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百六十二A生目 魚群

 ふたたび61階。

 私達はゲーミングカラーになりながら水へと潜る。


「……驚くほど何もないな」


「見た目はともかく全く寒くないし水の不快さもないし……なんなんだろうねこれ? いやまあローズの凄腕魔法なのはわかってるんだけどね?」


 ゲーミングカラークライブとゲーミングカラーホルヴィロスはそう告げる。

 その顔は笑顔というより苦笑いというか。


「すごい快適ですね! これって声とか、どうなっているんですかね? 仕組みが全然わかりません!」


「うおおおおっー! 今なら敵に当たるだけで全員倒せそう!!」


 ゲーミングカラーたぬ吉とゲーミングカラーグレンくんははしゃいでいる。

 この陰鬱な冷たい海の中では数少ない清涼剤だ。


 そしてゲーミングカラー私。


「くっ……私の腕が良かったら、まだいけた。自動航行システムで、ゴールまですっ飛んでいける魔法も組み込めた……!」


「そこまではしなくていいよ!?」


 グレンくんが慰めてくれるものの私は爪を噛む思いをしていた。

 やはりまだ成長過程だ。

 一月くらい貰えれば完璧に組んでみせるんだが……


 そうこうしている間にもこの深い海からお客さんがやってくる。

 たくさんの魔物たち。

 サメ、深海魚、貝、クラゲ、もろもろ。


 豊富なバリエーションで私達を襲ってきた!


「うわっ! あらゆる方向から何体いるんだ!?」


「何体いても斬り伏せるだけだ」


「ほらローズ、敵だよ敵」


「ん、うん。ホルヴィロス、とりあえず広範囲を悪化させられる?」


「あー……できる!」


 幸いわらわらやってきたのは前方120度。

 なお上下左右に。

 身構えていた剣士ふたりよりもホルヴィロスが前に出た。


「なるほど……やれるのか?」


「頼まれたからね、そりゃあローズに頼まれたら、やっちゃうよ!」


「そ、そうか」


 ホルヴィロスのコロコロ変わる雰囲気にクライブは若干引いている。

 私が絡む瞬間だけおかしくなるんだよなあ……


「範囲はざっくり……潮流(ちょうりゅう)は大丈夫そう……よし、散布開始」


 ホルヴィロスはその目を細く鋭くする。

 見た目的にはたいした変化はない。

 ホルヴィロスから伸ばしたツルがヒラヒラ舞っているだけ。


 しかし効果は劇的だった。

 近くまで迫ってきていた魚群の多くが急に動きが鈍ったのだ。

 もちろんホルヴィロスが麻痺系の毒を巻いたからだ。


 即眠らせる効果はなくても相手の速度を奪える力。

 これほど弱まれば話は別だ。

 もはやカカシうちである。


 ホルヴィロスは一気に後ろへ下る。


「あくまで私がいたところより前へ出ないでね。万が一毒を皮膚にとりこむといけないから。魚たちは水中で息をしたり水を取り込むのが、致命傷に出来た原因だから、念のためだけどね」


「わかった、そうする!」


 グレンくんが力強く返答し剣を強く握る。

 全員前には踏み込まず待機。

 そうしてヘロヘロになった相手を……斬る!


 グレンくんとクライブが魚群を切り裂いていく。

 本来の魔物たちならばありえない。

 初手くじかれた時点で撤退している。


 だがあいつらはこちらへの殺意だけは変わらず身体がどうなろうと前進してくる。

 強い意思を感じず即席のゾンビみたいだ。


「せいやー!」


 たぬ吉が後方からドンドコ魔法の球を放っていく。

 ツルの(エフェクト)がちらつく草の魔法球を魚群にぶつければ次々吹き飛んでいく。

 魚たちからもたまに反撃で鱗や氷の魔法やら飛んでくるがゴーレムが弾いている。


 私は細かいみんなの傷を即癒やしながら電気を魔法を練る。

 空気中とは広がりが違う。

 私の想像や感覚がそれを正確に定めるから精密な練り上げがいる。 


 範囲で巻き込む。味方はターゲティングして保護。


 よし……よし。


「行ける! 電気魔法!」


[エレキディスチャージ 雷撃を広範囲に放つ]


 これは放った中心から外に向かって雷撃が放たれる魔法。

 バチバチと響く雷撃の小さな塊が水中に現れ……

 一瞬にして爆発するように雷撃が広がった!


「おおっまぶしいっ」


 近くのグレンくんとクライブには我慢してもらおう。

 もちろん1つではなく連鎖するようにいくつも作り出して爆発させる。

 それはまるで水中の花火。


 光景としては花のように美しいけれど実体はえげつない。

 雷撃が水中を駆け巡り範囲内の相手をどんどん感電させていく。

 ただでさえ動きが鈍っていて密集していたので電気の特性ですぐ次へと走る。


 さらに水中なため空気抵抗をあまり受けない。

 減衰力があまりないままに多くの魚群をイナズマが駆け巡っていった!


「うわー、こわ」


「それ言いながらやってるのローズだけどね」


 私はポイポイ追加していく。

 グレンくんが眩しくてちょっと下がってきていた。

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