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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
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二百三十三生目 一目

「行きます!」


 私がチーターを1体倒している間にバローくんの魔法準備が終わる。

 精霊ふたつが何らかの魔法を放ち(エフェクト)が弧を描く。

 そのまま地面に潜ったら巨大なツルが生えてきた!


 巨大なツルがバローくんの動きに合わせてムチのようにしなる。

 ピシッなんて軽い音じゃない。

 チーターに当たればゴッ! とかドン! とか鳴る。

 骨が折れてそうな音だ……


 複数のツルがチーターたちを翻弄する。

 筋肉の鎧でなんとか耐えているがカムラさんと戯れている場合ではなくなった。

 ちなみにカムラさん自体はかすり傷程度で済んでいる。


「大丈夫でしたか?」

「おかげさまで、防御に専念したので平気ですよ」

「掃討!」


 余裕が出来たバローくんがカムラさんに声かけして私は残りを倒しに行く。

 今1頭がツルに地面ごと叩きつけられ伸びたから残り3。

 ツルと格闘せざるをえないチーターたちはスキだらけだ。


 "正気落とし"!

 不意をついてバーンと叩けば全身が良く震えて倒れる。

 私に警戒したいだろうが実際そんなことをやっていると……


 あ、1頭またツルによって空に飛ばされている。

 さらに空中コンボを決められ最後は地面に叩き落とされた。

 うーん、容赦ない。


 さらには手が空いたカムラさんが残り1体を斧でガンガン斬り裂いた。

 チーターみたいな魔物は丈夫だろうしそれでバラバラになったりはしないが斧の一撃は重い。

 縦下ろし縦斬り返し勢いそのまま横なぎからの回転の勢い叩きつけ!


 流れるようなコンボになすすべもなくチーターは吹っ飛んで気を失った。

 普通なら頭がかち割れていそうだが、最後にカムラさんが"率いる者"経由で私の"峰打ち"を使ったのがわかっている。


「終わりましたな」

「おつかれさまです! 想像以上にこなれていて驚きました」

「私達の被害はゼロ、相手も誰も死んでいない、ね」

「みたいですね。法を破ると冒険者剥奪もありうるので、言う必要は無いかもしれませんが、これまで以上に気をつけてください」


 バローくんは先輩だからか結構アドバイスを入れてくれる。

 ちゃんと話は聞かないとね。

 それはそれとして少年が張り切っている姿はなんとなくほほえましい。


 魔物を保護するための法律。

 この世界は昔はニンゲンと魔物は2つ名『魔王』を筆頭に戦っていた。

 結果的にはニンゲンが勝ったが魔王は調和が乱れた時に復活する宣言をしている。


 それから時が流れても各国の法律で魔物の過剰な狩猟は禁止されており、国の依頼を受ける必要がある。

 まあぶっちゃけ前世で言う生態系の保護だよなあ。

 何かの種が絶滅すれば回り回ってとんでもない被害がニンゲンに出るとかよく有る話だ。


 私はその『魔王』に関しては全く知らないし森のときに出会ったニンゲンたちも有名な話としか知らなかった。

 案外教訓系の話なのかもしれないなあ。

 悪い魔女がやってくるから良い子にしなきゃいけないよなんて前世からいくらでもある。


 まあ私たちはその恩恵に与る立場だ。

 ありがたくもらっておこう。


「そういえばバローくん、私たちを誘ったことなんだけれど……」

「はい?」

「あの時タイガさんが語った以外にも理由、あるよね?」

「……バレちゃいましたか」


 驚き、からの苦笑い。

 あどけない笑みで私の疑問に答えてくれた。


「はい、まあ理由はあるんですが……一目惚れしたんです。ええと、順番に話しますね。

 僕は精霊使いと言われる珍しい事ができるタイプなんです。

 普通の人には見ることも感じることすら難しい精霊を扱い、味方にして魔法を行使します」

「なるほど、先程の見事な魔法はそれ、という事ですか」


 カムラさんの感心にバローが頷く。

 「続きは移動しながら」と提案されまたカルクックにまたがり走り出す。

 伸びているチーターたちは……まああれだけ筋肉あるからすぐに復活するだろう。


「それで、ローズさんをひと目見た時に驚きました。ローズさんに精霊たちが心を許していましたから」

「それが一目惚れの理由?」

「はい。精霊がなつくなんてなんて僕以外では初めて見て、驚いて、誘うならこの人たちしかいない! って強く思いました」


 なるほど、何となく"読心"で見えた気持ちが言語化してやっとはっきり分かった。

 それなら納得だ。

 秘密ではあるが私も精霊使えるしね。


「そういえば私、その精霊に関して殆ど知らないのだけれどどういう存在なの?」

「ええと、精霊に好かれているということは少なくとも何か感じていませんか?」

「うん、確かに何かは……けれど今は感じないかな」


 程よくごまかしておく。

 私も精霊使えるとしたら剣士という前提が崩れる。


「ああ、それは今僕が大きく関与しているからですね。返します」

「あ、戻ってきた」


 そう言うと確かに精霊たちが帰ってきた。

 私のもとにくれば再び姿がホエハリ型。

 おかえりー。


「精霊の姿は誰に影響されるかで変わるそうですが……僕もさっき初めて変化するのを見ましたから驚きました」

「私も見てみたいなあ」


 まあ本当は見えているんだけどね。

 「それでは」と前置きしてバローくんが精霊について語りだす。


「精霊とは、『この世界を見る者』と言われています」

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