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百九十八A生目 兄妹

 正面門崩壊。

 その知らせを聞いた私は真っ先に剣ゼロエネミーへ支持を出した。

 すぐに正門前まで!


 正門近くまで飛んできてもらうとそこにはすでに土煙と大量の喧騒が。

 激しい戦闘音も聞こえる。

 いつかは突破するとは思ったけれど今か!


「くっそ。あいつら門にありったけのビームを!」


「入れ込ませるな! 全滅させて押しけるすんだ!」


 門の先を見ると地面から出入りしている大型人形の姿たちが。

 合計5体は見えた。

 全員で集中砲火を浴びせるために昨日粘っていたらしい。


 昨日1体削れたとはいえまだまだ多い……

 確かに正面が少し相手ちゃんとぶちこめれればそうなるか。


「だが破られたのが正面門で良かったぜ! あいつら苦労してる! おらっ!」


 そして話であった通り正面門が遅かれ早かれ壊されることは想定していた。

 正面門は外圧が加わった際に破損する方向で工夫がしいてある。

 さらに1つに見えて多重の門にしてあり無理やり突破しようとすれば結果的にかなり狭い範囲をグネグネ通らせる仕組みだ。


 それでも壊されたこと自体が緊急事態なので乱戦の模様なんだけれど。

 とはいえ今の開き度合いレベル1では先発部隊を完封で来ているのは事実。

 アンデッド軍もたくさんいるしこっちはこっちで強力な魔物軍や移動兵器を持ち出している。


 転移して扱える程度の量の軍隊は全然うちの本隊ではないのだ。

 もちろん交戦前できうる限りアノニマルース外にこっちの兵力を並べはしたけれどね!

 さて私というか剣ゼロエネミーも参戦だ。


 門前に来てつばぜり合いしているやつを横から攫うように。


「ぎゃっ!?」

「うわっ!? た、助かった!?」


 とにかく広範囲かつ複数名。

 巻き込むように広く斬る。

 武技のように動き大ぶりでも気にせず嵐のように突き進む!


「ぐあっ!?」

「味方の剣!?」

「くそっ、話と違う!」

「いいぞ! 押し切れ!」

「こ、こいつ! 剣の持ち主はどこだ!?」

「突貫遊撃部隊到着! 押し返すぞお前ら!」


「「おおーー!!」」


 何十体か切り伏せていたころ。

 唐突に後方……つまりアノニマルース側から怒声が上がった。

 それは戦の掛け声。


 そして声の前に呼びかけた主は私も知っていた。


 あの全身鎧のホエハリ族……シルエットだけでわかる。

 兄のインカだ!

 わーいインカ兄さん元気ー!? と声はかけられないのが残念。


「このアノニマルースに、ローズの護ったアノニマルースに、足1つ踏み込ませるな!」


「「おおーー!!」」


 彼らは互いに何言ってるかはわからない。

 なんかインカ兄の言ってることがやや聞いていて恥ずかしくなるが……

 それでも想いは1つにまとまっている。


 その姿は隊列に現れていた。

 ぐねぐねと狭い正門の穴を抜けるために1つの蛇のような陣形をとる。

 貫く1本の長くうねった槍。


「突っ込む!!」


 陣形効果がジャグナーのスキルで生まれ(エフェクト)で覆われていく。

 包まれた隊形は強力な突破能力を有する。

 私……ではなく剣ゼロエネミーのいる場所も通り抜けどんどんと一体化した隊列が突っ込んでいった。


 ちらりとインカ兄さんがこちらを見た。


 通り間際に送られた視線は何かを語るよりも強烈なメッセージだった。

 それは信頼。

 私はきっと大丈夫と。


 アノニマルースはきっと大丈夫と。

 そして任せると。

 剣ゼロエネミーに……その先の私に。


 私は兄インカを見送ってそのまま駆けるものを見届けて。

 剣ゼロエネミーが正門をくぐり抜けた。


 うわぁ……こっちからみると余計にひどい。

 壁が焦げ門は無理やり膨大な力で焼き押し込み払われている。

 まさしくここの門にドラゴンロア大砲何口か集中砲火したのと同じ被害が出ていた。


 この門もかなり頑強な作りに成っているからひしゃげている姿は想像以上に心がざわついた。

 しかし心ざわついている場合でもない。

 先に突撃したインカ兄さんたちが敵軍をどんどん喰い破って進んでいるものの……全体量は目が眩むほどだった。


 こんなにもいる、という情報は知っていたはずだ。

 しかし実際見渡す限りの敵を……しかも戦闘2日目時点でのそれを。

 アンデッドの軍勢たちすら乱戦に飲まれているその数を見たらひどく衝撃を受けた。


「これだけだぞ、押し返せ!」


「相手の攻勢止まりません! か、完全に鎧袖一触(がいしゅういっしょく)です!」


 敵のなかでも同じ種族と人形の間しか会話は繋がっていない。

 しかし今前に出て攻めている魔物敵軍たちはしょせん人形たちからしたら戦力調査のための部隊だろう。


 普通なら心折れそうな数の差を圧倒的戦力で食い破っていく英傑の姿がそこにあった。

 あれがうちの自慢である兄かつ3つ子です。


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