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二百四十五A生目 竜息

 ドラーグはとんでもなく大きい。

 ドラーグに乗って移動するみんなはアッというまにアノニマルースを抜ける。


「みんなとは分裂体で戦います! そっちはクワァコロロとセットで戦い、大型や軍勢は本体で薙ぎ払って時間を稼ぎます。それが今回の作戦です!」


「ドラーグに負担の大きい作戦だが大丈夫なのか?」


「いえ、本体でやるのは引っ掻き回すだけです! たいして負担はかからないですよ!」


「ならいい。誰も負けるわけにはいかないからな。ローズ様が悲しむ」


 私というか剣ゼロエネミーもこのメンツに同行している。

 ここの戦いは負けられない。

 壁越えをされたらアノニマルースは大打撃を受ける。


 今正面扉のか細い道しか進行を許してないからなんとかなってるのだ。

 頑丈とはいえ街の壁も鉄壁ではない。

 ガンガン撃ち込まれれば修復が追いつかなくなる。


 その敵の隊が見えた。

 巨大な砲門に魔法陣が刻まれていてそこから定期的に射撃している。

 周囲の軍はそれを守るためにいるわけだ。


「蹴散らします! 飛んでください!」


「いけ、パパ」


 ドラーグが叫ぶように息を吐く。

 するとそれが光に代わり同時に闇が生まれていく。

 強烈な輝きは濃い闇を生み。


 濃厚な闇はひときわ光を輝かせる。

 矛盾したエネルギー2つは互いにまじろうとして反発し膨大なエネルギーが目に見える。

 それらを敵軍の真上から吹きかけてやるわけだ。


「て、敵襲!!」


「ドラゴンだ! ドラゴンブレスだぁ!!」


「でっっか……」


「ぎゃあああ!!」


 兵器を持った軍の転進はそう気軽に行えない。

 来たからといってわあっと散ることも出来ず。

 指示があるからといって迎え撃ちの準備で大盾構えるのも難しい。


 矢鉄砲なら覚悟していただろうがこんな直接的な砲撃は覚悟していなかっただろう。

 敵の結界が焼き尽くされ今度は直接降り掛かっていく。

 とにかく勢いが凄まじく上から見ている分にも恐ろしい轟音が響く。


 何より敵たちが吹き飛ばされていくので効果はまさしく出ているだろう。

 同時刻に飛び降りる。

 アヅキみたいな飛べる種族はともかく他はカッコつけながらの自由落下だ。


 各自飛行能力そのものはあるだろうけれど……


「クワァコロロ!」


「ん!」


 今回は使わない。

 ドラーグが分かれた2%くらいの姿に乗ったコロロが背中の槍を展開する。

 2%でも大きいドラーグの背中から攻撃が届く特注品。


 そして……投げる!

 力強い投擲で槍はすぐ地面へと届く。

 すると地面が一気にグズグズと溶け出す。


 みんながそこに着地すると地面がフカフカと着地できた。

 毒で地面を一時的に腐らせて着地衝撃を和らげる……

 という能力らしい。どんな能力だ。


 多分イメージは森の腐葉なんだろう。

 魔法かスキルかは微妙なラインだけれどスキルかなぁ。

 全員無事に着地してノータイムで突っ走る。


「……!」


「だよなぁ、すごいよなコレ」


「ん、でも敵、もう来ている」


「向こうもはええなおい」


 イタ吉は尾に刃をもつ1匹と小さな2匹がセットのイタチ魔物。

 そして何より高速で動ける。

 全力ならばもう他者を置いていくほどの。


 早速小さい1体が4足で駆けていく。

 あっという間に姿が見えなくなった。

 荒野の迷宮って本当に地形が入り組んでいるから開いたエリア以外の視線はほとんど通らない。


「んー、なるほどなあ」


「どうだ、イタ吉。様子は?」


「もーう来てる。動きはええなあ、あとぴったり一緒にだから分断はキツイ」


「分断は予備作戦だったから問題はない。それにしてもそうか……やはり向こうも待っていた可能性が高いな」


 アヅキはこういう頭を回すことはとてもうまい。

 結果はどうあれ常に考えるのを止めていない。

 冷静なのも私がどうにかなる可能性を常に視野へ入れて動いていたからに違いない。


 ドラーグがはるか遠くへ飛んでいく。

 追いかけるように魔法やスキルが飛び交うが全然届いていないか通り過ぎている。

 わかる。大きすぎる上空のものって距離感わかんなくなるよね。


「……」


「……ん」


「……」


 会話成立してるのかわからない組。

 でもまあ何か通じ合って目を合わせている。

 こっちのドラーグがもじもじとしているのがいたたまれないくらいか。


「あ、やっべ」


「ど、どうしました?」


「見つかった……来るぞ!」


「ぬああああーーーっ」

 

 遠くからイタ吉の悲鳴が聞こえこっちに吹き飛んでくる。

 ……イタ吉は3体全員死ななきゃ勝手に復活するのだ。

 斥候として便利だけれどこう負担は大きい気もする。


 小イタ吉が近くまで吹き飛んできて「ぐえ」と言う。

 どうやらまだ死んではいなかったらしい。

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