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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
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二百五十ニ生目 請求

「そろそろですかね……」

「パペットの仲間みたいなのが来なければ良いのですが」


 カムラさんが高そうな懐中時計を見ながらつぶやいた。

 私は周囲警戒。

 パペットたちは頭にズタ袋をかぶせて多分視界をふさいである。


 多分なのは彼らの視覚が正確にはどこにあるかわからないから。

 そこは致し方ない。

 月が動いていくさまを眺めることいくらの時間がたったか。


 強い魔力反応。

 カムラさんもすぐに気付いて身構える。

 私もホリハリー姿でボロボロの服をちゃんと着込んでいる。


 魔力は山の下側か。

 山のてっぺんにいるこちらには少し距離があるが何が来るかわからない。

 "鷹目"を飛ばす。


 よし、たぶんあと少しで見え……

 止まった!

 くっ、あとちょい伸びてくれ!


[鷹目 +レベル]


 やった! 普段から使っているだけあった。

 さらにぐっと視界が進むと見えたのは(エフェクト)が多数光る魔法陣。

 詳しく見たいけれど山の上からまっすぐ視界を伸ばして真下を見ているので遠い。


 なんだろう。

 隠す気がない魔力反応が収まると共に何かの建造物が現れた。

 あれは……馬車? いやこの世界だとカル車だっけ。


 それと同時に何者かが急速接近。

 気配を隠すどころか山を削る勢いで土煙を上げ近づいてきている。

 ダダダダダダ……と近くまで掛けてきて。


 大きく跳んだ。

 受け身を取りながら着地して速すぎるダッシュの勢いを殺したようにも見えた。

 土煙の向こうにいるのは……


「大丈夫か! ギルドの救援隊だ!」


 全身を奇抜な白い鎧に身を包んだニンゲンだった。

 声からするにおとなのメス……というか女性かな。

 それにしてもフルアーマーなのに山をわずかな時間で走ったり大きくジャンプしたりしちゃうのか。


[コウガロウ Lv.46]

[コウガロウ 個体名:オウカ・ロク

 特殊な光の剣を生み出せる戦闘特化の種族。人間からのトランス体で闇を払い光に導くために戦う]


 なにこれめちゃくちゃ強そう。

 ただどうやら味方らしいのはよかった。

 武器をしまいギルドカードを提示する。


「助かりました。私がローズオーラで……」

(わたくし)がカムラです。そして捕らえた魔物はこちらに」

「おお! 無事だったか! 良かった、さあ下に休めるところを用意してある。よく頑張った。こいつらは任せろ」


 そう言うと白鎧のオウカは光の輪を作り出してまとめて縛り上げた。

 そのまま輪ごとパペットたちを背負う。

 すごい力だ。


 袋詰にされた植物である悪魔の爪たちも言ったらそれらも光の輪で縛って持った。

 もはやちょっとやそっとじゃあ関係ないらしい。


「じゃあ、下山しよう!」


 元気にオウカはそう言った。





 そこからはテンポよく進んだ。

 カル車までたどり着いて下にいたカルクックたちとも合流。

 カル車周りにもニンゲンがいて乗り込めばあっという間に街の付近へワープした。


 バローくんと合流しパペットたちはしょっぴかれていった。

 良い情報が引き出せれば良いんだけれど。

 私達の事は例え話しても悪者たちの与太話と思われるだけだろう。


 バローくん自体も口裏を合わせてくれている。

 さらに……


「大変申し訳ありません! 異常に危険に巻き込まれてしまったようで!」

「いえいえ、冒険者だからこういうのも――」

「ははは、確かに死にかけましたよ。かなり、話が違いますよね?」


 ギルドも平謝り。

 規約通り私達をバックアップしてくれるとのこと。

 さらにカムラさんがここぞという点で良い笑顔で問い詰めていた。


 具体的に言うとここの国ギルドのトップを引きずり出し本来ここまでしたさいの報酬金と悪魔の爪も実質アレだけの量の買い取りさらに危険手当諸々……

 いやまあギルド側も規約で書いてある通りにやってくれたとは思うのだがもう利用できるだけ利用してカムラさんが絞り尽くした。


 ちなみに悪魔の爪は出来る限り植え直しはするがその前に大半は枯れるので薬の材料にするらしい。

 やはり少し貰っておいてよかった。

 ギルド側もまた刈られる可能性を心配していた。


 まあようは盗られるくらいならというやつだ。

 私のところにあるのは密林付近に植え直した。

 なるべく生えていた時のように植え直したがうまく育ってくれるかな。


 ゴタゴタと手続きを終えて服は支給された一般的なものに着替える。

 事情聴取もされて『また明日』と解放されたときにはうっすら太陽がのぼっていた。


「とりあえず、宿にいきますか……」

「そうしようか」


 カムラさんが父役を演じる。

 ……?

 カムラさんが"率いる者"で"以心伝心"を借りた。


『あの時、ギルドに謙遜しようとされていましたが、そういう事をすると国相手は危険ですよ』

『そ、そうなんですか?』

『ええ。規約に書いてあることだなんて、そういうテイをとるためのものですからね。きちんと請求するものはしなければ、ほとんど濁して終わりなんてことも珍しくはないのですから』

『そ、そうなんですか。慣れてるんですね』


 うっかりしていたがそういうこともあるか。

 そういえば前も似たような話を聞いたような……

 カムラさんはそっとうなずく。


『似たような事は何度も、ありましたから』


 遠いところを見つめるかのように空へと顔を向けていた。

 うん。

 深く追求したら闇が深そうだから止めておこう!

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