二百二十八A生目 進化
エネルギーがあふれるアカネ。
殴りかかった敵結界すらも弾き。
全てを押しのけていく……!
「う、うおおっ!?」
ダカシもはねのけられていく。
このエネルギーの反応は知っている。
「進化、完了」
光が収まった中にいたアカネの姿はひときわ変わっていた。
アカネの素の姿は少女だ。
しかして今はまるで大人のようになっている。
髪をなびかせ目をエネルギーが輝かせて。
そしてアカネが纏っていた服らしきパーツも変化していた。
……アカネって戦闘時はすぐ脱げちゃうからアカネ自身の体で繊維を束ね縫って作った服なんだよね。
そしてまるで今は美しい鎧のようになっている。
紛れもない戦うための姿。
進化が今行われた!
「その姿……!」
「ローズ、気軽に進化使っていたけれど、やっぱりだいぶおかしいと思う。気が狂うかと思ったくらい大変だった」
「まあ、ローズはなあ……おかしいよなぁ……」
ちょっとまってふたりで何を意気投合しているの!?
「さあ、一気に畳み掛けるよ!」
「ああ、稼いだ時間分働いてくれ」
アカネとダカシはともに並び立つ。
巨大なる竜とウォイズの前に。
「フ厶?」
ウォイズは様子を見ている。
やはり戦闘気質ではなく研究気質らしい。
攻撃が弾かれたことに対して見分を行っている。
明らかにそれどころではないがそういう命を削り合う感覚が薄いのだろう。
絶好のチャンスだ。
「道を作る。はあぁ!!」
アカネが気合を込めると一気に全身が膨れ上がる。
鎧ごと大きくなっていて身を守りながらも強く巨大化し。
その姿は強く異質なるものとなる。
ニンゲンの姿を早々に失い全身を4足に変えていく。
尾を伸ばし全身から触手のようなものを伸ばし。
体中が赤い毛並みに覆われる。
巨大な展開なのに僅かな時間で行われたそれは最後に翼を広く展開して完成する。
『これは、私の知る最も強いヤツの姿』
口が変形したため念話が響く。
というか似たような姿私知っているんだけど。
大きさは違うけど知っているんだけど!
「それってローズ!?」
『私流、ローズオーラフォーム!』
私だぁー!!
色が違ったりイバラが生々しい触手だったりサイズが違ったり。
翼はあんなものではないが大枠私だ。
顔もアカネに寄っている。
さすがに顔も私だったら恥ずかしくって死んでいたかもしれない。
ソレだったら帰ってくれるんだけどな……
『ローズの前ではちょっと使えないけれど、ね!』
「姿形変わったトテ、強さハドウカネ?」
そして二大巨頭が取っ組み合う。
バケモンにぶつけられしバケモン。
もはや取っ組み合うだけであたりに衝撃波が舞い散る。
そしてアカネの触手が鋭くうねる。
ガンガンと結界竜を叩き出し次々と腕に絡みついた。
『中身がスカスカで、軽いぃ!』
そうしてアカネは無理やり拘束にかかる。
パワー系拘束だ。
触手の数を増やしていく。
それだけじゃない。
尾も触手のように伸びて鋭く結界竜の腹に刺す。
「ナント」
『ふっとべえぇ!!』
触手から莫大なエネルギーが結界内に叩き込まれる。
一瞬で膨れ上がり……爆散した!
「ダガ、コレハ防げるカネ?」
「行け! ダカシ!!」
「う、うおぉぉぉ!!」
アカネが猛吹雪に襲われる。
そう。結界竜はあくまでウォイズのサブパーツ。
腹を破られようが魔法は平然と放たれる。
吹雪をガードした触手から片っ端に凍てつきだしている。
長くはもたない。
ダカシは千載一遇の好機に敵の腹へともぐりこんだ。
ゼロエネミーも刺突剣になり随伴する。
やることは同じ。目の前に迫ったウォイズ自身の結界へと。
「ぶっ刺す!!」
「肝心ノ戦力ガボロボロノ君カネ?」
ダカシが踏み込み。
ライオンのような牙を剥きだしに。
空中とて力強く両手で剣を突き立てる。
刺突剣ゼロエネミーも同じだ。
光を散らしながら剣先が沈んでいく。
まだだ。まだ浅い。そして特別硬い。
「うおおおぉぉぉ!! ラバァーーー!!」
だからダカシもすべて切る。
切れる札を全て文字通り完全に。
ラバーの名と共に目に見えるほどの圧倒的な神力が展開していく。
概念が。現象が。ダカシを覆っていく。
世界がダカシを中心に歪んでいく。
そして気づけばダカシがふたりになった。
「コレハ?」
「「増えよ、惑え」」
ふたりのダカシは2つの剣で結界を無理やりこじ開けていく。
次の時には4人になっていた。
「マズイナ」
「「産めよ、揺らせ」」
結界の一点に剣がどんどん刺していく。
……さらに4つ増えた。
ダカシが8人も身を寄せ合っている。
全員偽物じゃない……!?
全員ホンモノ!? どういうこと!?
「「腹を貫け」」