二百八A生目 球体
バルメラと剣ゼロエネミー。
それが追いかけっこしているがバルメラは狙いたがわずローズクオーツを狙い撃っている。
普通の生物ならありえないが機械人形だからこそ出来る芸当だ。
とはいえどうしても動きの限界的に狙いがブレてはくるが。
「ここは……耐える!」
ローズクオーツがあえて盾系を解除。
高速で動き回るために背後から翼状のキラキラを噴出。
空中には飛び出さずとにかく揺れるように動いて弾丸とミサイルをしのいでいく。
弾丸の打撃そのものは大したことはない。
光をそこまで込められないからだ。
だが発射数がとんでもないからいずれは蜂の巣になる。
ゆえに被弾を少しでもおさえつつ攻め方を変えるのは大事だった。
もうバルメラは絶対に距離を縮めさせてこない。
剣ゼロエネミーとたまに切りあうが大した動きの止まりもなかった。
だからローズクオーツはにやりと笑った。
そこに勝機があると信じて。
ローズクオーツは弾丸の嵐にいる中でただ逃げ回るだけじゃない。
ローズクオーツのトランスした姿は純粋な強さもさることながら……
1番はやはり自身の中に様々な隠し事ができるということだ。
それがどれだけ時間がかかってもじっさいのところ開けてみるまでまったくわからないように出来る。
魔法の準備隠蔽に似ているがこっちはもっと悪質なことができる。
それは……錬金術。
「形態変化・投石器……改」
ドレスの裏側がどうなっているか。
それは見せられるまでわからない。
技を叫ぶときにはもう手遅れ。
ふいにミサイルをよけるように下がって地面にミサイルが当たる。
ふきあがあった土煙は多くすべてを覆い隠し……ふいに影が踊る。
ドレス状だった部分が大きく翻り変化し形をかえて。
あらわになったそこは本来の石の肉体などなかった。
代わりにあったのはあまりに巨大な投石用の器具。
豪華にもテテフフライトをベースにそれが作られていた。
「……ハ?」
だからこそあまりの変化にバルメラも思わず固まった。
ドレス部分も巻き込み大真面目に作られたスリングショット。
何も括り付けられているようには見えない。
だからこそバルメラはおぞけだつような顔をしたのだろう。
おそらくは……戦闘長としてのカンで。
経験からくるもので。
「オチロオオオ!!」
今度こそと全力で放たれた弾丸とミサイル。
しかしゆっくりと全身がスリングショットと化した自身の肉体を混ぜた素材を苦にせず伸ばす。
一瞬でタメ状態に入ったが中身はないまま。
本来は。
「こんなところで躓くわけにはいかないので」
このモードの弱点それは詰められる事だった。
相手が絶対距離を取るのなら必殺の型を使える。
そうローズクオーツのは判断したのだろう。
「スターーシューーーット!!」
スリングショットが何かを放つ・
それは敵の弾丸ミサイルすべてをわずかな時間で蹴散らし。
「オブッ!?」
バルメラの肉体があらぬ方向に突然曲がって。
その後に衝撃と轟音が鳴り響いた。
うっわあ初めてみたけどえっぐいや……
あとで知ったけれど錬金術で作り出した見えないエネルギーを持たせた超重い金属を射出していたらしい。
えげつない。光が見えないとは。
しかも戻ってくるおまけつき。
たくさんの行動力がエネルギーとして込められた大質量の一撃はやはり強い。
バルメラは変な叫びを上げながら空彼方へと吹き飛んだ!!
「まだローズオーラ様は返してもらってないけれど、とりあえず」
ローズクオーツは元の形に再錬金する。
さっきは時間かかったが戻すのはすぐだった。
そして少なくない傷をたたえながらもその顔に笑顔。
「勝った!」
スカイナイトは無事帰還していた。
まあユウレンはキレていたけれど。
キレるだけの損害ではあるので仕方ない。
ローズクオーツはユウレンに怒られつつも他の面々に褒められた。
いわく一部の部隊が明らかに動きに支障が出ているらしい。
今のところ他の人形たちがにらみをきかしているけれど……
戦闘長を撃破していけばやがて部隊は支えきれなくなる。
今までも人形たちを撃破した報告はあったが戦闘長は初だ。
これにてこちら側の戦い方は決まる。
戦闘長を発見し撃破。
だが当然向こうも今回の件で警戒度を引き上げたはずだ。
今回横槍がなかったのは遠隔射撃という場面プラス呪いを撒き散らして軍を乱していたから。
そしてなによりも……油断。
戦闘長が剣ゼロエネミーとローズクオーツというコンビ程度に負けるはずがないという信頼。
それが覆された今死にものぐるいで守ってくるはずだ。
戦争はここからが本番となる。