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二百十七A生目 一閃

「はあっ!!」


 エポニーの直接の考えはわからない。

 だからエポニー側の思考は推測だが……

 空からの切り下ろしを受けたときおそらくエポニーはバカなと思っただろう。


 エポニーの頑強な頭に剣が入る。

 痛快劇のように真っ二つ……なんてことは起きなかった。

 確かにすさまじい強打だがエポニーの頑強にされた装甲木材におおきな傷は入らなかった。


 突如エポニーの剣を受けた部位それぞれが輝くまでは。


「五光 一閃」


 効果は劇的だった。

 虹のように……むしろまじりあい無色の純粋な光のような輝きを見せたあと。

 すさまじい音と勢いでエポニーが吹き飛ばされた!


「ナ……ニ……!?」


「飛び込んでくるタイミングそのものは変えられないと考えて、後は殺気の感じる方向に振りました。集中状態は疲れますけれど、なんども刃を交わした相手の殺気なら、ワタクシでも読めます」


 言ってることは簡単かもしれないがとんでもない賭けだ。

 剣域を広げ圏内の相手は斬れるよう集中していたとは言えそれだけだと攻撃に合わせてしまう。

 だから感じれるか絶対の確信がない殺気に攻撃を合わせたというのか。


 そして実体が出る寸前に斬りに入った。

 まだ相手が攻撃に入る前から。

 ただそれはアール・グレイの剣としては軽く見えたからエポニーも甘んじて受けたようにも見える。


 反撃を突けば殺れる。

 そのスキを何の保証もなしについていた。

 結果軽いはずの剣は連続斬りの最後に武技としてとんでもない威力を発揮したわけだが。


 エポニーは……言うまでもなくスクラップとなっていた。

 それはまるであまりに巨大な神の竜が渾身の力で殴りつけたかのように。


「はぁ……相性が……よかった……」


 そうしてアール・グレイは剣フィランギをしまおうとして……取りこぼす。

 そのまま膝をついて建物を壁にして座り込んだ。

 アール・グレイの手はがくがくと震えていて限界だったのを示している。


「間違いなく、格上だった……人間が、少なくともワタクシが挑んではいけないような相手……恐ろしかった」


 もはや誰かに気遣える余裕などなくなっていた。

 アール・グレイ単独で挑むハメになっていたが周囲の音を聞くと今でも乱戦している音が響く。

 今ここが戦場の隙間になっているのは偶然……ではない。


 アール・グレイたち大河王国の兵たちが必死に戦い抜いているからだ。

 それでもいまだ勝利には遠い。

 だけれども今なんとか1つの勝ちを得た今戦士に……わずかな安らぎの時を。









 私というか剣ゼロエネミーとアール・グレイは大河王国の兵により回収された。

 そして拠点にはイタ吉もそこにいた。


「お、無事だったか!」


「それはこちらのセリフですよ……無事物資運搬できたようで何よりです。ワタクシはちょっと、休みます……」


「ほんと、あんがとな! ゼロエネミーも持ってきてくれたみたいだし、無事で何より! 生きて帰れたなら十分さ!」


 ふたりは短く言葉を交わし各々の仕事に戻っていく。

 アール・グレイはこの後しばらく治療に専念だろう。

 イタ吉は次の荷物を受け取って駆けていく。


 後でわかったことだがこの戦いの後アノニマルース内で突発的襲撃頻度が下がってむしろこっち側が奇襲することも増えたのだとか。

 潜伏せし戦闘長撃破は戦場の渦を大きく変化させていく……





「はっはっは!  やれ! オレたちの邪魔をする奴は全部食いちぎれ!!」


「……あんたのとこの王様、なんであんなになってんだ……?」


「割とアレが素ですよ」


「好戦的だなあ」


 ジャグナーとひとりの女性が遠巻きに見上げている。

 そこには戦術をコントロールし様々な効果を付与するためにある戦争の戦術塔。

 上から拡声魔法で叫んでいるのは大河王国の現王。


 そして女性はその王の宰相ともいう存在だった。


「とはいえ、必要にかられてああしている部分はあります」


「必要?」


「アノニマルースの皆様が去られた後、国内は大きな変革にともなう大量のゴタゴタが起きました。その忙しいさなか、王はわざわざ時間をあけて『例の彼』に会いに行っていました。必要な事を学んでくる来ていたそうです。詳細は王にしか伝えられていませんが、立ち振る舞いや行いによる『彼の者』の力の生かし方だとか」


「ああ、報告は受けていたな。『彼の者』ね……」


 ふたりは会話が通じないので板書きしている。

 宰相が当然のように皇国語を操れるのはさすがだった。


 彼の者……権力の神リュウだろう。

 私は仕事を受けて解決に乗り出した時にあったことがある。

 神同士のチャットみたいなのもなんどか見た。

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