表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2280/2401

百八十八A生目 空月

 アノニマルース上空。

 そこでは多数の鳥やドラゴンやはたまた浮遊する魔物が飛び回っていた。


 剣ゼロエネミーが向かったところすでに激戦の様子だった。

 互いに高速ですれ違いどちらが背後を取るか……

 いわゆるドッグファイトをしている。


「ッチ……一体一体はたいしたことないが、多いな」


「エースクラスに気をつけろ! エースは隊長クラスを呼べ!」


 空一面に大量の……敵。

 種類は様々。

 大型の蜂などの虫系もたくさん。


 幸いドラゴン系はいないが……

 かわりに人形系がいる。

 小魚級無人小型飛行機による戦闘をしている人形から。


 本人が背中から火花散らして飛び回っているものも多い。

 アノニマルースはまだまだ荒野だけの空間も多くそういったところで飛び交っている。

 空を飛んでいる者にとってあまりに地上の建造物たちはせますぎる。


 こっちの戦力は質の高い魔物飛行軍とアンデッド空勢。

 アンデッド空勢は骸骨コウモリから見た目普通に翼のあるニンゲンぽいのまで。

 ヴァンパイアっていうらしいよ。こわいね。お前はアンデッド枠で制作されていいやつではないだろう……


 それはともかくとにかく凄まじく空が狭いことになっている。

 敵と味方のやり取りに専念するための通信兵がアノニマルース側にあちこち潜んでいる。

 念話使えるのは私だけじゃないからね。


 でなければあの空はだれが敵で味方かわからない。

 あきらかな人形や飛行機なんかは敵だけれど高速で飛んでいる時に紛らわしいのだ。


「そのまま味方機捕捉しつづけろ、識別ミスすると致命傷だぞ!」


「「了解!」」


 空の高速戦闘で怖いのは戦いによる生命力減少だけではない。

 今も空ではあちこちから地上に敵が落ちていっている。

 ……高速で空ゆえに攻撃接触の勢いでそのまま落ちるのだ。


 飛行制御。

 それが高速で空を飛び交う戦いの中で肝心要の要素だった。

 だからちょっとした味方からの巻き込みが致命傷になる。


 彼らが護衛付きで必死に念話で情報共有しチェックし続けているのはそういう生死をわける部分だ。

 空を飛ぶ味方からしたらたくさんのUIが視界にあるだろう。

 空の味方機である証である白い帯があちこちでなびいており一応目でも見分けがつく。


 ただ一番やりやすいのは編隊を組むことだ。

 高速戦闘で脳を別の領域に割当出ている状況ではギリギリ思いとどまれる程度でしかない。

 敵を常に示してくれる通信部隊こそこの戦いの勝敗をわけている。


 周囲に敵は……今のところ大丈夫。

 陸部は門で食い止めているからね。

 ……ん?


 剣ゼロエネミーが察知した。

 影の中から覗き見る目に。

 剣ゼロエネミーは物陰から飛び出る。


「わっ、びっくりした、味方の剣か……」


 護衛がすぐに気づくものの白帯のなびいている剣に敵味方の判別がされる。

 影に潜んでいる相手は普通にやっては攻撃できない。

 ただしドラーグから教えてもらった弱点がある。


 剣ゼロエネミーは近くの光を放つ魔道具を剣身で刺激を与える。

 すると強烈な光が周囲に放たれた。

 ……影の中から何体かの魔物が出てくる。


「なっ、敵!?」


 護衛さんの動きははやかった。

 相手が魔物と知ってもすぐに槍を突き出し1体を刺す。

 白帯がないということはそういうことだ。


 剣ゼロエネミーも蓄えてあったエネルギーで(エフェクト)をまとい斬り裂いた。

 まとめて3体ほど斬り飛ばし壁にぶつけたら気絶し動かなくなった。

 どうやら奇襲前提でそんなにつよくないらしい。


「まったく……アノニマルースも敵の魔物が多くなったものだ」


 護衛さんがあらためて周囲の影に目を光らせている。

 実はそうなのだ。

 アノニマルースが有名になるにつれ敵視する魔物も多くなっていた。


 規律よく協力して仕事をこなし生きていく……ということを出来ない魔物なんて山ほどいる。

 ニンゲンだけでも無限にいるからね。

 そして様々な経緯からうらみつらみにくしみそして……逆恨みをすることが往々にしてある。


 彼らは組織立って行動するときは群れがアノニマルースを襲撃する時ぐらい。

 あっさり跳ね返されていたのがこれまでの経緯だ。

 そこに現れたのは全てを束ねる人形たち。


 あれほどまでに相性の悪かったアウトローたちを力でたばねあげ今アノニマルースを襲撃する大軍団としているのだ。

 厄介なのはソレ以外にも様々な理由をつけて世界各地から敵となりうる魔物を呼んできたことと……


 街を占拠していた巨大型接地変化人形がアノニマルース近辺に現れたこと。

 アノニマルース襲撃のためにまさしく全戦力が投入されていた。

 世界的にはさらにエグいことが起こっているんだろうなあ。


 空の上……さらに空には。

 昼なのにやけに輝く月が見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ