二百三十八A生目 煙幕
剣ゼロエネミーでいやがらせを仕掛けていく。
それは超回転しつつ接近戦をしかけるというもの。
ガンガンいくよ!
「面妖ナ剣ダ」
超高速でしかけていく。
連続攻撃の要は相手の対処を誤らせること。
あらゆる方面あらゆる向きから素早く攻めていく。
もちろん大太刀で振ってくるのでそれは高速で飛ぶことにより回避。
衝撃波も結局当たらなければ平気だ。
全方位に吹き飛ばす力ではないからね。
攻撃が来る位置がわかっているから相手は大太刀の振りを置きに来る。
だからこそハチャメチャに動いて未来をメチャクチャにする。
未来が見えたところであらゆる角度あらゆる方向から連続して回転する剣がメチャクチャに飛び回るのを防ぐ手立てはない。
もちろん相手の大太刀は感知して避けるから未来はすぐに変わる。
さあ対処は追いつくかな!?
これ味方がいるとやれない荒業だ。
ふたりはこちらの思惑を読み取り攻めへ転じるためいろんな薬品を取り出し体を癒やして強くする。
補助魔法も描け直してね。
10秒もないわずかな時間でもしっかりと時間稼ぎ。
ただ本当にロクに当たらないな!
当たり前だが叩きとばすとか直角に斬るのは困難。
数で押していくだけで9割型大太刀や鎧で滑らされていく。
だが無視はできない。
蚊柱がぶつかってきて無視できるヤツがいないのと同じだ。
しかもこの蚊柱は確かに刃を持つ。
「喝ッ!!」
あのタメだ!
また空にかちあげられてしまう!
ギリギリまで引き付けつつ緩急つけて下へ……
あっ。
あまりに早い上からの叩き付け。
剣ゼロエネミーが打撃攻撃の武技を受けて地面へと叩き付けられる!
うそん。
未来視関係なく起動を読まれた。
おそらくさっき見せたカチアゲからの動きを予測して動く……と予測された。
これだ。シンプルに剣がうまい。
シンプルに戦闘能力のうち戦闘のカンがするどい。
それを地面に埋まりながら思う。
いや埋まってるの自体は剣ゼロエネミーだけれど。
「ああっ、また埋まってしまった!」
「だが準備は終わった。喰らえ」
クライブはソレを無遠慮に地面へ叩きつける。
途端に濃密な煙が場を包む。
煙の魔法玉だ。
周囲が一気に煙に包まれる。
視界がゼロだ。
確かにこれは……
「未来視潰しカ」
見えないならばもはや関係ないというもの。
しかも魔法だから味方しているふたり同士は効かずよく見えているだろう。
とはいえ……
「ダガ未来ソノモノハ見えてイルゾ」
十三改式が構える。
来る攻撃に備えているのだろう。
このままでは何も通らないが……?
「ム?」
しかしここで疑問符を浮かべる。
十三改式がなぜか動きを止め……
煙の中にきらめく影と共に十三改式が空を飛ぶ。
あまりに長い光が飛ぶ。
それはまるで煙ごと全て切り裂くような。
大剣による斬撃だ。
ただ明らかに長い。
というかまるで全域を覆うかのような広さ。
範囲超拡大斬撃。
さらに煙のなか大剣は振られる。
十三改式が受けようとして避けるのはおそらく未来を見ているから。
あまりに重い1撃が自身を吹き飛ばすさまを。
しかも不明瞭。
こんなに煙だらけでは圧倒的後手に回るしかない。
結果どうするかというと十三改式は一気にその場を離脱した。
別に十三改式は足が遅いわけではない。
ゆえに1度駆ければ速い。
剣ゼロエネミーがやっと抜けたころには広い煙の範囲から逃れる十三改式も見えれた。
その瞬間に十三改式は背後からぶん殴られる。
グレンくんの刀が武技の輝きを持っていた。
「お返しだ!」
なるほど煙の外のことに関しては認知不可。
煙内側を警戒するあまり飛び出す瞬間は背中を外にしていた。
実際境目は狙われると思っていたのだろう。
グレンくんはそれ読みで最初から煙の外にいたのだが。
そうして再び煙幕内へと蹴り戻される。
刀を叩きつけていたけど。
それに位置の移動だ。
見えているところでない別の範囲での戦闘。
それは10秒後の予知に影響を及ぼす。
障害物や振り返った先なんて最悪だろう。
「……」
十三改式も落ち着いている。
不意はうたれたが一撃だと。
実際大剣による超長距離斬りのほうがかなり危ない。
クライブはいまだ煙の中から十三改式を狙って振り下ろしている。
また受けず距離を取って避ける。
地面をたたいた余波が広がって破砕していくが十三改式の範囲外。
そして十三改式は攻めに出た。
未来視で飛んでくる方向を見定め……
一気に駆けた!
剣ゼロエネミーがなかなか戦闘に追いつけない。
一気に十三改式はクライブのいるはずのところへ肉薄する!