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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
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二百三十ニ生目 駆猫

「よーしよしよしよし! 飛ばすよー!」

「わわっ! おおー!?」


 メスのカルクックに合わせて言うとおりに身体を動かすとスイスイとカルクックは速度を上げていく。

 それは私の想定よりもどんどんと速くなってゆき。

 私が駆けるときとは違う風が流れる。


「すごい!!」

「なあに、私にとってこのぐらい楽々だよ!」


 私やカルクックの声が空気に押され背後へ流れていく。

 地面は舗装されておらず自然なままなのに一切の抵抗を感じない。

 かるい凹凸程度ならヒョイヒョイととぶように移動する。


「ここから乗ってるやつが落ちたら死ぬ速度になるよ! カバーするから屈んで!」

「こ、こうかな?」


 前の人たちの動きやカルクックの言葉に合わせて屈む。

 すると(エフェクト)が私やカルクックごと包んでいく。

 まるで全身をプロテクトしていくようだ。


「よしもういいよ! どうだい?」

「あれ、ずいぶん楽に」


 速度がさらに上がって行き声が流されることそのものは変わらない。

 たださっきまで風に押し殺されそうになっていたのに対してはずっと楽になった。

 こういうスキルなのか。


 カルクックたちはどんな悪路だろうと山も谷も同じテンポでトバしていく。

 圧倒的に走りが安定しているのだろう。

 なるほど足が速いタイプとは言ったが確かに速い。


 たいていの魔物たちなら問題なくちぎっていく。

 絡まれる前に即時離脱だ。

 ただ中には面倒なやつもいる。


 ピー!

 先頭のバローくんから笛がなる。

 敵襲の合図だ。


 この場合は停止しての交戦を意味する。

 確かに目の前には待ち伏せしている姿が見られた。

 あれでは抜ける前にカルクックが怪我をする恐れがある。


 笛の音に合わせ順に速度を落とし停止したら降りる。

 前にいるのは頭だけ硬質な兜のようになっている獣だ。

 恐らくは……チーターに近い。


 もちろん近いだけで兜の時点で魔物だ。

 あんなに筋骨隆々で兜が頭から生えて覆うチーターがいるか!


[タハントチLv.21 異常化攻撃:ロックオン]

[タハントチ 力こそ全てという種族で魔力こそ全てという種族的に近い魔物と常に争っている。獲物は強いもの順で常に奪い合う]


 ん?

 ロックオンという状態異常はあまり見慣れないな。


[ロックオン 相手にマーキングなどをしてどこまで離れても隠れても追いかけられるようにする。また集団行動時に狙う相手を絞るさいにも使う]


 なるほど実に狩り向きだ。


「僕が後方から打撃を与えます! 準備時間を!」

「わかりました」

「わかった!」


 事前に組んであった隊列通りに構える。

 バローくんは魔法使いらしく背から杖を構えた。


「それ!」


 バローくんは杖から光を放つ。

 う、うん?

 私の精霊の様子が?


 ぎゅっと姿が変わって小さなフクロウ型に!?

 さらにバローくんの元へ飛んでいってしまった。

 まさかバローくんも精霊を使うのか!


 チーターも動き出す。

 ひと吠えしたらカムラさんの身体周りに光がまとわりついた。

 これがロックオンなのか。


「む、どうやら私が狙われたようです」

「じゃあ私は攻撃に専念します」


 5匹のチーターたちが一斉にカムラさんへ飛びかかる。

 悠然と構え攻撃をかわし斧で牙を受ける。

 うん、大丈夫そうだ。


 そもそも5匹も群れたら混雑しちゃっている。

 うまく戦闘出来ないだろうアレ。

 まあ私たちにとっては好都合!


 近づいて剣を振れば一直線に刃が切り裂く。

 チーターは防ごうとするがそのまま防御ごとチーターを吹き飛ばす!

 2体目! 3体目!


 胴を払っただけではさすがに倒れてくれない。

 見た目通り筋肉の鎧で再び立ち上がった。

 私に向かって襲ってくる。


 結構脚が速い!

 瞬間的に距離を詰められ思わず何か魔法やスキルを使いそうになる。

 いやだめだ、あくまで剣士として振る舞わないと……


 ガギッ!

 1体だけ私に向かって来て剣で牙を受ける。

 残り2体はまたカムラさんへ。


 剣士として……?

 ちょっとまった"止眼"!

 景色が止まる。

 そうだ、喉まで出かかっているアレをすれば……ああ!

 あれだ!


 "止眼"を解除して再びチーターと向き合う。

 剣を前に押し込み牙をはずさせてからすぐに構える。

 チーターが爪でくればこちらも剣で返す。


 カンッ! ガンガンッ!

 斬撃と斬撃が激しくぶつかり合う。

 チーターの爪はただのニンゲンならば肉を切り骨を抉るほどだろう。

 剣先から伝わる衝撃が確かにあった。


 チーターが僅かに呼吸を整えるために攻撃が止んだその瞬間にスキルを発動させる。

 "正気落とし"!

 私が(エフェクト)を纏い達人のように洗礼された足運びで一瞬でチーターの側面へ移動し……


 バーン!!

 剣の面部分を振り返ったチーターの頭に叩きつけたら凄い音がした。

 チーターは全身がビリビリと震えた総毛立ったあと。


 パタリと倒れた。

 おお。

 今まであまりうまく決まっていなかった"正気落とし"がちゃんと入った!


 しかもかなり強そうだ!

 目の前のチーターは気絶し戦闘不能。

 あと4体だ。

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