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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
成獣編 〜破壊からの再生は〜
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二百十九生目 薪割

「まだみすぼらしくはありますが、見張り台が複数完成しました」

「わかった、見に行く」


 アヅキにそう報告を受けたとある日。

 狩ってきてくれた獣肉のくさみ消し薬草漬け込みに舌鼓を打っていたころだ。

 なので姿はいつも通り4足のケンハリマ状態だ。


 見張り台が完成したということで早速見に行った。

 場所は群れの外側で自然の高台の更に上。


 まあようは地形的にも岩が積まれているかのようにとても高い位置だ。

 この辺りの地形は結構複雑でニンゲンくらいの大きさの生き物だと登り降りの繰り返しに苦労するだろう。

 よっこらせっと。


 そんな先に建てられていたものが見張り台の1つだ。

 地面から木で高く組み立てられた足場のずっと上に簡素な建物がある。

 布と木で作られた見張り台だ。


「作業は飛行可能なものを中心に行いましたので、予定より早く仕上がりました」

「なるほど、どうりで」


 ニンゲンですらあれこれ足場がいるしそもそも素材運搬も大変だし魔物で手のない者が多いけれど事故とか起きないかな?

 とか思っていたら器用に飛べる魔物たちがほとんど空中で作ってしまう裏技で完成させていた。

 上の部分まで"鷹目"で視界を飛ばすと鳥の巣のようになっているのが見える。


 鳥の巣に雨風しのげる簡素な屋根と壁か。

 外側を覗けるように窓もついている。


「うん。便利そう。でも昼はともかく夜はどうしようなぁ……」

「夜は夜行性の飛行魔物も多少はいますが、ジャグナーが鍛えている兵にも見張り巡回をさせるそうです」

「なるほど、もうそこまでやれているんだ」


 もちろん私もあれこれと口を出しているが想像以上にこちらの意図をみんなが読み取り解釈して発展させていっている。

 私抜きでも回るようにみんな考えてくれているようでありがたい。


「うん、安心だね……ああそうだ」

「どうなされました」

「今日のご飯、とてもおいしかったよ! それに見張り台もありがとうね」

「あ、ありがとうございます!」


 ちゃんと感謝は日頃から伝えないとね。

 アヅキがめちゃくちゃびっくりしたことにちょっと笑いそうになった。

 本当にアヅキたちみんなはこの場を成立させるには不可欠だなあ。





 とある日。

 私は火の前にいた。

 ただの焚き火ではなくて石窯(仮)の前だ。


 恵みの泉を使い一度柔らかくした地面を切り崩して形を加工し良く乾燥させて釜のようなものを作っていた。

 ほかにも掘ったものをそのまま利用しているのもある。

 地面の材質が全体的に土と言うより岩の塊のようなものだからこその技だ。


「よし、出来てる!」


 手早く消火して取り出して冷やして加工する。

 息つくひまもなく工程を終えてゆき最後によくよく研ぐ。


「完成!」

「うんうん、これも大地の力を火がうまく引き出してくれたおかげだねえ」


 ハックが火への信仰を口にする。

 私が完成させたのはひと振りのショートソード。

 セットで鞘もつくってある。


 光神術の"ミラクルカラー"で色を変え岩から金属ぽくしておく。

 複雑な部位ごとの色変えが"森の魔女"で得た知識から応用しうまくやれた。

 単純なねずみ色ではなく光沢がきらめくように気をつけてと。


 "変装"を使ってぐぐっと直立し前足を手に変える。

 手で掴むと随分とらくらく手の中で馴染んだ。

 血を混ぜて『土の加護』を込めているからこその力だ。


 さらに"森の魔女"として得た力で魔法的ギミックを多数おりこんである。

 少年(ダカシ)が持っていたショートソード・レイももちろん参考にさせてもらった。

 感覚的な話だがこの剣は今まさに『生きて』いる。


 といっても私は剣術のけの字もわからない。

 いや前世知識から引っ張ってはくるが……身体が動くかはまったく別なわけで。

 さらに言えばホリハリーでは肉体行動はさほどでもないからね。


 ショートソードを鞘におさめる。

 さらにニンゲンの街に行く準備としてこれと共に作ったのはアックスだ。

 つまり斧。


 これはカムラさん用だ。

 薪割り斧ではなくハチェットと言われる片手斧。

 万能に使えるように前世の知識から引っ張り出して作った。


 あれだね、剣より簡単だったね……

 ここまでわかってしまえばシンプルな作りだったとは。

 ハチェットじゃなくて薪割り斧をもっと作っておこうかな。


「よし、僕のも出来た!」

「どれどれ?」


 ハックもいつも通りに作っていた。

 なので武具なんてものじゃあなくて奇妙な像だ。

 ただ、なんというか今回は未完成品のような……


「これはどういうものなの?」

「ふっふっふっ、それはもうちょっと後のお楽しみ!」

「そ、そうなの」


 なんだか知らないが自信満々だ。

 ハックの芸術に関してはユウレンを含めハックを先生とまつる魔物たちがいるからきっと大丈夫だろう。

 私は私の出来ることをしよう。

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