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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
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二百五十三生目 修復

 バローくんは純粋にまだ子どもということで早い段階で宿に戻っていた。

 私たちは朝まで拘束されたがやっと帰れる。

 宿の扉を開ければちょうど朝食の時間だったのか皆いた。


「ただいま戻りましたー」

「遅くなりました」

「あ、おかえりなさい!」


 バローくんにギルドマスターのタイガそれにバローくん祖母のベニさん。

 バローくんの母も受付にいる。


「おかえりなさい!」


 複数人の声が被るがだいたいはおかえりだった。

 まだほとんど宿としては利用していないがありがたいことだ。


 荷物をおろしてお金を支払い軽く自分たちも食事をもらう。

 目的はもちろん今回の事に関する話だ。



「ええとそれで、だいたいバローからは聞いているし上もバタバタしているから知ってはいる。本当におつかれさまだ」

「何とかギリギリでした」

「全く悪い予感なんて当たるもんじゃあないね。情報規制される程の相手だなんてロクでもないの」


 タイガさんの言葉に軽く返したらベニさんが気になることをつぶやいた。

 身を乗り出す。


「情報規制、されているんですか?」

「ああそうさ! 国がなんにも教えてくれないのさ。こっちは被害者の身内だというのにの」


 確かに私達も詳しいことや魔王に関して言いふらさないようにとは言われていたがそれは捜査上必要だったりみだりに不安を煽らないためだけだと思っていた。

 ニンゲンの国も何か掴んでいるのだろうか。


 黒パンをもらって頬張ると香ばしいかおりが広がった。

 ……?

 いつの間に置かれていたんだ?

 裏方というバローくん父がいつの間にか来て置いて去っていったのか?


「ふむ、不穏ですな」

「俺はまあバローから直接そこそこ聞いているが、逆に言えばそれだけだからな」

「ごめんねおばあちゃんとお母さん、ギルドマスターに報告は良いけれどそれ以外はダメなんだって」

「まあ、私はバローが無事に帰ってくればそれで良いのよ」

「私ゃーもそうさ」


 バローくんが話した事は私達も言われた。

 つまりこの中でバローくん母とバローくん祖母のベニさんそれに厨房にいるだろうバローくん父も詳しくは知らされていないのか。





 朝食をすまして宿の中にある『クーランの銀猫』ギルド本部へ。

 バローくんにタイガそれと私達だけで話だ。


「さて、ええと、バローから聞いたが改めてあなた達から聞きたい。何があったんだ?」

「はい、かくかくしかじか……」


 用意されていた椅子に座ってカムラさんと共に話す。

 辻褄あわせるために『バローくんと共に剣と斧で辛勝した』ことにしたが。


「はは、まったく、バローからは自分はほとんど足手まといだったと聞いていたが、まあバローもそう謙遜しなくて良いのにな!」

「いえ、その本当に――」

「いやー! 見事な治癒術に規模の大きい魔法も使いこなしていましたよ! ねえ父さん!」

「ええ。見事な魔法の腕前でした」


 バローくんが苦笑いしているが実際活躍はしていただろうに。

 そんなこんなですりあわせ一通り話した。


「ふむ……魔王復活のための組織な……その山の魔物たちもかなり狩られているようだし物騒な話だ」

「組織的に山1つの魔物たちを(たお)すだなんて、口先ばかりでは無さそうなのが大変な所ですな」

「それに口止め……裏で何かが起こっているんですかね」


 今回の件は氷山の一角。

 そう暗に言われているような気がしてぞわりとした。


「ま、悪いことは考えていても仕方ない! とにかく依頼達成おめでとう! おふたりはこれで初の依頼達成だな!」

「ええ、ありがとうございます」

「採取依頼がこんなことになるだなんて驚きましたけれどね」


 私がそう言うとタイガは親指を上に突き出した。


「そこらへんも含めて上は色々と計算しなおしている! 報酬は期待できると思うぞ!」

「ええ、ぜひその分を期待したいですね」


 タイガもカムラさんも笑顔を浮かべた。

 ……カムラさんの笑顔は事前に交渉しつくしたからこそのだろうなと私だけが察せれた。





 その日は疲れを癒やすためにということで解散となった。

 不審な動きには気をつけつつ日々の営みを続けるようにとのこと。

 私とカムラさんは外出するように言ってから小さい魔物たちの街へ空魔法"ファストトラベル"で移動した。


 向かうはもちろん職人街。

 服屋と靴屋の扉を叩く。


「はい。……ああこんにちは、いらっしゃい」

「はいはいはーい! おお、こんちわー! 何日かぶりー!」


 凛とした服屋とはしゃぐ靴屋。

 いつも通りだったふたりには申し訳ないが……


「実は……」


 そう言いながら私達が見せたものを見つけて固まるふたり。

 彼らが一生懸命作ってくれたオーダーメイドの服たちはもうボロボロだし血まみれ。

 土もついてこれでもかといたんでいる。


「修復、お願いできますか?」

「……うわーっ!!」

「ワオッ!!」


 ひったくられるように服と靴を取られた。


 その後怒られたのは言うまでもない。


「いくらなんでも壊すの早すぎるよー!!」

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