百七十三A生目 僕私
僕が1体1体相手にするようになれば一気に話が変わる。
目の前の相手は銃ビーストセージから浴びせたショットガンの武技で空の花となり吹き飛んで壁の中で黒焦げになっている。
まずは1体……
「不味イ、データ更新を!?」
人形の1体を見つけその顔に人型に変化して手のひらで頭を掴む。
私じゃなく僕なら手が大きいようにパワードスーツな指部分あるからできるかなーって思っていた。
そして急加速しその場でひねって床に叩きつけて。
「そらっ!」
そのまま壁を削るように押し付けながらブースト。
後頭部削りだ!
普段と戦い方がかなり変わるからこちらとしても立ち回りの変化にならしていかねば。
訓練しているとはいえやはり実戦は気持ちが逸る。
……男の状態と女の状態、実は力そのものは変化しない。
私が前世の感覚的に違いがある気がするだけだ。
これは私がインカに力勝ちすることからもわかる。
なによりもレベルにより左右される世界。
ただし力の質は変化する。
剛胆ともいえる今と柔軟な私の状態。
使い方が全くちがうふたつの質は僕が立ち回るのに神経を使う。
その分相手はその全てに対応を迫られるわけだが。
「ここで寝ておいて!」
脱出されるまえに前投げ。
追撃ビームからの飛び跳ねるように前蹴り。
コレで壁に当たったので浮いたところで連撃。
「追イツイタ……!」
背後からの相手に気づき放った矢を魔法でワープして避ける。
矢は人形に刺さって悲鳴を上げた。
「味方への誤射はひどいな」
「ナッ!?」
背後に回り込んだので蹴り込む。
周囲から飛んでくる流れ弾やついでに狙われている攻撃をいなしつつ目の前の相手は逃さぬよう張り付いて殴り続ける。
反撃もされるがしっかりアーマーで受けて跳ね返す。
「クウッ、分カッテキタ、ソノエネルギーを巡ラセテ、全テの動キを強化シテイル!」
「一番シンプルで、嫌なものだよね!」
人形の1撃である斬撃を両手で掴んで止める。
驚いてる頭に高く蹴り込んだ。
かっ飛んだ人形を変身しながら追いかける。
「今度は私だ!」
「ナウッッ!?」
僕から私に切り換え。
私の生き方というより生まれ方そのものを歪める神の御業。
翠竜の児戯。
代償はその運命を超えるさいの怯むほどの熱。
最初は熱で気を失っていた。
次は気を失ったほうがマシなくらい消耗。
そして今もしっかりと体を溶かすような熱を感じている。
なんとかこなせるようになっただけだ。
この能力は使う度にオーバーヒートを起こす。
だから連続で変化が出来ない。
相手が慣れる前に変化しないといけないのできっとギリギリだ。
私はイバラを伸ばして人形のふいをつき拘束。
「せーのっ!」
そのまま勢いつけてぶん投げた!
その先にいるほかの人形とぶつかる。
たぬ吉を追っていたやつだ。
「チョォ……!? 何をヤッテル!?」
「緊急事態! 警戒点Rが拘束を振リ切リ暴走中! モウ1体落トサレタ!!」
「ハ!?」
「もう1体増えたよ」
そうこうしている間にさっき矢が刺さって半壊していた人形を発見。
自己修復をさせない。
剣ゼロエネミーがきらめき武技を放って吹き飛ばした。
もう活動はしない。
「不味イ、コレハ作戦ガ崩レテイル!」
私は土槍をあちこちから発生させて人形たちを追い込んでいく。
連続で打ち込めば全部は避けれない。
そして土槍に夢中になっている横から剣ゼロエネミーが飛んでくる。
剣の斬撃は人形の肉体に的確な斬撃を加えていく。
人形たちは爆発の魔法などこなされるだけだ。
かわりに斬撃を全て流せるほどにこっちの技術がないわけではない。
さらにいえば剣ゼロエネミーは非常に攻撃力のたかい武器だ。
私が訓練し研ぎ澄ました技量がそのまま乗る。
レベルも関係がある珍しい武器。
私の強さがそこそこ上の方になってきた昨今剣ゼロエネミーの攻撃力はとどまるところをしらない。
私が指示して斬り裂いてもらえば今ここで勝てない相手はいなかった。
私がやることはそのためのスキ作りだ。
飛び跳ねながらイバラを大量に伸ばし見える範囲の人形たちにちょっかいを出す。
ちょっかいとは言え1撃が吹き飛ぶようなムチのうねりだ。
雑な対処はできないだろう。
当然不意を付けば魔法で絡め撃つ。
火魔法"フレイムボール"の赤紫の炎で焼き尽くし。
闇魔法"サンセッツ"で彼らの天から闇球を降らせ吸着し固まらせる。
そこまで固めればほんの僅か数秒のスキができる。
剣ゼロエネミーが通り過ぎるように切り裂き。
連続で一瞬に何十にも斬り裂く。
「ッナンナンダアレは!?」
「マタ一人落チタ!!」
まだ7対5。
あとたったの7体。
はてさてどっちになるか。