかになりカムラさんはテントからはけた。


「さて……本題なんだけれど、どう冒険者ギルドに報告しようかって話だよね?」

「ええ、さすがにありのままに伝えるのは……今の時期は特にマズいですからね」

「確か私達が街から離れている間に魔王復活秘密結社やらが賑やかなんだっけ? メーワクだよねえ」


 私の言葉をバローくんが受けアマネも反応する。

 冒険者5人組がいくらここを気に入ってくれていても上が気に入るとは限らない。

 いや今はむしろ強い敵意を持たれる可能性のほうが高い。


「まあこのタイミングで魔物たちが複合して集っているだなんて、どう足掻いても魔王軍っぽいよね」

「確信されますね」

「疑いようもないでしょうね」


 エリや双子も反応。

 ニンゲン組はまた渋い顔になってしまった。


「あの、こっちもそこそこ信用できる相手と交流することは?」

「問題はその相手だなあ。ギルドリーダーのタイガさんはともかく、国側にそんな相手が――」

「いえ……もしかしたら」

「どうにか……出来るかも」

「「タイガさんなら」」


 ドラーグの質問にアマネが答えたら双子がぱっと顔を上げて反応した。

 手を繋いで立ち上がる。


「ああ見えても彼はかなり国側の人物と仲良しです」

(ワレ)」「ワレ」「に教えてくれたランクはN。下手な街にいるギルド所長より高い権限があります」

「それなのにあんな小さいギルド開いているんだ……」

「大規模な組織は趣味ではないとか」

「こういう時こそタイガさんです」


 双子が息ぴったりに話しを詰めてきて独特の雰囲気がある。

 私のツッコミにも冷静に返したし。

 みんな驚いているようだった。


「Nランク!? タイガさんが!?」

「ギルドリーダーは存外やるなあ」

「町長が一時的にいない、あの街で1番偉いんじゃあ……」


 ランクNはとんでもないということだけはよくわかった。

 まあAマイナスから始まるのがランクだから何十段階向こうかってことだよな。

 ざわつきは次第に収まり話は続く。


「そこはギルドリーダーに任せるとして、話すための内容をまとめよう!」

「ここの事に関しては、そちらの不都合になる点もありますし、ちゃんと話を詰めたいと思います」

「うん。それに私達も行動や態度で魔王軍じゃないって示さないとね」

「それでここの町の名前はなんですか?」


 言われて気づく。

 そういえば名前だなんてつけていなかったなあ。


「名前かぁ……どうしよう」

「そこはローズがビシッと決めればいいのよ」

「僕は全然思いつきませんから、おまかせします!」


 いわゆる丸投げである。

 必死にうなることしばらく。

 苦し紛れに一言。


「うーん……アノニマルース……とか?」

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