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百八十九A生目 空戦

 空のアノニマルース戦。

 それは地上での情報戦が握っていた。


「ちっ、門から連絡が来た! 追加部隊がくるぞ!」


「「了解!!」」


 空からまた音の壁を裂く音が追加で鳴り響く。

 通信部隊が的確に情報を空の部隊へ念話している。

 さらに護衛もいまや影の中に潜む敵にも警戒していた。


 ここは大丈夫だろう。


「あ、さっきの味方の剣! 助かったぜ!」


 護衛さんがグッとサムズアップしてくれた。

 護衛さんは……なんとニンゲンである。

 もちろん他に魔物軍や骸骨の護衛たちはいるもののニンゲンも防衛についていてくれている。


「俺たちの街、今度こそ守って見せるからよぉ、あんたも元気でな」


 護衛さんは元々難民で流れ着いた民のひとりだった。

 ……自らの住む街から逃げ出した者。

 その後ろめたさをここで追い払おうとしてくれている。


 きっとここはもう大丈夫だと剣ゼロエネミーに伝え空へと飛んでいってもらった。


 




 空戦は輝く月を背景に激戦の模様だった。

 もうあらゆることが私のミスが招いたことなので申し訳無さすぎる。

 謝ろうにも私の本体意識がないんですが。


 広い空を狭く埋め尽くす敵たち。

 こちらも負けてはいない。

 空専用にチューンされた武装とスキルが飛び交い高速戦闘を支えている。


 普通にミサイルみたいなのを撃っている魔物も多い。

 爆発系の魔法だろう。

 もちろん華麗に蹴り落とす姿も見える。


 ここから高速で地上に落ちればレベル補正があろうとどうなるか想像に難くない。

 ちなみに今1体蹴り落としたのはアヅキだ。

 黒いカラスの翼に白い帯がよく映える。


「ん? 主の剣!」


 うわびっくりした。

 空中で瞬時に距離を詰めてこないでほしい。

 アヅキの段階まで鍛えているともはや空を翼で飛ぶというよりもはや空中という場を自由自在に移動できている存在と思った方がいい。


 風()乗るのではなく風()彼を思った方向に運んでいるのだ。


「主が囚われたと聞いてこうもしてられんが、主の剣であるゼロエネミーがあるならば心強い。お前は主のために役目を果たそうとしていてくれるのだな……俺も主のために、役目を尽くさねば」


 アヅキの主呼びはもうなんかずっとである。

 もはや直すことは諦めている。

 一体彼の役目とはなんなのか私はいつもわかっていない。


 アヅキは片腕に雷撃の魔力をまとわせる。


「主の剣よ、これを喰え」


 そのまま雷撃の片腕をゼロエネミーにそわした!

 いやそんな電気を吸収するとか覚えているのか!

 雷撃が全て剣ゼロエネミーにストックされていく。


 一応剣だし誰かが使うこと前提で性能が定められている。

 だけど私が使う時だいたい空に浮かしているのだ。

 だから鞘に戻るまで行動力リチャージがないことは多々ある。


 ゆえに剣ゼロエネミー自体のエネルギーバッテリーはそこそこある。

 だがこのように外部から貰えれば……


「よし、働いてくれ。主のために頼んだぞ」


 (エフェクト)が立ち昇る剣ゼロエネミーの完成だ。

 節約とか気にしなくていいからね!

 アヅキと共に高速で空を飛び交う。


 私は意識だけなので空だろうが地上だろうが関係ないのは気楽。

 私がこんなにビュンビュン高速で飛び交い空に幾何学的模様を描いていたら死ぬ。

 気分的に死ぬ。内臓ひっくり返して死ぬ。


 あくまで意識だけだから肉体感覚はないからねえ……

 視覚や聴覚は剣ゼロエネミーの疑似感覚を借りている。

 触覚あたりまでリンクする余裕はない。

 あと剣の触覚はそこまで鋭利でもないし……


 今こうしてのほほんと考えている間にも斬撃は幾多もの敵をすれ違いざまに斬り落としている。

 敵味方識別は私がしているからミスする要素はないからね。

 ノビノビと斬り裂いていってもらいたい。


 ひと呼吸する間に昼間の空に何もかもが地上におとしていく。

 敵の数が多いせいでなんかえげつない光景になってるな……

 致命傷を与えるのじゃなく翼を的確に斬っていく。


「そらっ!」


 アヅキが蹴り落としさらに回転するように足で振り回して何かを飛ばす。

 それは鎖。

 重りの付いたそれに絡んだ敵の鳥魔物が一瞬で飛行能力を奪われ落ちていく。


 あれは囚人にも使われる能力封鎖の力を持った鎖。

 あれで片っ端から捕まえているのだ。

 安物なのであまりに強い相手……人形あたりには効かないんだけどね。


 どちらにせよ地面にまでおちれば回収される。

 アノニマルースに不届き者の不法侵入者はゆるしはしないのだ。


「そもそも、これだけの数どこから運んできたのやら……!」


 アヅキがひとりごと漏らすようにしつつ全方位に羽根をとばす。

 すると不可思議な乱気流がうまれ

いくつもの相手が落ちていった。

 ……敵の侵入経路。それは非常に気になる話しとして今も専門家が話し合っていることだった。

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