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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
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二百六十三生目 聖刃

 ガドウ市長は狭い部屋内向きの細剣を持っているがゴリラのような筋肉で繰り出されたらなんでも容赦なく力でぶったぎられそうだ。

 だが巨大化した事で出来た死角にカムラさんが駆け寄る。


「ハッ!」

「チィッ!」


 カムラさんの片手斧が軽々と振るわれ脚と胸と腕に傷をつけていく。

 レイピアを持っていない方の左腕でカムラさんを殴りつけた。

 背後に飛びながら"防御"することでダメージを落とした。


「ふう、そこそこ痛いしかなり硬いしと困りましたね」

「銃が無くなっても強いですね……」

「全力で行きましょう!」


 私は剣に行動力を注いで土魔力を解放させる。

 ピクリとガドウ市長のまぶたが動く。


「風貌は報告と多少違うが、その組み合わせ、それにその剣。まさかキサマらが報告のあった……!」

「やあ!」


 どうやら私達のだいたいのことは伝わっているらしい。

 今さっき気づいたあたりどうやら口伝レベルのようだけれど。

 とりあえず仕掛ける。


 跳ぶように走り近接で切り裂いて行く。

 本当に硬いな!

 土魔力を解放しているのに傷が入ってもそれで止まってしまう。


 服も肉体も硬くそのうえ彼の防御力に相殺されるのか土魔力であまり吹き飛ばない。

 簡単に言えば岩を投げつけてもたいしてノックバックしない程度に頑丈。

 彼のレイピアが縦に振り下ろされて何とか身を翻したがレイピアはそのまま机ごと叩き切った!


 ホリハリーの防御力であまり前に出過ぎるのは得策じゃないか!

 連続で来るレイピアの突きに服も毛皮も斬り裂かれ下がらされる。

 一瞬で怪我まみれだし服もダメになってしまった。


 はっと頭に違和感を覚えて手を伸ばすと帽子がとれていた。

 ガドウ市長がレイピアに刺さった帽子を手にとって得意げに捨てる。

 ……隠す意味もない3つ目を開いておこう。


「どうした! お前は魔法を扱う魔物なのだろう? そんな舐めたやり口で勝てるとでも?」

「だったら、お言葉に甘えてッ!」


 バレているなら隠す必要もない。

 剣をぶん投げるとガドウ市長はレイピアで弾き落とす。

 ――はずがそのまレイピアをすり抜けてガドウ市長の胸を斬り裂いた。


「ちっ!」

「こちらですよ」


 剣はそのまま浮いて連撃を仕掛ける。

 よろしくドライ!


(ああ、"私"が操作するから他は頼んだ!)


 カムラさんは前へ出てガドウ市長と斬り合っている。

 アンデット特有の人体を越えた奇妙な動きを解放して攻めているためそこそこやりづらそうだ。

 だが決定打も与えられていない。


 バローくんが黒い光を飛ばす。

 あれは前もバローくんが使った弱体化狙いの魔法だ。

 しかしガドウ市長が腕を振るうとかき消されてしまった。


「つ、強い」

「私も!」


 胸の飾りを触って精霊たち2体を呼び出す。

 そのまま心を通わせて魔法を唱えさせた。

 狭い室内でも有効な魔法!


[ホーリースラッシュ 光のエネルギーが出て斬り裂く]


 燃やすのはこちらも危険になりそうだがこの聖魔法は優秀。

 何も無い空間に精霊が唱えると光の塊のようなカッターが生まれる。

 サイズは部屋用に腕くらいだがその分濃縮した。


 精霊が唱えれば次々に刃が生まれる。 そう、前生み出された刃はその場にありながら。

 これはこの魔法自体の性能。


 発射のタイミングは完全に任意。

 常に相手に合わせて刃が狙いをつけ続ける。

 これのプレッシャーは想像より大きい。


 この刃は聖のエネルギー以外を不純としてぶった斬る。

 つまり刃同士はスルーしかち合わない。

 密集率を上げ放題だ。


「くそっ!」


 カムラさんと私の剣(ドライ操作)相手に忙しいのにいつ来るか分からない刃が次々増えてくる。

 こうなると腕に覚えの有るものは……


「こんなもの!」


 まるで投げナイフのときと同じように聖魔法の刃へとレイピアを振るう。

 しかし刃は回転して避けた後に顔に向かって勢い良く飛ぶ。

 そりゃあ向かってこられれば狙いますよ。


「ぐっ!?」


 反射的にレイピアのない腕でガードしていくつかが腕を刻み鮮血を散らす。

 しかし終わりではない。

 彼の背後から頭上から真横から次々に刃が襲いかかる!


 一度こうして足を止めてしまえば達人でも避けるのは困難となるらしい。

 全方向から多数の刃が止めどなく発射され次々新しく生んでいく。

 血すらも不純として斬り裂かれ守りは破られる。

 ついにストックの方が発射数に追いつかなくなった時に彼が咆哮を発した。


「うおぉぉらあぁ!! もうやらせんわ!!」


 全身が血塗れになり刻まれたガドウ市長はそう叫びながらあちこちへと突撃をかます。

 うわあ硬い。

 タフネスだ。


 無茶苦茶に見える突撃も機動を読ませないための高速攻撃のようだ。

 私の方にも突撃されて慌てて避ける。

 バローくんの方にも来て……


「僕はこうです!」


 ファンシーでピンク色の光がバローくんとガドウ市長の間に落ちると一瞬で何かが生えた。

 あれは……あれは……


「ぬいぐるみ!?」


 思わず言葉に出てしまった。

 思わぬ超巨大ヌイグルミ出現にガドウ市長はそのまま突っ込んでしまいその出っ張ったお腹がよくへこんでからボヨーンと跳ね返された。

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