二百五十一A生目 神速
スーが拳から雷撃を放つ。
メアリーは近寄ってきたイタ吉対策に電磁バリア。
拳から放たれた雷はドラーグに向かい……急に方向を捻じ曲げる。
というか雷撃なので鋭角に曲がった。
電磁バリアもだ。
バリアとして張られるはずが急にねじれる。
メアリーがおかしいとすぐ感じたのか射撃。
「雷撃ノ力ガ!」
「身ニ纏った分ハ平気ヨ、スー!」
「電磁バリアヲ放って牽制シタイガ、シカタナイ……!」
メアリーが撃ったエネルギー砲にはたくさんの電撃が詰め込まれていた。
それらが全部インカ兄さんに持っていかれてしかも無効化した。
見ていたふたりは方針変更した。
インカ兄さんはどっしりと大地に身構えている。
アースの役割というやつか。
普通なら感電するんだけれど避雷針として全部集めて全て地面に流してしまうらしい。
それがで出来るのは黄色く黄金のオーラを放っているおかげ。
土に愛されし土の加護を引き出して使っているからだ。
いちいち剣ゼロエネミー圏内に拾いにいくのは大変だったからよかった。
雷撃はインカ兄さんに任せよう。
「よし、いまだ、攻めるぞ!!」
アヅキも全身から風をまとい力とする。
雷撃は相手が使うってことでやめたんだろう。
おそらく対策はされている。
兄インカは地上にいなくてはいけないというしばりはあるものの全身を使って体から生えている槍針を投げつける。
轟音と共にメアリーやスーを正確に狙い落していた。
ギリギリで自らにまとうタイプの電磁バリアをはり無効化するが……
そのすきをほかの4名+コロロと剣ゼロエネミーが逃さない。
スーはアヅキの風拳に自身の大きな拳を合わせて吹き飛ばす。
雷神の曲刀で切り裂かれつつも素早く拳を叩きつける。
雷神は曲刀で斬り流しながらスーの拳をバックして避ける。
雷神の鼻から血が流れた。
拳を完全にいなし流せなかったのだ。
メアリーがアヅキを狙い撃ちしてアヅキは翼を広げ遠く離れる。
さらにチャージ。
そこに小イタ吉が迫るもののビームを横の穴から撃って牽制。
慌てて避けて避けれるのがイタ吉クオリティ。
小イタ吉はお返しに滑り込むように駆けていく。
空中駆けってことはそういうスキルだろうね。
小イタ吉はさらに来るビームをかいくぐりスライディングもして接近。
いいなあのスキル……
蹴りこむとメアリーが空中で軽く浮いた。
地面から水平を保っていたのに傾きふわっとなったのだ。
「うひゃあ!」
そのまま小イタ吉は落ちる。
しかも流れ弾ビームに当たっていた。
どうやらあれがスキル的限界だったらしい。
だが問題ない。
あとは大イタ吉がやってくれる!
イタ吉の攻撃能力らしく大イタ吉が急速に加速してメアリーの前へ。
「ンニャァアア!!」
「んなろぉ!!」
空中で体勢を大幅に崩しながらもメアリーは砲台を大イタ吉の方へ振る!
鈍器としての利用だ。
イタ吉も足から汗散らしながら必死に身を捻る。
イタチ特有の長い胴がうねり砲台を幅跳びの要領で避けた!
「エエッ」
そのまま大イタ吉は体を回して尾刃を振り回す。
嵐のような連撃で切り上げしたあとに。
「とおらっ!」
最後に蹴り上げてメアリーが跳ねる。
それを最後に大イタ吉が落ちた。
「パース!」
ドラーグが遠くから高速でやってくる。
はっやい。
どうやらかなり助走つけてきたらしい。
全身が強い光に覆われる。
輝きは膜のように覆い後ろへと光の軌跡を残していく。
あれはもうマッハなんて余裕で超えてるね。
「いけ、パパ!」
「でいりゃあ!!」
ドラーグはすさまじい速度でメアリーを横から殴りつける。
というかタックルだ。
あまりの勢いにメアリーがドラーグの光に張り付いている。
感電すらもはや直接触っておらず関係ない。
ビリビリバリバリしながらすさまじいエネルギーの塊が空を瞬時に駆ける。
それは角度を変えて……スーの方に。
スーもあちこちからくるみんなを殴り倒しメアリーを守っていたけれどこれは規格外。
ほんの寸瞬。
「ギャァ!」
「エッ」
「えいやっ!」
ドラーグが突撃して地面まで。
スーごと巻き込んですさまじい爆発が起こった!
いやあ大技すぎるっ!
すさまじい爆風の中ドラーグが飛び上がる。
渦巻くエネルギーの奔流を見て残身。
ちなみにみんなは念話で知らされていたらしくすれすれで離脱している。
「うう、結構疲れたけれど、まだ駄目ですか……」
「パパ回復~」
「くっ、回復足りっかな……」
コロロがドラーグに回復溶液をかけていく。
生命力も行動力も結構使っている戦闘だ。
長くではなく素早く倒そうとしているので余計に。
遠くの背後でもドラーグ本体が大型人形たちを吹き飛ばしている。
その身に大砲をうけながらも悠然と殴りかかっていた。