表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
235/2401

二百二十九生目 下設

 私たちは冒険者ギルドのはずがなぜか宿屋に通された。

 中に入れば恰幅の良い女性が受付をやっている。


「いらっしゃい……ってバローかい。ということはお連れさんは……」

「そう、ギルドの」

「なるほど、みなさんもご迷惑をおかけしますねぇ」

「いえいえ」


 受付の女性がこちらにお辞儀してそう言ったので社交辞令のような感じで返す。

 今のやりとりを見るに……バローくんの母親なのだろうか。

 バローくんについて行き宿屋の二階へ上がる。


 そこの1つの部屋にだけ掛け札がしてあった。


[民間冒険者ギルド クーランの銀猫]


 バローくんが扉を開きその後に続く。

 中には2人先にいた。

 宿屋の1室だがベッドはなく代わりにカウンターや机それに書類がある。


「おかえりバロー」

「お、おかえり! お連れさんは?」

「ただいま! ええとこちらは……」

「……?」


 中にいた1人と出会った。

 赤く渋い服装のおばあさんだが……

 どこかで出会ったような。


「……ああ、あの時ワタシの後ろにいた!」

「ああ、あの時の!」


 そうか、どこかで見たと思ったらこの街に入る時に並んでいたちょうど1つ前のニンゲンか!

 見覚えがあるわけだ。


「あのときゃ驚いたよ。スッと行って誰にも気づかれずに酔っ払いの酒気を払っちまってそのまま戻って来るなんてね」

「え、あれ気付いてたんですか!?」

「まあワタシゃ声をかけられたからね。それで見逃すほどまだモウロクはしとらんさ」


 確かにあの時は『すいません』と声をかけた。

 だからといってあの後の動きを容易に読ませるつもりは無かったんだけれど……

 見た目普通のニンゲンのようだが実力者でもあるらしい。


「ワタシゃベニ。バローの祖母じゃ。それでそっちが……」

「タイガだ! 既に知り合いじゃないのは俺だけのようだな」


[アマラギ Lv.20]

[アマラギ 個体名:ベニ

 深い海の底でも生活が出来る人間のトランス体。陸の上ではあまり活動的ではないが水を得れば全ての相手は獲物となる]

[ニイフー Lv.13]

[ニイフー 個体名:タイガ

 人虎に変化して猛攻する人間からのトランス体。銀色の体毛は強者の証]


 タイガと名乗った人物も見た目はタダのニンゲン……いや、銀色の太い尾が伸びていた。

 見た目は老いて背が曲がるおばあさんと中肉中背のお兄さん。

 彼らが戦う時はどんな姿になるのだろう。


「俺はここでギルドマスターをやっている! 宜しくお願いする」

「ローズオーラです」

「カムラです」


 ギルドマスターさんだった。

 なるほどどうりで。

 銀猫というのはタイガの事を指していたか。


「ところでだ、バローが連れてきたってことは……」

「うん、新しい冒険者さんみたいだからうちにどうかなと思って」

「見学に来ました」

「こちらがギルドカードです」


 タイガにバローくんが答えてカムラさんと共にギルドカードを提出した。

 タイガが受け取って何やら手元の資料に書き込み返される。


「よし、現在見学用に仮登録をした。ようこそクーランの銀猫へ」

「よろしくお願いします」


 ふたりで頭を下げる。

 座るように促され適当な席に着席する。


「ええとだな、バロー、俺らの事はどれだけ話したんだ?」

「いいえ、人手不足としか」

「そっか……ええとだな、俺たちのギルドはここにいるメンバー以外にむしろ本隊とも言えるやつらがいてだな。だがそいつらは今ちょうど出払っていて……普段はその間は依頼をギルドとしては受注しないようにしているんだ」

「僕が少しずつ国営ギルドの依頼をこなす程度ですね」


 タイガが説明しバローくんが補足する。

 さらに話は続く。


「だが、なぜか知らないがそういう時に限って緊急の依頼がうちに回されたんだ。まあお上のやることなんざいつもこんな感じだけどさ」

「国営ギルドは偏らないように弱小ギルドにも仕事を直接割り振ってくれるんです。ただ、どうしても弱いところにはムチャな依頼も来やすくって……」


 なるほど下設けシステムか。

 世知辛さがいやでも理解できそうだ。


「そこで、まあ仕方ないからバローに行ってもらおうとしたんだが……」

「ここからはワタシゃ説明するよ。孫の顔を見に遊びに来たら身の丈に合わない依頼を単独で行くそうじゃあないか。そこで上司に直接抗議しに来ていたわけだよ」

「そうは言ってもですね、採取依頼でそこまで難しくないし彼の実力的には問題ないと判断して……」

「少なくとも単独では認めん!」


 なるほど。

 そこでせめて数合わせでも欲しいというわけか。


「僕は、後は依頼の数をこなせば十分上を目指せるぐらいの自信はあるのですが……なかなか許してくれなくって」

「じゃあ私達と行きましょうか」

「それは話が早い! ごめんね巻き込む形になっちゃって」


 "率いる者"で"以心伝心"をカムラさんに借りられた。

 念話だろう。


『よいのですか? 本来の仕事とは離れますが』

『まあほどほどにはしますがお金は欲しいし仮の寝床も確保できそうですから』

『わかりました。ならこういう機会にたっぷり恩を売り込みましょう』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ