百五十九A生目 雪森
グレンくんの抜刀。
それにより3体飛びかかっていたのがまとめてふきとぶ。
斬撃の光か遅れて輝いた。
「よし!」
刀は……壊れていない。
あと相手もなかなか強くてホエハリよりもかなり強いのはたしか。
普通に起き上がってくる。
そしてホルヴィロスはそんな相手に後方からニコニコしながら見守って。
急に相手側の地面が崩れだし白い液体が湧いた。
雪のそれとは色が全く違う。
もっと危険で悪質な雰囲気……毒だ。
足をとられるだけでジュウジュウと音をたて焼いていこうとしていている。
もちろんやったのはホルヴィロスだ。
ホルヴィロスはニコニコしながらも足踏みをしている。
そのたびに沼は深くなっていく……
「グッ……」
沼の3匹は抵抗しようとして……全身から力が抜けて沼に倒れ込む。
不自然な麻痺……まるで眠っているかのようだ。
ただ状態としては気絶にちかいだろうか。
「麻酔の沼、どうやらちゃんと聞いたみたいでなにより」
「うわ、お医者さん、あれには近づかないほうが良いですよね?」
「麻酔が気化しているから踏み込まないほうが良いね。まあ、すぐに無毒化するタイプだから気にしなくていいよ」
なるほど搦手できたのか。
もちろん搦手も強さはいるけれど……
正面からやるほどではない。
ホルヴィロスは元々圧倒的なツルの物量と圧倒的な降らし続ける白い毒で押し通す戦い方だった。
もちろん強い。
しかし分神には不向き。
そもそも他者がいるところで扱える技ではない。
それでこういう方向を模索したのか。
別の方向ではたぬ吉がクライブの背後についていた。
そうしてクライブが切り払っている間にたぬ吉の横に花が生えた。
2つの花は動き出しくるくると花弁を回す。
「ローズさんの魔法数にはおよばないけれど……これがぼくの技!」
たぬ吉と花それぞれから大量の光線が放たれる!
草花のような色をしたその光線魔法は片っ端から薙ぎ払っていく。
もうこうなると雪とか氷とか関係ない。
たぬ吉のアレは私より発射数は少ないのかものの……
火力の伸びが大きいらしい。
あとは動けないのも弱点みたいだけれどそれも大した問題ではないだろう。
背後からの迫ってきた相手に突如たぬ吉の尾付近からメキメキと植物が成長。
あっというまに大型のお腹の大きなデフォルメたぬきゴーレムがうまれた。
ツルのからまった植物の塊である。
ゴーレムは相手の体当たりをそのまま受け止める。
そして……その重い拳で叩き潰した!
「それでは!」
そしてゴーレムを突っ切ってたぬ吉があらわれる。
自分のゴーレムだからこその技。
そのまま構えると……今度は倒れて相手に手のひらを向ける。
「勝てませんよ!」
魔法が放たれ光が敵からたぬ吉の元に集まっていく。
どうやら生命力や行動力を吸収しているらしい。
便利そうな魔法だ。
さてクライブの剣が相手のトゲごと1体粉砕斬りしたあたりでだいぶ数は減った。
結局相手としてはそんなにない。
私達は前よりずっと強くなっている!
「これで終わり!」
私は前足で蹴って吹き飛んだ相手空中からイバラを2本伸ばし地面へ叩きつける!
それでついには最後の相手が光へと消えた。
「ふうぅ……」
「やりましたね! お疲れ様です、みなさん! なんとか動けました……」
「たぬ吉さんも、すごかったじゃないですか」
「グレンの剣、ただものじゃない動きだったな。単なる子どもではないとは思っていたが……」
みんな武器をおさめると早速感想戦がはじまった。
たぬ吉は社会人あいさつをしてグレンくんがあのビームを褒めている。
クライブはグレンくんの正体をしらないし刀も知らないだろうからそうなるのは頷ける。
「クライブさんの剣、あれもかなり大きいのに軽々と扱っていましたよね。何かコツがあるんですか?」
「鍛えることだ」
「ローーーズ良かったよーー! とくに攻撃を食らってないのがえらいね!」
「はいはい、わかったからねー」
ホルヴィロスが笑顔で飛びついてくるのをトゲ無しイバラでぶん投げる。
すぐにセクハラしようとしてくるんだから。
「ホルヴィロス、さっきの麻酔の沼とんでもなかった? あれ、初見ではどうしようもない気がするんだけれど」
「まあねー! 色々弱いことはあるんだけれど、それを補う魅力がねー」
ホルヴィロスがキュピン! とウインクしてきた。
私は避けた。
さてそうこうするたわむれはともかくとして。
私達はそのあとも大量に倒していった。
やはり森の中にいるのは私の迷宮にいたような面々は多い。
まあどれもこれも凶暴化しているし季節感なんて無視して襲ってくるが。
ウサギが殺意持って数十匹来るのはホラーだと思うんだ。