二百五十八A生目 深斬
人形を上空からノーツがミサイルで狙い撃つ。
「ウワッ!?」
人形たちがミサイルを慌てて避ける。
やはり学習されていたらしい。
直撃しなければ別のところで爆発してしまう。
人形たちも空を飛んでいるからね。
「ライトウェポン展開」
「どんどん撃ちましょう!」
光で武器が生まれ形作られる。
それは回転する砲塔。
グルグルと回りだしたそれは凄まじい勢いで弾丸を吐き出し始めた!
弾丸は凄まじい勢いで放たれしかも左腕に大盾ゼロエネミー。
鉄壁の布陣で細かくジャンプし移動しながら人形を攻撃しまくる。
人形たちは射撃音の向こうで「グワー」とか「反撃!」とか叫んでいる。
実際小さなミサイルみたいなのは飛んでくるがノーツに対して小さすぎる。
余裕で盾受けしていた。
「キ、効いてナイ……!」
「撃ち続けロ! 囲むゾ!」
人形が1体回り込んでくる。
ローズクオーツが操作してギュッとブースターをふかし加速する。
しかしてわずかに遅れつつもひっついてきた。
「アイテテテ」
当然背後の相手からは射線が通る。
チマチマとミサイルを当てられていた。
メチャクチャダメージが入るわけじゃないが当てられていては当然ノーツが傷つく。
「武装変更を推薦」
「うん、ええっと……こう!」
ノーツに言われ右手武器を宙に投げる。
するとこの現実になかったかのように光となって消えた。
かわりで新たに現れたのはやたらと長い武器。
見た目としてはまるで槍のようだが銃だ。
もちろん……普通の銃ではないが。
「いっけぇ!」
ローズクオーツが操作しノーツが発射する。
体を捻りながら回転するように。
射出された武器は……長い。
ロープがついておりノーツの回転に合わせてロープは円を描く。
「ハ!? ウワッ!?」
そしてロープは敵へ触れるとべったりとひっつく。
べったりとくっついたふたりはそのままそこらへんの岩へと叩きつけられる!
「「グッ!?」」
「近接用戦闘銃グラップリングフック」
ノーツがもう一度銃を引く。
するとスルスルとロープが引っ張られていく。
ノーツのサイズで勘違いしそうだが城の吊り橋でも支えてそうな太さだ。
「さあ、来て!」
引っ張られるロープに人形たちがひっついてくる。
ノーツはゼロエネミーを構える。
大盾から極大剣へ変形。
「斬撃」
「グワアッ!?」
ノーツがゼロエネミーに大量の光をまとわせる。
そのまま一気に振り下ろした!
人形がひっついたままメチャクチャな力で縦にぶったぎる。
ロープから引き剥がされ思いっきりふきとんだ!
返し刀でもう1体も切って吹き飛ばし岩に叩きつける。
「チャンスです!」
「エネルギー充填、解放」
ノーツが右腕に持っていたグラップリングフック銃を消す。
代わりに両手で極大剣を持つ。
ノーツの中から駆動音が高鳴りした。
刃はやはり振るうものがいて初めて刃たりうるのだ。
意思と握力と技術とありったけの行動力エネルギーを込め刃は一回り大きく纏う。
ノーツの足裏がローラー回転し背後へブーストがかかる。
重量を増すためあえて上方へもブーストが吹かれ。
向きを少し変えてふたりが一直線になるよう調整。
大上段の構えのまま突っ込む。
「ウ、ウワァアアッ!」
「アンチマテリアルブレード」
極大剣ゼロエネミーをまっすぐ振り下ろす。
それは圧倒的な力。
息をのむほどの暴。
一瞬にして地面を割ってほとばしる光がそのまま遠くまで駆ける。
そして剣が当たった人形も……少し遠かった人形も。
「ハ?」
圧し斬られた。
美しい真っ二つなんて言葉はない。
どれだけ効率よく相手を完全に破壊できるか。
それを考えた刃は人形も岩も道中の地面さえを完全に砕き斬った!
ノーツの中の駆動音が収まる。
同時に構えを解いて……
「戦闘終了。戦闘評価開始」
「どれどれ、どうなりました……うわっ!」
クオーツが光の収まったそこに目を向けると。
まるでそこが地割れでも起きたかのようにまっすぐとどこまでも。
無残に斬り飛ばされたあとが残った。
「これは……見なかったことにしません?」
「戦闘評価終了。結果を本部へ送信済み」
「遅かったーーー!!」
その見事なまでの斬り跡が後々観光名所になるのは少し後の話……
ノーツたちはその後もガンガン軍隊を蹴散らして行っている。
こちらの勝負は大局がやっと終わりが見えてきた。
それは大勢の考えとは真逆にアノニマルースの圧勝という形で。
一方そのころ。
これは後で知った物語。
表で語られぬ神話。
世界のどこでも起こっていた……月の神襲撃話だ。